こんな不景気に新規に不動産屋を始める、あるいは新規出店するというのは、莫迦(ばか)じゃないかと思った。マンション住まいなら、引っ越し費用が勿体(もったい)ないので、更新手続きをするだけというのが多いだろうと予想できるからだ。
暫(しばら)くしてから、推薦入試合格発表後から一般入試合格発表後までに1年分の荒稼(あらかせ)ぎができると考えてのことなのかと思った。
しかし、近所の日本大学藝術学部(げいじゅつがくぶ)と武蔵野音楽大学とは、全国から学生の集まる大学で、全国各地の富裕層の子弟が進学するが、武蔵大学は、東京にある地方大学である。学生の殆(ほとん)どが、西武池袋線沿線の住民か、都営大江戸線沿線の住民の子弟なのである。首都圏でそれ以外の場所から進学する人は、ちょっと変な人である。
千葉県市川市から武蔵大学に通う学生と話をしたことがあるが、武蔵大学にした理由を訊(たず)ねたところ、日東駒専(日本大学・東洋大学・駒沢大学・専修大学)のような知名度が高い中堅上位の大学だと、その程度の大学に通っているのかと思われるのが嫌で、大学に関心のない普通の高卒の人が知らない武蔵大学にしたという。しかし、彼は間違っている。実際は日東駒専よりもレベルが高いのに、大学に関心のない人たちからすれば、「聞いたことのない大学に通っている(もしかすると頭の悪い)人」と勘違(かんちが)いされるだけなのだということに気づいていなかったらしい。
それはともかく、武蔵大学は自宅生が多いから、下宿を探すことはない。
リーマン=ブラザーズ=ショック後に開業した不動産屋のうち、1軒はうちの生徒の同級生の親戚(しんせき)だということで、探(さぐ)りを入れてみた。
期待したほども、下宿探(げしゅくさが)しがなかったという。
数学で「場合分けしてものを考える」ということを習うのに、全国から学生が集まる大学と、地元の路線沿線からしか学生が集まらない大学とを場合分けして考えることができなかったようである。
商売とは、斯(か)くも難しきものよのお。
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