2009年6月14日日曜日

ある特定の画家の日本画が不当に値段が高い理由

 日本画は、概(がい)して、世界全体での美術市場の価値からすると、値段が高すぎる傾向がある。じつのところ、一般の日本人は、鑑賞する対象として日本画を見ていない。
 では、どういうものとして日本画を把(とら)えているかというと、換金できる贈答品としてである。
 換金できる贈答品であるならば、値崩れがあってはならない。だから、ある特定の画廊は、そのために、日本画の値段が高止(たかど)まりであるようにする。
 東京のある場所にある画廊は、ある画家の日本画を3200万円で売り、購入者はその日本画を、特定の目的を以(も)って、政治家なり、官僚なりに贈る。贈られたほうは、数年後に換金したくなって、持ち込めば、その画廊は3000万円で引き取ることになっている。この場合の差額は、画廊の手数料だ。
 このシステムは、巧妙な賄賂(わいろ)のようなものである。
 このシステムを維持するには、人気がなくなった画家の作品でも、高値で引き取らねばならない。市場価値からすれば、無駄な高止まりを維持しなければ、このシステムは崩壊してしまう。
 また、世界的に有名な西洋の画家の作品は、このシステムにはふさわしくない。3200万円で売った絵が、10年後には、ヨーロッパやアメリカ合衆国で人気が下火になれば、1500万円で引き取るのが妥当な金額となっているのに、それを3000万円で引き取れば、「おかしい」と気づかれてしまう。
 絵画の価格操作がしやすいのは、海外からはさほど注目されていない日本画になる。その結果、日本画は、健全な美術市場が形成されていた場合と較べて、全体として不当に高くなっているのだ。
 その一方、ある画家が亡くなり、もともとたいした作品でもなかったということで、ある特定の画廊が、それまでに換金用絵画として売った絵も回収した後で、その画家の作品を取り扱わなくなった途端に、暴落する作品群がある。じつは、もともと、その程度の価値しなかった作品が、本来の市場価値に戻っただけのことである。
 日本画を買うというのは、「見る目」が試される行為である。数年後に20分の1の値段になる場合もあるからだ。しかし、本当にその絵が気に入ったのなら、市場価値と関係なしに、大金を支払ってもいいんだろうけど。



 この本でも、日本画の値段の仕組みに触れられている。

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和歌山県, Japan
早稲田大学第一文学部哲学科哲学専修卒業、「優」が8割以上で、全体の3分の2以上がA+という驚異的な成績でした。大叔父は競争率180倍の陸軍飛行学校第1期生で、主席合格・主席卒業にして、陸軍大臣賞を受賞している。いわゆる銀時計組であり、「キ61(三式戦闘機飛燕)の神様」と呼ばれた男である。苗字と家紋は紀州の殿様から授かったものである。

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