2014年4月20日日曜日

午前1時半ごろに酔っ払ったアメリカ人がやって来て、豊島園(としまえん)への道順を訊(たず)ねられた。

学習プリントを作成していたら、午前1時半ごろに、当校の玄関(げんかん)をノックする音がした。

こんな夜中に、いったい誰なんだと警戒して、杖術(じょうじゅつ)の杖(じょう)を手に、玄関をゆっくりと開けたら、酔(よ)っ払(ぱら)ったアメリカ人だった。

豊島園への道順を教えてくださいと英語で言った。迷子(まいご)になったらしい。

日本では、日本語のできる外国人には、外国語で話しかけたりはしないことにしているのだが、日本語がちょっとしかできないようなので、英語で話した。

地図を印刷してあげるから、中に入って待つように言った。

相当に酔っ払っていたのだろう。

印刷の手筈(てはず)を整(ととの)えている間、アリゾナ出身だということを何度も言った。一般の日本人には、アリゾナ州は知名度が低いので、そのことを気にしているようだ。

アメリカに行ったことはあるかというので、イングランドとウェールズとフランスとドイツとベルギーとスイスとイタリアにしか行ったことはないと答えたら、簡単なフランス語で話しかけてきたので、フランス語で答えたら、ちょっと戸惑(とまど)っていた。「何だ、今の英語は聴き取れなかった」と思わせようとしたのに、きちんと返事されたから、あてが外れたらしい。おもしろいやつだな。

英語会話スクールで教師をしていると言った。

そこで、うちの英語学習用のプリントを見せて、文の成分や品詞に応じて、たとえば、主語は緑色、動詞はオレンジ色、目的語はピンク色、補語は青色、接続詞は紫色、副詞は黄緑色、前置詞は水色という具合(ぐあ)いに色をつけることによって、理解する速度を上げていると説明したら、えらく感心していた。

すると、職業は何だと訊(き)いてきた。アメリカ合衆国には学習塾や予備校があまりなく、主流は家庭教師なので、ピンとこないのだろう。

バーカーという苗字(みょうじ)だったので、日本では笑われるでしょうと訊(き)いたら、そうだと言っていた。

それで、私の苗字もフランス語のÇa caille !(サカイュ)という音に近いので、フランス人に笑われたり、からかわれたりしたことが何度かあって、「すげー、寒い」という意味だと言うと、馬鹿と寒いか、あっはっはっはっはと大笑いしていた。そこまで、おもしろいのか、このネタ?

突如(とつじょ)、財布の中から、アメリカにいる彼女と一緒に撮(と)った写真を取り出して、見せてくれたり、大学では何を勉強したかと訊(き)くので、分析哲学だと答えたら、私は人類学を勉強したと言った。

先祖(せんぞ)はどこの国の出身かと訊(たず)ねたら、チェコ共和国だと答えたので、イングランド系の苗字に見える綴(つづ)りなのに、額(ひたい)の形がフランス人っぽいので、不思議に思ったんだと言ったところ、お前は天才geniusかと驚(おどろ)いていた。もっとも、英語のgeniusには、日本語の「天才」ほどのすごい意味はない。

プリント=アウトした地図に、赤ペンで経路(けいろ)を描(か)きこんで渡したら、喜んで帰って行った。

酔っ払った陽気なアメリカ人は、相当におもしろいということがわかった。その人の性格がそういうものだっただけかもしれないが……。

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和歌山県, Japan
早稲田大学第一文学部哲学科哲学専修卒業、「優」が8割以上で、全体の3分の2以上がA+という驚異的な成績でした。大叔父は競争率180倍の陸軍飛行学校第1期生で、主席合格・主席卒業にして、陸軍大臣賞を受賞している。いわゆる銀時計組であり、「キ61(三式戦闘機飛燕)の神様」と呼ばれた男である。苗字と家紋は紀州の殿様から授かったものである。

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