パンつかみの文字を見て、そのあたりの自家製パン屋においてあるトングでももらえるのかと思った。
ちなみに、トングは、本来、複数形で用いるので「トングズ」tongsと呼ぶべきだと思うのだけど、まあ、ブリーフスbriefsも「ブリーフ」と呼んでいるから、日本人は、あまり気にしないのであろう。
それはともかく、トングズかなにかがもらえるのだろうと、いつもはディ=チェコDe Ceccoのパスタしか買わないのに、Barillaのパスタを買ってみた。
小さな座布団みたいな厚くて四角い布がついていた。
イタリア人は、こんなものでパンを摑(つか)むのかと思ったが、どうも変だ。
しばらく考え込んだ。
この「パンつかみ」のパンは、ポルトガル語のpão、あるいはスペイン語のpanに由来するとされるあの「パン」ではなく、英語のpan(片手平鍋)のことだと気づいた。
要するに、鍋(なべ)つかみである。
鍋つかみのことを「パンつかみ」などと小洒落(こじゃれ)た言い方をする人がいるのかとウェブで検索してみたところ、意外といた。また、トングズを本当のパンをつかむものとして「パンつかみ」と呼ぶ人もいた。「パンつかみ」のようにまったく異なる語義が存在する語は、いずれ、いずれかに収斂(しゅうれん)するか、あるいは、いずれの意味でもまったく使われなくなるか、そのいずれかであろう(さて、「いずれ」は何回使われているでしょう?)。
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