ある日、かわいらしい指輪があったので、買ってあげようかと彼はその女性に言った。
「ごめん。金属アレルギーだから、プラチナか、22金以上じゃないと駄目なの」
後日、木製の指輪を彼は贈った。
その話を聞いて、〇〇ホテルの1階にある売店みたいなところで、抗アレルギー=プラスティックのピアスを売っている、ただし、軸というか、ピンというか、その部分はやや太かったが……ということを話した。彼は早速、それを買い求め、彼女にプレゼントした。
つぎに贈るものは何するかということになったので、金属アレルギーといえば、チタン合金に決まりでしょうと私は彼に提案した。しかし、当時、チタンの指輪なんてものはなかったので、特別註文で製作を依頼しなければならず、下手をすると、加工費がずいぶんな金額になるかもしれなかった。
しかし、チタンの指輪の製作依頼をすることはなくなった。
彼がその女性に捨てられたのだった。
「感性が違いすぎる気がする」というのが、その理由だった。
木製の指輪はともかく、やっぱり、抗アレルギー=プラスティックのピアスがまずかったのではないかと推測した。
「そもそもだな」と私は言った。「年収1千万円を超えているのに、木だの、プラスティックだのと、ケチくさいことをしたのが、最大の原因ではないか?」
この程度のことで感性が合わないと言うようなのは、こちらから願い下げだと、彼はさばさばした様子だった。
ところで、ウェブでちょっと調べてみたら、通信販売で木製の指輪やチタン製の指輪が売っていた。チタン製の指輪は、廉(やす)くても4,000円くらいで、高いものになると50,000円以上もする。この程度の加工で26,000円はないだろうというものもある。ほかの貴金属と、材料そのものの値段を較(くら)べてみよう(チタンはレアメタルであって、貴金属ではない)。チタンというと、「高価」というイメージがあるようだが、これはあくまでも工業製品を製造する材料としては高価であるにすぎない。
100gあたりのだいたいの値段
チタン
100円
銀
5,000円
金
300,000円
プラチナ
400,000円
チタン製の指輪の中には、ティファニーTiffanyの銀製品並みの値段のものがあるわけだ。なんというか、金属アレルギーの人の弱みにつけ込んでいるような気がする。もっとも、チタンは加工性に難があるそうだが、戦闘機の部品を造るのではなく、指輪なんだから、それほどの技術が必要だとは思えないのだが。
左のが幅2.5mm、右のは幅3.0mm。
それにしても、1gあたり1円の材料で、この値段は、うーん。
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