どうも、ある特定の方法で学習塾・予備校の受講費の値切り方が、うちの近所で流行(はや)っているように感じる。
その方法とは、つぎのものである。
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対象は、個人運営の学習塾である。個人運営だと、代表あるいは運営者の独断で値引きを決定することができる。
まず、「生活が苦しい」「家計が苦しい」と言ってから、退塾を示唆(しさ)する。
集団指導型の学習塾では、20人の生徒が19人になっても、授業の負担は変わらない。だから、退塾されるくらいなら、半額で構わないと提案する。
保護者としては、半額になって嬉(うれ)しいとなる。
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この手を使って値切るというのが横行(おうこう)しているようである。
学習塾側の対応としては、受験まで1年だとすると、半額ずつ2年間に亙(わた)って支払うという提案もありうるが、卒業後に約束を反故(ほご)にする例が少なからず見受けられる。
大手の学習塾で同じことをすれば、ローンを組まされたりするが、ローンを組ませるところにいい塾はない。
当校にあっても、だいたい2年に1件くらいのペースでそういう保護者が出現する。
「智慧(ちえ)」に対して報酬(ほうしゅう)を支払うことを嫌がるタイプが存在する。そういうことをしてくるからには、保護者のそういう態度は子どもの知育に悪影響を与える可能性がなくもない。だから、当校ではすっぱりと退塾して貰(もら)っている。
つぎのような事例があった。
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保護者「受講料がきついので、塾を辞めさせようかと考えているのですが……」
私「そうですか。わかりました。特段の手続きは不必要ですから、お辞めください」
保護者「えっ……、あの……、えっ……。(受講料が)ゼロになるくらいなら、半額のほうがマシじゃないんですか?」
私「マシじゃないです。ひとりひとりに合わせたプリントを作成しているので、正規受講料でも、同じ教材を使っている同じレベルの生徒が数人いればいいのですが、ひとりしかいません。なおかつ、教科書のレベルが低いので、おそらく、今、作成しているプリントの使い回しも無理でしょう。正規受講料でも退塾してもらいたいくらいです」
保護者「えっ、でも、ゼロなら半分のほうがマシでしょう」
私「いやあ、もう、退塾で結構です。うちは受講料以上の価値があると考えていますので」
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集団指導型の個人運営の学習塾でしか通用しない手段を個別対応型で用いようとして失敗した例である。
当校で頗(すこぶ)る成績が上がり、大学の附属高等学校にも進学できて、よい成績を修(おさ)めて希望の学部に進学したいと考えていた生徒本人はやる気満々だったこともあってか、相当にがっくりとなったらしい。うちの生徒と近所でばったりと遇(あ)うと、さみしげに視線を逸(そ)らしたという。
大卒でない保護者は、きちんと勉強して、高校でも大学でも一定の成績を修めなければならないということがわかっておらず、大学の附属で、ほぼ全入で大学進学できるとなれば、受講料がもったいないと思う場合がある。
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自己紹介
- 掃除機庵主人
- 和歌山県, Japan
- 早稲田大学第一文学部哲学科哲学専修卒業、「優」が8割以上で、全体の3分の2以上がA+という驚異的な成績でした。大叔父は競争率180倍の陸軍飛行学校第1期生で、主席合格・主席卒業にして、陸軍大臣賞を受賞している。いわゆる銀時計組であり、「キ61(三式戦闘機飛燕)の神様」と呼ばれた男である。苗字と家紋は紀州の殿様から授かったものである。
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