2009年5月22日金曜日

「アルト=サックス、始めました」ときたか。

昨日の記事「数学と楽器演奏」で述べたが、両者には密接な関係があるにちがいない。あくまでも、経験的にだが。

公立高校の場合、やる気満々の中高一貫校とはちがって、文部科学省が決めたとおりのカリキュラムから大きく逸脱して、過度な先取りすることはない。英語に関しては、検定済み教科書ではない教材(Progress in English 21・Treature・Birdlandなど)を使うことは、一般的にはない。一方、中高一貫校のなかには、中学3年生終了時に高校2年生が学習するCrown English Course IIを終えている学校もある。

灘中学校・高等学校の場合、中学数学は1年とちょっとで終え、4年くらいかけて高校数学を学び、残りの1年を受験勉強にあてる。高校数学を始めてから、5年後に大学受験するわけである。普通は、高校数学を学び始めて3年後に大学受験なのだから、灘高校の場合、現役合格でも「実質2浪」じゃないのかとは言ってはいけない。中学2年生のときから高校数学を始められるということ自体、才能がいるし、高校1年生終了の段階で、受験していれば東京大学や京都大学に合格する学力を備えている者もいるのだから。

こうした状況を踏まえ、かつ、物理は数学がわかっていないと話にならないところがあるので(高校の数学II・Bを終えてもいないうちに物理を中学校から教えるところは、変な気がする)、公立高校であっても、自主的に先取り学習したほうがよい。

ところが、定期試験でまずまずの成績だと、自ら率先して先取り学習をしようという気にならないものらしい。

かといって、強制するのは、当校の方針ではない。

ということで、地道に説得するわけだ。


数学の才能が、10万人中で上位10人までのレベルであれば、べつだん、公立高校のカリキュラムどおりでもよいが、並みのレベルで「数学が得意」(上位3%)というくらいならば、どんどん先取りしたほうがよいと指摘した上で、「数学と楽器演奏」の話をして、楽器に入れ込んでいないのであれば、並みのレベルで数学が得意なだけである可能性が高いから、どんどん先に進めたほうがよいと述べる。

そうした際には、こんなことも述べる。

数学のノーベル賞といわれるフィールズ賞受賞の広中平祐は独学でピアノにエネルギーを注いでいたが、始めた年齢が遅いということで、音楽家の道を諦(あきら)め、高校2年生から数学を真剣にやりはじめて、京都大学に合格し、「普通レベルの超難関大学の大学院レベル」の授業が展開される京都大学理学部数学科で落ちこぼれることがなかった(京都大学の数学科は100人いれば99人が落ちこぼれるとされる)。しかし、それは広中平祐だから可能であったのであって、普通のレベルの意味で数学が得意なだけの場合、どんどん先取りしたほうがよい。むろん、楽器演奏に入れ込んだことがあったからといって、超1流の数学の才能があるとはかぎらないが、しかし、少なくとも、楽器演奏に入れ込んだことがないのであれば、「普通レベルで数学が得意」にすぎない可能性が高いのだから、広中平祐のようになれるとは思わないほうがよい。


以上のようなことを、ときおり、話すことがあるのだが、こういうことを話した数日後、ある生徒がこう言った。


「アルトサックス、始めました!!!」


そうきたか。まるで「冷やし中華、始めました」みたいだった。

 

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和歌山県, Japan
早稲田大学第一文学部哲学科哲学専修卒業、「優」が8割以上で、全体の3分の2以上がA+という驚異的な成績でした。大叔父は競争率180倍の陸軍飛行学校第1期生で、主席合格・主席卒業にして、陸軍大臣賞を受賞している。いわゆる銀時計組であり、「キ61(三式戦闘機飛燕)の神様」と呼ばれた男である。苗字と家紋は紀州の殿様から授かったものである。

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