インターナショナル=スクールに通う小学5年生の宿題が難しすぎて、笑ってしまった。
揚力(ようりょく)などに関するものだった。
以下に掲げる用語の説明をするという宿題だった。
aerodynamic force 揚力(ようりょく)
Bell X1 世界で初めて水平飛行で音速を突破した有人実験ロケット機
Charles Yeager ベルX1の操縦士
Mach マッハ/音速
Newton's laws of motion ニュートンの運動の法則(ほうそく)
Newton's first law 第1法則(慣性(かんせい)の法則)
Newton's second law 第2法則(ニュートンの運動方程式(うんどうほうていしき))
Newton's third law 第3法則(作用・反作用(さよう・はんさよう)の法則)
Bernoulli's principle (流体力学の)ベルヌーイの定理
four forces of flight 航空の4つの力
thrust 推力(すいりょく)
drag 抗力(こうりょく)
lift 揚力(ようりょく)
weight 重力
さらに、イラストも2つ描(か)かなければならなかった。
ひとつは、航空機の絵を描(か)いて、矢印を記入して、それぞれに、thrust(推力)・drag(抗力)・lift(揚力)・weight(重力)を書き込むというものだった。
もうひとつは、翼(つばさ)の断面を描(か)いて、空気の流れを描(か)き込んで、揚力を説明するというものだった。
宿題の処理については、ウェブ上で、適当な資料を見つけて、印刷したものを渡してから、要約したり、そのまま書き写したりしてもらって、こちらが点検するだけだった。また、揚力そのもののイメージを摑(つか)んでもらうために、わかりやすそうな動画を見てもらった。
直してもらったのは、つぎの2点だけだった。
まず、Bell X1のところで、「音速を超えた」としているところにin level flight(水平飛行で)をつけ加えてもらった。1945年に日本の陸軍機である三式戦闘機「飛燕」が急降下で音速を超えているから、in level flight(水平飛行で)とつけたほうがいいんじゃないかと指摘した。
つぎに、翼の断面図の上に、low pressure(低い圧力)としか書いていなかったので、high velocity(高い(空気の)速度→空気の流れ 速い)を、また、翼の下にhigh pressure(高い圧力)しか書いていなかったので、low velocity(低い(空気の)速度→空気の流れ 遅い)を書いておいたほうがいいよと言った。
high velocityという語を耳にした高校生が、「あのぉ、去年の4月に、velocity(速度)って単語を知ったんですけど……」と言って、驚いていた。
私自身、小学5年生で、この内容にはびっくりした。キリスト教に基づく一貫教育校だから、聖書に関する宿題が難しいのは理解できる。また、カナダ出身の教師も多く、カナダの一部は北極圏内にあるので、北極圏に関して、無闇矢鱈(むやみやたら)と細かいことを調べさせるのも理解できる。しかし、小学5年生で揚力というのは、ごく一部の理系小僧にしか無理だろう。
ちなみに、中学受験の四谷大塚が開催している理科実験教室で揚力を扱うのは、選抜制の最上級クラスでのみ、それも6年生の1月のことである。
まあ、アメリカ合衆国が誇れる唯一の重工業が航空機製造業といえなくもないからなあ。教育にも、お国柄(くにがら)は出るものなのである。
ところで、日本車叩(たた)きの嵐がアメリカ合衆国で吹き荒れたときに、日本車輸入全面禁止措置(そち)を求める声すら上がった。そのとき、航空機産業界からつぎのような発言があった。
「やめろ! そんなことをすれば、あいつら[=日本人]は、本気で航空機を作り始めるぞ!」
登録:
コメントの投稿 (Atom)
ブログ アーカイブ
-
▼
2013
(331)
-
▼
1月
(28)
- 日本人は、なぜ、摺り足(すりあし)が好きなのか?
- アクセス解析を見たら、スマートフォンからの接続が圧倒的だった。
- 東京都立高等学校の偏差値が上がれば上がるほど、主要5教科の教員のレベルも上がる理由
- 安倍首相をインドネシア政府が紅白の典礼服で迎えたことを一部の保守系は誤解しているようである。
- 「吉永小百合」と「加賀まりこ」で画像検索した場合の結果を分析する。
- 若いときの渡辺謙の動画をYouTubeで再生してみせたら、うちの生徒にウケたぞ。
- 「北里大学 薬学部 結婚は」で検索している人がいた。
- バレエをやっている女の子たちがスリムである理由
- 最近、お辞儀(じぎ)の角度がみょうに深くなったのが、バレエ動画のせいだった。
- もしも「宇宙戦艦ヤマト2199」のガミラス星人のモデルが◯◯だったら……
- 宇宙戦艦ヤマト2199のガミラス軍がドイツ軍と大日本帝国陸海軍みたいだということについて
- さみしいので、大黒鼠(だいこくねずみrat)と暮らすことにした。
- 「夢のメルヘンに行ってしまいました、あははは」と言った当校生徒のおじいちゃん
- とある超1流企業の社員がサウジ=アラビア支店の支店長をしていたときの主たる仕事
- 高校受験用の駿台模試で全国1位をとったやつを凹(へこ)ませたうちの生徒の発言
- 前向きな胃癌患者(いがんかんじゃ)
- 東京で雪が積もり始めたときに、事故を起こす自動車は、四輪駆動車が多い。
- インターナショナル=スクールの小学5年生の宿題が難しすぎて、笑ってしまった。
- 楽しき早稲田大学
- 一部のマスメディア(マスコミ)は何故、偏向しているのかついて、精神分析の観点から考えてみた。
- 国債残高が1000兆円近いけど、戦時国債のことを考える意外と大丈夫な気がするのだが……。
- 「掃除機庵御主人様」でメールが届いた。
- 海豚(イルカ)の肉を食べさせられた世代
- 日本人のせいで製品・商品の仕様が変わった事例(その2):コンサイス=オックスフォード=ディクショナリー
- 日本人のせいで製品・商品の仕様が変わった事例(その1):モンブランのマイスターシュトゥック#149
- 映画監督が選ぶベスト映画で小津安二郎の『東京物語』が1位となった理由
- NHKの受信料の不合理さ
- 先日、うちの女子高校生が石原伸晃の高校時代の成績を推測しようとしていた。
-
▼
1月
(28)
自己紹介
- 掃除機庵主人
- 和歌山県, Japan
- 早稲田大学第一文学部哲学科哲学専修卒業、「優」が8割以上で、全体の3分の2以上がA+という驚異的な成績でした。大叔父は競争率180倍の陸軍飛行学校第1期生で、主席合格・主席卒業にして、陸軍大臣賞を受賞している。いわゆる銀時計組であり、「キ61(三式戦闘機飛燕)の神様」と呼ばれた男である。苗字と家紋は紀州の殿様から授かったものである。
links
人気の投稿
-
カワサキKSR110を手に入れた。 ひとり乗り専用車だ。後ろに女は乗せられない。「男カワサキ」だからな。 レース仕様のキャブレターのせいで、雨の日には乗れない。「男カワサキ」だから。 ちんたら走ると調子が悪くなる。「男カワサキ」だから。 東京23区内だと1速と2速で間に合...
-
「%パーセント)」の筆順(書き順)について訊ねられた。小学生は思いもよらないことを質問してくる。 一般的には、「%」の左上の「0」を数字のゼロを書くのと同じように、頂点から反時計回りに描き、「/」を右上から左下へと描いてから、右下の「0」を、これまた数字のゼロを書くのと同じよう...
-
「風立ちぬ いざ生きめやも」の原文についてである。 もとはポール=ヴァレリー Paul Valéryの詩の一節 からの引用である。 Le vent se lève , il faut tenter de vivre . /l( ə) v ɑ̃ s( ə ...
-
大学の格が上になればなるほど、学生の身長が高くなる傾向がある。 総合大学、つまり、ひととおりの学部がそろっている大学の中では、東京大学の学生の平均身長がいちばん高いという資料を目にしたことがある。 総合大学にかぎらなければ、体育大学の学生の平均身長が高くなりそうだが...
-
ローストビーフを買った。 ローストビーフは、そもそも、イングランドの労働者階級が安い赤身の肉をおいしく食べるためにしつらえた食べ物である。グレイビーソースで味をごまかして、おいしく食べた気になるためのものである。 本来は、安価な赤身の肉をおいしく食べるためのものを、田村牛を使...
-
本田技研工業株式会社の創設者である本田宗一郎(ほんだそういちろう)は、新宿区西落合に邸宅(ていたく)を構(かま)えた。 あるとき、哲学堂公園に行くときに、本田宗一郎の邸宅も見ようと思った。 今は、息子である本田博俊(ほんだひろとし)のものである。 邸宅には少なくとも3...
-
宇宙戦艦ヤマト2199の「銀河航路」(宇宙船乗りの歌)の歌詞。 作詞:出渕裕(いづぶちゆたか) 作曲・編曲:宮川彬良(みやがわあきら) 1. 銀河 水平 波間を越えて 目指す恒星(こうせい) ケンタウリCentauri 星の瞬(またた)き 遙かに超えて 宇宙に...
-
専業主婦でも知らない人が少なくないので、お肉を柔らかく焼く方法について認(したた)めよう。 まず、フライパンを熱して、油を引く。 お肉を投入してよいくらいになったら、そこで一旦(いったん)、火を止めて、充分に冷えるまでフライパンを置いておく。 冷えた状態のフライパンにお肉を...
-
にゅうめんとは、そうめん(素麺)を茹でたものである。元来は「煮麺」であり、それが変化したものである。 東京生まれの人は、親が関西出身でもないかぎり、にゅうめんを知らない。知っていたとしても、たとえば、風邪を引いたときに、食べたことがあるくらいだというのがせいぜいである。 ...
-
ル=マン24時間レースに参加していた頃、日産はポルシェPorscheのレース用エンジンを2基、購入した。当時のポルシェは1基あたり10億円出せば、だれにでも売ってくれた。 ひとつはテスト用に使用し、もうひとつは分解してどんな秘密が匿(かく)されているのかを調べようとした。 と...
0 件のコメント:
コメントを投稿