2009年5月7日木曜日

「天声人語」1文字の値段

 「天声人語」1文字あたりの値段を考えてみたい。
 「天声人語」の執筆担当者の年収がいくらなのかは不明だが、朝日新聞社では、早い人で、50代前半で年収2,000万円くらいだそうだから、2,000万円くらいだとしておこう。
 「天声人語」の執筆担当者は、「天声人語」以外の記事は書かないそうである。翌日分の「天声人語」を書き終えると、1日中、ぷらぷらして、資料室で、文献を調べたり、のんびりしているようだ。「天声人語」以外には何も執筆していないということは、年間に書いた「天声人語」の総文字数で、年収を割れば、1文字あたりの値段が割り出せるわけだ。

 「天声人語」1回分の総文字数であるが、最初の行頭を下げてある空白の部分は文字として数えないものとする。
 句点(。)と改行とを同時に示す「▼」は、1文字とみなす。
 すると、1回あたりの総文字数は623文字となる。
 毎日、掲載されているが、年間の掲載回数を考える場合、「新聞休刊日」の分を引いておかなければならない。新聞休刊日は、年間12回である。

  365-12=353

 つぎに、年間総文字数である。

  623文字×353回=219919文字

 1文字あたりの単価を算出する。

  20,000,000円÷219919文字=90.942574

 1文字あたり、約91円となる。とんでもないくらいに高い。
 10文字で、909円となる。コンビニエンス=ストアのアルバイト店員の時給よりも「天声人語」10文字分のほうが高い。
 1回の掲載分で考えるほうが、もっとわかりやすいだろう。

  91円×623文字=56,693円

 掲載分1回につき、およそ5万7千円である。

 政治や経済について論じる前に、自社の給与体系を論じたほうがいいんじゃない?



2009年5月6日水曜日

最も衝撃的なピアニストはだれ?

 当校では、音楽が勉強の邪魔にならない生徒しかいないときには、なにかしらBGMを流している。音楽を聴きながらの「ながら勉強」はよくないと思う向きもあるのだろうが、「ながら勉強」だと集中力は削(そ)がれるタイプは、元来、ハイレベルな勉強向きではない。
 それに、音楽を愉しむ大脳の部分と数学で使う部分は隣接しているので、音楽を聴くことそのものは、脳のためにはきわめて有効なのである。
 生徒全員に、当校で聴いたものでも、自宅などで聴いたものでもよいから、「これまでに最も衝撃を受けたピアニストはだれか?」と訊ねたところ、山下洋輔ということになった。
 しまった。質問の仕方が悪かったか? 「素晴らしいピアニスト」とか、「上手なピアニスト」にすれば、結果も違っていただろう。
 ある年齢から上だと、「山下洋輔」と答え、小学生だと、「ピアノを燃やす人」などの答えになった。「ピアノを燃やす人」というよりは、燃えさかるピアノを弾く人のほうが適切など思うんだが。


 同じ映像が、さまざまなタイトルの下で、YouTubeに上げられているところをみると、小学生にとってだけでなく、たいていの人にとっても、「衝撃的なピアニスト」なのは、まちがいないのだろう。

2009年5月5日火曜日

井上章一は、基本も習わずにジャズピアノを始めたせいで、痔になった。


 年寄りのあつまりではピアノの弾けるじいさんがモテるらしいが……のつづきなんだが、井上章一は、基本を習わずに、ジャズピアノを始めたせいなのか、すぐに、手や肩など、あちこちが痛くなるそうだ。挙句の果ては、痔になったという。
 40歳を超えてからピアノを始めるというのも、たいへんだ。
 痔になると、坐(すわ)って演奏し続けるのがつらくなる。それで、中腰で演奏したりもする。
 そこから、中腰の姿勢で演奏するジャズピアニスト、キース=ジャレットKeith Jarrettは、痔なのではないかと井上章一は推測していた。

 

↑右側がLimited Edition。

2009年5月4日月曜日

年寄りのあつまりではピアノの弾けるじいさんがモテるらしいが……

 井上章一の『アダルト・ピアノ―おじさん、ジャズにいどむ』という著書を読んだ。井上章一は、国際日本文化研究センター教授で、『美人論』などで知られる。それにしても『アダル・トピアノ』というタイトルは、売れることを狙った編集者が考えたものではないかと勘ぐってしまうなあ。
 『アダルト・ピアノ』は、井上章一が41歳でピアノをはじめ、猛烈に練習して、そこそこに弾けるようになった奮戦記のような部分を含むものである。

 もともと、ジャズが好きだということもあったんだろうけど、話をおもしろくするために、ピアノを始めた動機を、モテるからだということにしている。
 まず、老人のあつまりで講演をおこなった際に、ピアノの演奏ができるじいさんがモテると知らされる。ついで、大阪のバーかどこかで、店のピアノを借りて、初老の男性がジャズピアノをやってみせたら、ホステスにモテていたのを目撃する。そこで、ピアノの練習を始めるわけだ。

 女性にモテる男性は、一般にはつぎの3種類である。

 音楽の上手な男性(ミュージシャン)
 スポーツが得意な男性(スポーツ選手)
 話術が巧みな男性(お笑い芸人)


 だから、ピアノのできるじいさんがモテると指摘されても、そりゃあそうだろうなとしか思わない。
 しかし、現役時代にどんなに素晴らしいスポーツマンであったとしても、80歳になれば、むしろ、スポーツをしていなかった人たちよりも、身体の衰えが激しいだろうから、高齢になってもモテつづけることはできなさそうだ。
 また、お笑い芸人がモテると言っても、耳の遠いばあさんは、ことばが聞き取れないので、モテなくなる。
 この2点から考えると、いつまでもモテるのは、楽器の演奏のできるじいさんとなるだろう。

 だからといって、40歳からピアノを始めても、それほどモテるようにはならないような気がする。
 バーのピアノでジャズを演奏してホステスにモテていた初老の男性に関しては、たとえば、2000年の時点で60歳だと仮定すると、1940年すなわち昭和15年生まれであり、昭和20年代に自宅にピアノがあったとすれば、相当な金持ちで、ずいぶんと「育ちのよさ」を感じ取れる。だから、ピアノの演奏だけで、ホステスにモテていたわけではなく、育ち・人柄など、ピアノの演奏以外のものを含めた総合評価としてモテていたのではなかろうか?
 やはり、40歳を超えてから、ピアノを演奏するようになっても、モテモテ度はそれほど向上しないのではなかろうか?

2009年5月3日日曜日

この味がいいねと君が言ったけど……

ずいぶんと前の5月3日のことだ。

友人宅に招かれて、食事をふるまってもらった。友人である夫がほとんどすべてのイタリア料理をこしらえた。

彼の家庭では、寝起きのよくない奥さんに代わって、朝食は彼が作る。晩御飯は、遅く帰ってきてから、彼が自分の分を作って、食べる。奥さんは、自分の食事しか、ほとんど作らないそうだ。

その日、奥さんが唯一、作ったものは、ドレッシングだけだった。そのドレッシングは、けっこう、おしかった。たぶん、ワインヴィネガーがよかったんだと思う。

「このドレッシングはおいしいね」と言ってから、ちょっと笑わせようと思って、「なんだか、短歌を詠(よ)みたくなってきた」と期待させてから、こう詠んだ。

この味が いいねと君は 言ったけど
五月三日は 憲法記念日

すごく不機嫌になられた。おもしろいと思ったんだけどな。

ちなみに、上記の短歌は、作家の清水義範が『騙(だま)し絵 日本国憲法』の掲載していたものをそのままつかったもの。もちろん、オリジナルの短歌は、俵万智の「『この味がいいね』と君が言ったから七月六日はサラダ記念日」である。

俵万智の短歌は、当初、カレー味のから揚げだった。

また、短歌集『サラダ記念日』が話題になった直後の早稲田大学文学部学生食堂では「サラダ記念日サラダ」というものを販売したが、普通の女子学生には食べきれないほどの半端(はんぱ)ない量で、「サラダ記念日サラダ」を註文したのは、いかつい体育会系の男子学生だけだったそうだ。

ちっちゃくて、おしゃれなサラダにしておけばよかったのに。

 

2009年5月2日土曜日

澪標と澪

 このごろ、「澪(みお)つくし」という醤油(しょうゆ)を使っている。280年あまりの歴史をもつ入正醤油の製品だ。なんとなく買っていたが、NHKのドラマ『澪(みお)つくし』に由来するということを最近になって知った。ドラマの存在は知っているが、ドラマはまったく観ていない。
 この文章では、現代仮名遣いは緑色で、正仮名遣い(旧仮名遣い)はで表記する。
 「澪標(みをつくし)」は、『源氏物語』の巻名にひとつでもあるが、同時に、小倉百人一首に登場する元良親王(もとよししんわう)の和歌に登場することでも有名である。

  わびぬれば 今はたおなじ 難波なる 
   みをつくしても あはむとぞ思う

 「みをつくし」は「澪標」と「身を尽くし」とを掛けている。
 「澪標(みをつくし)」の「澪(みを)」は、川や海で、底が溝のように深くなった部分のことで、船の水路となるもの。「澪標(みをつくし)」の「つ」は現代語の「の」に相当し、「澪つ串」つまり「澪の串」の意味で、川や海で、水路に杭(くい)を並べて、船が往来する際の目印とするもののことである。
 「身を尽くし」とは、「命を捨ててでも」くらいの意味。

 さて、NHKの『澪つくし』は「みおつくし」と読んでいた記憶している。元良親王の和歌からだったと思うのだけど、「澪」が気になって、たしか、『大言海』という4分冊の国語辞典で調べたと思うのだが、そこでは「澪」の読みが「みよ」となっていた。

 はっきりしないのだけど、古語で「みを」「みをつくし」だったのが、明治・大正ならびに昭和初期には、それぞれ、「みよ」「みおつくし」と分化したという可能性を考えた。それをおもしろい現象だと思っていたのだが、今では、手許の辞書ではどれもこれも「澪」は「みお」となっている。
 「みよ」という読みもあったはずだと思って、Googleで検索してみたら、「青空文庫」では幸田露伴(こうだろはん 慶応3年‐昭和22年)の「幻談」(新字新仮名版)では、つぎのようにルビがふられていた。

澪(みよ
澪釣(みよづり
澪杭(みよぐい

 「みお」は、ちょっと気を抜くと「みよ」に近い音で発音してしまいがちである。これは、「マリア」を「マリヤ」と発音するのと似ているのだろう。
 もしかすると明治から昭和初期には「みお」「みよ」の両方の読みがあったのが、「みお」に収斂(しゅうれん)したのかもしれない。もし、そうだとすれば、NHKの『澪つくし』の影響がすこぶる大きいのだろうな。

2009年5月1日金曜日

新しいシーズンが始まると、アニメ番組の第1回をすべて観るという生徒がいた。

 新しいシーズンが始まると、アニメ番組の第1回をすべて観るという生徒がHAL496にいた。そういうアニヲタ(=アニメオタク)はいるんだろうなと想像していたが、こんなにも身近にいるとは思いもよらなかった。
 ところが、本人は、自分はアニヲタではないという。第1回はひととおり観るが、最後まで見続けるのは1つしかないからだという。
 アニヲタでなければ、第1回はすべてチェックするということはしないと思うのだけど。
 その生徒によれば、このシーズンでいちばんのお薦めは『けいおん』という高校の軽音楽部を舞台にしたガールズバンド物語だそうだ。原作は漫画だそうだ。
 以前から、音楽漫画は流行(はや)るはずがないと思っている。漫画からは音が聞こえてこないから、絶対に評価されるはずはないと思っている。
 ところが、『けいおん』はアニメ化されたし、少し前だと、『のだめカンタービレ』が漫画の原作から、アニメや実写になっている。また、『ピアノの森』も漫画の原作からアニメ化されている。
 音楽の聞こえない音楽漫画がおもしろいとは、どうしても思えないのだが。あるいは、音楽は作品の小道具みたいなもので、本質にさほどかかわらないものなのだろうか?

自己紹介

自分の写真
和歌山県, Japan
早稲田大学第一文学部哲学科哲学専修卒業、「優」が8割以上で、全体の3分の2以上がA+という驚異的な成績でした。大叔父は競争率180倍の陸軍飛行学校第1期生で、主席合格・主席卒業にして、陸軍大臣賞を受賞している。いわゆる銀時計組であり、「キ61(三式戦闘機飛燕)の神様」と呼ばれた男である。苗字と家紋は紀州の殿様から授かったものである。

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