18歳のときに、フランス人の女の子とデートした。
彼女を送って、下宿の玄関の前で、キスをした。唇(くちびる)に軽くキスをした。
「ねえ……。今のは、おやすみのキス? そ・れ・と・も……」
'Well.... Is that a goodnight kiss? Or....'
その後(あと)、私たちは黙(だま)ったままでいた。
「Is that...?のところは、過去形か、あるいは現在完了にしなければいけないんじゃないのかな?」と私は思っていた。
一方、彼女は「『おやすみのキス』の反対のことばは、何だっけ?」と考えていた。
私たちふたりは、初(はじ)めから違う方向を見ていたのだろう。
あることをきっかけにして、30年以上も前のこのことを思い出したわけなんだけどね。
それから、このことを話してみたところ、男性はくすっと笑って、「気の利(き)いたことをいう娘さんだね」とか、「おもしろいことを言うねえ」とか、そういう反応をした。
ところが、女性の場合、なぜか、全員が大笑いした。10代後半から80代まで、爆笑した。
近所のスーパーマーケットで、後ろにほかのお客さんがいないときに、馴染(なじ)みのレジのおばちゃんに「今のは、おやすみのキス? そ・れ・と・も……」の話したところ、そのおばちゃんだけでなく、残りのレジのおばちゃんたちも大笑いして、レジ全部が5秒ばかり崩壊(ほうかい)した。
なぜ、そんなにおもしろいのか、私にはさっぱりわからないままである。
0 件のコメント:
コメントを投稿