ところが、大学の教官・教員は、許容の「行なう」を使う割合がすこぶる高い。
たとえば、東京大学教養学部「基礎演習」テキストである(であった)『知の技法』では、「行なう」しか使っていなかったように記憶する。大学の教官・教員は、だいたい「行なう」で表記している。
「行なう」にこだわるのは、「行った」とあった場合、「行(い)った」なのか、「行(おこな)った」なのか、文脈に依存(いそん)するからであろう。文脈があれば、読み間違うことはないのだけれど。
事実、当初は、「行なう」が本則であったが、途中から、文脈があれば読み間違うことがないので、原則である「活用のある語の場合、活用語尾を送る」に変更した。
それでも、「行って」だと、「行(い)って」なのか、「行(おこな)って」なのか、ちょっとひっかかるので、大学の教官・教員は、おしなべて「行なう」を使っている。また、大量の答案を処理しなければならない大学入試で自分が答案などを読む場合にも、「行なう」が好ましいと考えているという意見も耳にしたことがある。
その一方で、中学校や高校の教員は、絶対に「行(おこな)う」でなければ間違いであると信じている者が少なからずいる。
以上のことから、つぎのように使い分けるのがよかろう。
中学受験・高校受験
「行う」と、活用語尾しか送らない。
大学受験
「行なう」と、活用語尾のほかに「な」も送る。
ちなみに、高校生にまで「行う」と「う」しか送ってはいけないと指導する塾・予備校は、大学内部のことを知らないと見なせるのではなかろうか。
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