アルバム=タイトルはSongs to Rememberで、以下の曲が収録されていた。
Songs to Remember
1. Asylums In Jerusalem
2. Slow Soul
3. Jacques Derrida
4. Lions After Slumber
5. Faithless
6. Sex
7. Rock-a-boy Blue
8. Getting', Havin' and Holdin'
9. Sweetest Girl
以上の曲のうちで、人気があるのは、たぶん、'Sweetest Girl'だろう(iTuneでは、どういうわけか、'Asylums In Jerusalem'がいちばん売れていた)。Madnessというバンドがカバーしている。
個人的には'Gettin', Havin' and Holdin''が好きなんだけど、YouTubeで見つからなかった。ピーター=バラカンPeter Barakanによれば、ふつうのイギリス人には、歌詞の意味があまりわからないらしい。
Scritti Polittiというユニット名そのものが、イタリアのマルクス主義思想家アントニオ=グラムシAntonio Gramsciのことばから採ったもので、「政治的著作」くらいの意味だ。Green Gartside自身、インタヴューで'political writing'のことだと答えている。
また、Jacques Derridaはフランスの哲学者・文芸評論家の名前で、さらには、Gettin', Havin' and Holdin'には'True like the Tractatus'という歌詞があり、Tractatusはルートヴィッヒ=ヴィトゲンシュタインLudwig Wittegensteinの『論理哲学論考』Logisch-Philosophische Abhandlungの英訳版の題名Tractatus Logico-Philosophicusのことだ。
Scritti PolittiのSongs to Rememberiは、ユニット名や歌詞に哲学書の題名を入れるなど、衒学趣味(げんがくしゅみ)的な部分がウケて、それなりに売れ、評価も低くはなかった。当然、ライブの依頼が殺到する。
ところが、この音楽ユニットには、致命的な欠点があった。コンピュータによる打ち込みでアルバムを製作していたので、アルバムどおりに演奏できなかったのだ。それで、ライブ依頼を断り続けていた。
ライブのできない音楽ユニットだったのだ。
それでも、1985年には2枚目のアルバム、Cupid & Pysche 85を、1988年には3枚目のアルバム、Provisionをリリースしている。
ライブができないといっても、その要望が強く、80年代か90年代に、1度、楽器演奏の部分に録音したものを使って「生出演」したが、やっぱりカッコ悪いと思ったらしい。ライブは封印(ふういん)してしまった。
その後、楽器演奏まで含めた「ちゃんとした」ライブを行なうようになったのは、2006年のことだ。ファースト=アルバムをリリースしてから、24年後のことだった。24年間も練習していたわけだ。
24年間の練習の成果がこれだ(笑っちゃだめだよ)。
つぎのが最新アルバムに収められているSun in Snow。あまり技術が必要のないものを作曲しているような気がしなくもない。
こんなの並べてみたけど、よく考えたら、自分自身、最近は、iTuneでしか音楽は買っていないな。ま、アルバムの表紙だけ、楽しむといいよ。
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