2015年9月7日月曜日

「今のは、おやすみのキス? そ・れ・と・も……」と彼女は言った。

「笑い」の感覚は人によってまったく違う。

18歳のときに、フランス人の女の子とデートした。

彼女を送って、下宿の玄関の前で、キスをした。唇(くちびる)に軽くキスをした。

「ねえ……。今のは、おやすみのキス? そ・れ・と・も……」
'Well....  Is that a goodnight kiss?  Or....'

その後(あと)、私たちは黙(だま)ったままでいた。

「Is that...?のところは、過去形か、あるいは現在完了にしなければいけないんじゃないのかな?」と私は思っていた。

一方、彼女は「『おやすみのキス』の反対のことばは、何だっけ?」と考えていた。

私たちふたりは、初(はじ)めから違う方向を見ていたのだろう。


あることをきっかけにして、30年以上も前のこのことを思い出したわけなんだけどね。

それから、このことを話してみたところ、男性はくすっと笑って、「気の利(き)いたことをいう娘さんだね」とか、「おもしろいことを言うねえ」とか、そういう反応をした。

ところが、女性の場合、なぜか、全員が大笑いした。10代後半から80代まで、爆笑した。

近所のスーパーマーケットで、後ろにほかのお客さんがいないときに、馴染(なじ)みのレジのおばちゃんに「今のは、おやすみのキス? そ・れ・と・も……」の話したところ、そのおばちゃんだけでなく、残りのレジのおばちゃんたちも大笑いして、レジ全部が5秒ばかり崩壊(ほうかい)した。

なぜ、そんなにおもしろいのか、私にはさっぱりわからないままである。

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自己紹介

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和歌山県, Japan
早稲田大学第一文学部哲学科哲学専修卒業、「優」が8割以上で、全体の3分の2以上がA+という驚異的な成績でした。大叔父は競争率180倍の陸軍飛行学校第1期生で、主席合格・主席卒業にして、陸軍大臣賞を受賞している。いわゆる銀時計組であり、「キ61(三式戦闘機飛燕)の神様」と呼ばれた男である。苗字と家紋は紀州の殿様から授かったものである。

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