『地雷を踏んだらサヨウナラ』One Step on a Mine, It's All Overは日本大学藝術学部出身のフリーランスの写真家・一ノ瀬泰造の著書の題名であり、彼をモデルにした映画の題名でもある。
著書も映画もじつに楽しめる。具体的にはAmazon.co.jpのカスタマーズ=レヴュー(顧客による感想)を参照してほしい。
ところで、地雷を踏んだら死ぬのかというと、一般的には、そうではない。無論(むろん)、子どもや老人が踏めば死ぬ確率が高いが、大人の男性となると、あまり死なない。
なぜか?
そのほうが効率がよいからである。
殺せば、たったひとりの兵力を削(そ)ぐだけである。ところが、片足がなくなるだけであれば、その兵士を背負って救助する兵士と、さらに地雷を踏んだ兵士の武装や荷物を担(かつ)ぐ兵士との2名の兵員が戦闘に参加できなくなる。つまり、合計で3名の兵士が戦力から消えるわけである。
これは効率を優先する先進国の陸軍的発想である。
大東亜戦争(第2次世界大戦)のときのアメリカ合衆国陸軍が使っていたのはM1ガーランドである。正式名称はU.S Rifle Cal.30.M1であり、M1はModel 1のことだ。これは半自動小銃で、帝国陸軍が使用していた三八式歩兵銃(さんぱちしきほへいじゅう)と較(くら)べると、殺傷力は低かった。
三八式歩兵銃の正式な読み方は、「さんはちしきほへいじゅう」である。英語圏では、Arisaka Type 38などと呼ばれている。ガーランドGarandが開発者の名前であるのと同様に、Arisakaは開発者の名前である。
三八式だと、1発で兵士を斃(たお)せたが、M1ガーランドだと、同じ箇所(かしょ)に命中しても、致命傷(ちめいしょう)にはならなかった。そうなると、撃たれた兵士を仲間の兵士が救出し、もうひとりの兵士がその武装や荷物を担(かつ)がねばならない。兵力は一挙に3人分減るわけである。
死なせずに兵力を削(そ)ぐほうが、戦(いくさ)としては合理的である。
尤(もっと)も、三八式歩兵銃は銃弾が5発しかなく、しかも、ボルトアクション式、つまり、1発撃つ度(たび)に、ボルトつまり遊底(ゆうてい)を操作することで弾薬の排出(はいしゅつ)・装填(そうてん)を行なうものであったから、半自動小銃と張り合うには、1発で相手を斃(たお)すものでなければなかったと考えられなくもない。
なお、泰造がカンボジア人の女性に一緒に写真を撮ろうと誘う場面がある。カンボジアでは結婚する男女でなければ、一緒に写真を撮ったりはしないと女性が断る。ところが、泰造が死んでもおかしくないところに出かけるときに、その女性はこう言う。
「泰造、今でも一緒に写真を撮りたい?(中略)……泰造、生きて帰って来てね」
それにしても、『地雷を踏んだらサヨウナラ』という題名は、商業的にはうまい名づけであり、一ノ瀬泰造を演じた浅野忠信は男前だなあ。
なお、『地雷を踏んだらサヨウナラ』は、YouTubeで動画がすべて視聴できる。setsengというハンドル=ネームの人物がすべてアップロードしている。再生リストでも作成して、自動的に全部を視聴できるようにしようとしてみたが、うまくいかなかった。
つぎのページに飛んで、「後で見る」に入れると連続して視聴できると思う。
地雷を踏んだらサヨウナラ One Step on a Mine, It'll be All Over
登録:
コメントの投稿 (Atom)
ブログ アーカイブ
-
▼
2012
(63)
-
▼
11月
(26)
- 「練馬大根(ねりまだいこん)」を登録商標にした和菓子屋
- アメリカ合衆国陸軍第5軍司令部が作成した資料による日系アメリカ兵の特徴には笑ってしまった。
- 「綺麗?」と訊いた蒙古(モンゴル)出身力士の話が中学校の英語の教科書に掲載されているが、これはまずい。
- 福祉を厚くしたらどうなったか:東京都中野区の場合
- 自転車税の導入を検討してみた。
- 全身ユニクロの生徒は児童虐待の疑いがあり、成績の伸びは悪かった。
- 日本大学藝術学部映画学科の女子学生に憤慨(ふんがい)された。
- オーストリア人は、帝国陸軍航空隊三式戦闘機「飛燕」(キ61)よりすごいらしい。
- 『地雷を踏んだらサヨウナラ』One Step on a Mine, It's All Over
- ドリフト走行する電動車椅子
- 沖縄のレイプ事件に関する惠隆之介による情報
- 新製品のチーズ=ナゲットのせいでファミリー=マートが臭(くさ)いと話題になっていたので……
- 昨日の昼に、母親と保育園くらいの女の子がミッキー=マウスのテーマを楽しそうに歌いながら歩いていた。
- 溝端淳平のファンが当校にいたので、淳平のおじと同級生だったということを話した。
- 手作りのオノト型万年筆の思い出
- ヨーロッパ製の台所用品などは本国では製造していないことが多く、検品だけして出荷しているにすぎないと近...
- うちの近所のコンビニエンス=ストアに長友佑都の同級生だった店員がいた。
- インドネシアの青年にJKT48の動画を見せてあげたところ、……
- 日本の女優などは、整形した直後に髪型を変えるとうちの女子生徒が指摘していた。
- 当校の外で煙草を喫っていたら、鼬(いたち)が道路を横切った。
- 『飛燕戦闘機隊――帝都防空の華、飛行第244戦隊写真史』を買って喜んでいたら、水を差された。
- 黒澤明監督の『七人の侍』の時代考証のおかしな点
- サントリーの品薄商法は、自社の株価を下げてしまわないのかと疑問に思っていたが、解決した。
- 8月のことだが、インドネシアの「独立の日」Hari Merdekaをかけてみたら、日本の独立の歌が聴...
- 同じものをモデルにしたのに、まったく違う方向に進化した例。
- 高価な黒胡椒(くろこしょう)を買ってしまった。
-
▼
11月
(26)
自己紹介
- 掃除機庵主人
- 和歌山県, Japan
- 早稲田大学第一文学部哲学科哲学専修卒業、「優」が8割以上で、全体の3分の2以上がA+という驚異的な成績でした。大叔父は競争率180倍の陸軍飛行学校第1期生で、主席合格・主席卒業にして、陸軍大臣賞を受賞している。いわゆる銀時計組であり、「キ61(三式戦闘機飛燕)の神様」と呼ばれた男である。苗字と家紋は紀州の殿様から授かったものである。
links
人気の投稿
-
カワサキKSR110を手に入れた。 ひとり乗り専用車だ。後ろに女は乗せられない。「男カワサキ」だからな。 レース仕様のキャブレターのせいで、雨の日には乗れない。「男カワサキ」だから。 ちんたら走ると調子が悪くなる。「男カワサキ」だから。 東京23区内だと1速と2速で間に合...
-
「%パーセント)」の筆順(書き順)について訊ねられた。小学生は思いもよらないことを質問してくる。 一般的には、「%」の左上の「0」を数字のゼロを書くのと同じように、頂点から反時計回りに描き、「/」を右上から左下へと描いてから、右下の「0」を、これまた数字のゼロを書くのと同じよう...
-
「風立ちぬ いざ生きめやも」の原文についてである。 もとはポール=ヴァレリー Paul Valéryの詩の一節 からの引用である。 Le vent se lève , il faut tenter de vivre . /l( ə) v ɑ̃ s( ə ...
-
大学の格が上になればなるほど、学生の身長が高くなる傾向がある。 総合大学、つまり、ひととおりの学部がそろっている大学の中では、東京大学の学生の平均身長がいちばん高いという資料を目にしたことがある。 総合大学にかぎらなければ、体育大学の学生の平均身長が高くなりそうだが...
-
ローストビーフを買った。 ローストビーフは、そもそも、イングランドの労働者階級が安い赤身の肉をおいしく食べるためにしつらえた食べ物である。グレイビーソースで味をごまかして、おいしく食べた気になるためのものである。 本来は、安価な赤身の肉をおいしく食べるためのものを、田村牛を使...
-
本田技研工業株式会社の創設者である本田宗一郎(ほんだそういちろう)は、新宿区西落合に邸宅(ていたく)を構(かま)えた。 あるとき、哲学堂公園に行くときに、本田宗一郎の邸宅も見ようと思った。 今は、息子である本田博俊(ほんだひろとし)のものである。 邸宅には少なくとも3...
-
宇宙戦艦ヤマト2199の「銀河航路」(宇宙船乗りの歌)の歌詞。 作詞:出渕裕(いづぶちゆたか) 作曲・編曲:宮川彬良(みやがわあきら) 1. 銀河 水平 波間を越えて 目指す恒星(こうせい) ケンタウリCentauri 星の瞬(またた)き 遙かに超えて 宇宙に...
-
専業主婦でも知らない人が少なくないので、お肉を柔らかく焼く方法について認(したた)めよう。 まず、フライパンを熱して、油を引く。 お肉を投入してよいくらいになったら、そこで一旦(いったん)、火を止めて、充分に冷えるまでフライパンを置いておく。 冷えた状態のフライパンにお肉を...
-
にゅうめんとは、そうめん(素麺)を茹でたものである。元来は「煮麺」であり、それが変化したものである。 東京生まれの人は、親が関西出身でもないかぎり、にゅうめんを知らない。知っていたとしても、たとえば、風邪を引いたときに、食べたことがあるくらいだというのがせいぜいである。 ...
-
ル=マン24時間レースに参加していた頃、日産はポルシェPorscheのレース用エンジンを2基、購入した。当時のポルシェは1基あたり10億円出せば、だれにでも売ってくれた。 ひとつはテスト用に使用し、もうひとつは分解してどんな秘密が匿(かく)されているのかを調べようとした。 と...
0 件のコメント:
コメントを投稿