確かに奇妙な違和感があった。型紙が致命的なまでに変なのだ。ここまで変だと、服と名乗ってよいものかどうかさえ、躊躇(ためら)われる。そんなレベルだ。
うちの生徒たちに訊いてみたところ、かなりの家庭では試しに1着買ったものも、それきりだそうだ。
正常な感覚の持ち主なら、2度とは買いそうにない代物(しろもの)だからな。
ユニクロのシャツを着たら、肩凝(かたこ)りになったという例もあるくらいだ。
安上がりにするために、縫製の作業工数を可能な限り減らし、かつ、使用する布地を極限まで少なくすると、あんなものができあがるのだろう。
そういえば、ユニクロのヒット商品って、フリースとヒートテックだけだが、どちらも型紙がおかしくても、なんとかなりそうなものだ。
あまり服については詳しくないのだけれど、ラルフ=ローレンRalph Laurenやバリー=ブリッケンBarry Brickenくらいのものでさえ、日本向け商品は日本人の体型に合わせた型紙を使用している。合衆国内向けとは違う型紙なのだ。
日本のメーカーの癖に、日本人の体型に合わせた服が作れないというのは、異常としか思えない。
エコノミストなどの文章で、ユニクロを低価格・高品質を実現した企業として褒(ほ)めているのを見ると、こいつの言うことは一生信じてやらないと決意してしまう。
最近、MADE FOR ALL(万人のために作られた)というフレーズをユニクロは用いるようになったが、結局は誰のためにも作ってはいない。
いったい、どういう社会階層の人々がユニクロを買っているのか、不思議なんだが、不意にジョン=スチュワート=ミルJohn Stewart Millのつぎのことばを思い出した。
... it is better to be a human being dissatisfied than a pig satisfied; better to be Socrates dissatisfied than a fool satisfied.
……満足する豚よりも不満足な人間であるほうがよい。満足する愚者よりも不満足なソクラテスであるほうがよい。
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