2014年5月12日月曜日

『エッフェル塔の思い出』La Mémoire de La Tour Eiffelをフランス語で読んだときの衝撃

『エッフェル塔の思い出』 La Mémoire de La Tour Eiffel というのを、若いときに読んだ。

題名から考えて、エッフェル塔にまつわる思い出を、だれかが語るのだろうと思った。

ところが、冒頭からして、みょうなのだ。

「私の父はギュスターヴ=エッフェルGustave EIFFELであり、母は近代科学だった」

なんだ、これは!?

エッフェル塔自身が、一人称で語り始め、自(みずか)らの生い立ち(おいたち)や人生を振り返るという小説だった。

フランス文学史なんてものは、いわば、実験小説の歴史みたいなところがあるから、こんな程度では驚いてはいけないんだよね。

ギュスターヴ=エッフェルは、もともとは橋の設計の専門家であった。だから、エッフェル塔には、橋の設計のノウハウが取り入れられている。

パリの真ん中に塔を設計するのは、フランスのエリートたちからは蔑(さげす)まれた。景観を破壊する醜悪(しゅうあく)な塔を設計するなどというのはエリートのすることではない、と。

そこで、橋の設計をしているギュスターヴ=エッフェルが、塔の設計を担当することになった。だから、エッフェル塔のデザインは、橋の設計を応用したものになっている。

東京タワーや、法隆寺(ほうりゅうじ)の五重塔に基づく東京スカイツリーとは、設計思想がまったく違っている。

また、ギュスターヴ=エッフェルは、アメリカ合衆国にある「自由の女神」の設計を担当している。

エリートではなかったが、後世(こうせい)に名を残した例である。


















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早稲田大学第一文学部哲学科哲学専修卒業、「優」が8割以上で、全体の3分の2以上がA+という驚異的な成績でした。大叔父は競争率180倍の陸軍飛行学校第1期生で、主席合格・主席卒業にして、陸軍大臣賞を受賞している。いわゆる銀時計組であり、「キ61(三式戦闘機飛燕)の神様」と呼ばれた男である。苗字と家紋は紀州の殿様から授かったものである。

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