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2014年5月18日日曜日

「大英帝国」の「大」の意味

British Empireが大英帝国と訳された由来は、はっきりとしていないが、Great Britainという島の名称によるものだろう。

島の名前に、Greatがついたのは、英国国王が所有している領地が、フランスにもあって、英語名はないのだが、小ブリテンBritania minorであった。それとの比較で、大ブリテンBritania majorというのが存在したわけである。

昔のヨーロッパの王族は、自国のみならず、ヨーロッパのあちこちに領地を所有していた。

フランス革命のときに、フランス国内にある自分の領地を奪われるのが嫌で、あちこちの王族が「反革命」を起こした。

それで、国民国家として、踏ん張らなければならなかったフランスは、基本的には戦争には弱いのに、ナポレオンが頑張った。

ところで、「小日本」がないのに、「大日本帝国」を名乗った日本は、なんだか変な感じがする。

でも、日本の版図(はんと)がいちばん大きかったときは、こんなんだったんだぜ。




2014年5月16日金曜日

BMWって、日本語にすると「バイハツ」じゃないのか?

BMWは、Bayerische Motoren Werke AG(バイエリッシェ=モトーレン=ヴェルケ=アー=ゲー)の略で、「バイエルン発動機製作所株式会社」の意味である。

ところで、ダイハツ工業株式会社という自動車メーカーがある。一般には「ダイハツ」と呼ばれている。

もともとは、「発動機製造株式会社」として1907年に設立されたが、その後、「発動機」を冠するメーカーが多く登場し、他社と区別するために「阪の動機」と呼ばれることになったことから、「ダイハツ」となった。

BMW(バイエルン動機製作所株式会社)も、日本語として敢(あ)えて略すなら、「バイハツ」が妥当(だとう)である。

バイハツと書いてある自動車は、買いたくなくなるなあ。

以上の内容を、ある人に話したところ、「あ、俺(おれ)も大学でドイツ語を習ったときに、同じことを考えた」と言われた。

なんか、悔(くや)しい。

2014年4月30日水曜日

ヘボン式以外のローマ字表記には一体、何があるんだと南カリフォルニア大学の教授が言った。

大学生だったとき、早稲田大学の国際学部で、南カリフォルニア大学の哲学の教授が1年間、客員教授を務(つと)めた。交換留学生の教授版である。

この国際学部というのは、主に英語圏の大学生が交換留学生として在籍しているのだが、日本語に堪能(たんのう)なわけはなく、日本の大学に留学しながらも、英語で授業を受けているだけだった。

その国際学部に、南カリフォルニア大学の哲学の教授が1年間、在籍した。

英会話が好きな日本人の学生が、国際学部の校舎によく出入りしていた。

学生たちが自由に出入りし、雑談をしたりする部屋があった。ある日本人の学生が、南カリフォルニア大学の教授と話をしたところ、この大学の哲学科の学生たちと会いたいと言った。

そう言われた日本人学生が私をその教授に紹介し、哲学科哲学専修の学生数人で、教授の住まいを毎週1回、訪問して、ざっくばらんな講義を英語で受けるようになった。

その教授は、日本に来る前に、日本語会話の本を何冊も読んだ。

すると、どの本でも、「日本語をアルファベットで表記するにはさまざまな表記法があるが、本書ではヘボン式ローマ字を採用している」ということが書いてあった。

日本語会話の本を何冊読んでも、「日本語をアルファベットで表記するにはさまざまな表記法があるが、本書ではヘボン式ローマ字を採用している」と書いてあるばかりである。

それで、その教授は、「ヘボン式以外のローマ字表記には一体、何があるんだ?」と言った。

それで「訓令式(くんれいしき)ローマ字」を教えた。

「『し』をsi(シィ)と表記する訓令式は駄目(だめ)だ。英語を話す人には発音に関して誤解を与える。『し』はshi(シ)でないといけない」とその教授は言った。

いやはや、だから、ヘボン式ローマ字表記で日本語会話を説明しているんだって。

この教授の話は、明日に続く。

2014年4月14日月曜日

第2外国語の効果的な勉強法

第2外国語の効果的な勉強法について述べる。

難関大学では、中堅上位とされる大学と較べて、文法事項が5倍くらいの速度で、ひとつの文法事項について登場する単語や熟語も5倍くらいで、概(おおむ)ね25倍の速度で進行する。そのくらいの速度でないと、大学1年生の12月に原書購読(げんしょこうどく)ができない。

まず、当該(とうがい)の第2外国語の文法を解説してある英語の文献を買って、勉強する。

フランス語だと、代名詞の位置が英語とちがっていたり、ドイツ語だと、「枠構造(わくこうぞう)」というのがあるが、それでも、日本語の文法書で勉強するよりは、語順が近いので、きわめて迅速に学習できる。

その上で、比較的直訳の英訳を探し出し、原書とともに購入する。そして、両方の文章を並べて、只管(ひたすら)、読み込む。

以上の方法で、大学4年間で、私はフランス語をそれなりに習得し、ドイツ語では、哲学などの文献に限られるが、比較的短期間でかなり読みこなせるようになった。フランス語の成績は、1つを除いて、すべて「A評定(90点から100点)」だった。

但(ただ)し、この方法論の欠点は、英語の語彙(ごい)が少なくとも2万語、できれば3万5千語くらい必要だということである。

ちなみに、難関大学に合格するのに必要な英語の語彙(ごい)は、1万2千語くらいとされる。

ほとんどの大学生には、役に立たない方法論でした。

2014年3月7日金曜日

検索ワードに「ロシア語」が増えていた。

例年、2月から3月には、第2外国語に関して検索する人が増える。大学に合格して、第2外国語を選択しなければならないので、調べる人が増えるようである。

アクセス解析を見たところ、今年は、例年と較(くら)べてロシア語を調べる人が異常に多くなっている。

早稲田大学文学部ロシア語ロシア文化専修(旧・ロシア文学専修)は、超不人気専修なのに、今年(2014年)は、ロシア語のことを調べている人が多くなっている。

ちょっと考えたところ、ロシアで開催されたソチ=オリンピックの影響らしい。

なかでも、女子フィギュア=スケートのロシア人選手のアデリナ=ソトニコワ・ユリア=リプニツカヤ・エレーナ=ラジオノワたちが綺麗(きれい)だからではないかな。

これ以外には、ロシア語を第2外国語として選択することを検討している人が増えている理由が、今のところ、見当たらない。

この逆で、男子フィギュア=スケート金メダリストの羽生結弦(はにゅうゆづる)の影響で日本語の学習を検討している外国人も増えているのだろうな。

2014年3月4日火曜日

「元気をもらう」はおかしい表現である。

「元気をもらった」という言い方をする人が多くなっている。

しかし、本来の日本語の表現では「元気が出た」が適切だろう。

どうやら、英語の受動態の影響なのではないかと考えている。

たとえば、「私は感動した」というのは、英語の子ども英語ではI was moved.であるが、これは、直訳としては「私は(心を)動かされた」という意味であり、そこから、「私は感動させられた」となり、自然な日本語としては「私は感動した」となる。

このような西洋語の表現が影響して、「元気をもらった」という言い方が普及(ふきゅう)したような気がする。

2014年2月7日金曜日

LAND ROVER(ランドローバー)という名前は変である。

LAND ROVERは、イングランドの自動車メーカーのブランドだったが、今は、インドにあるタタ=モーターズTata Motors Limitedのブランドである。

roverには「放浪者(ほうろうしゃ)」の意味もあるが、古い英語で「海賊(かいぞく)」の意味がある。

pirate(パイレート=海賊)は、日本語で言えば、漢語(かんご)系の語で、roverは大和言葉(やまとことば)系の語である。

LAND ROVERは、言ってみれば、「陸の海賊」となる。それなら、「山賊」を意味するbanditがあり、ついで述べると、スズキのオートバイにBANDITがある。

「陸をさまようもの」と「陸の海賊」とをかけているのかもしれない。

なお、イングランド人は、roverという語が好きらしく、イングランドのフットボール=クラブには「ローヴァーズ」を名乗るものが少なくとも4つある。

Blackburn Rovers
Bristol Rovers
Doncaster Rovers
Tranmere Rovers

曾(かつ)て、7つの海を制覇(せいは)したことを、よほど誇りに思っているのだろう。

2014年1月30日木曜日

あまり「訓(くん)読み」が知られていない漢字

あまり訓読み(くんよみ)が知られていない漢字がある。

まず、「肉」を「にく」と読むのは音読みである。訓読み(くんよみ)では「しし」と読む。

「いのしし(猪)」は、本来は、「い」と呼ばれる動物の「肉(にく)」という意味である。

動物の肉だったのに、どういうわけか、その動物そのものを指すようになった。

ことほどさように、日本人は、意外と肉を昔から食べていたのである。

つぎに、「台」がある。

訓読みでは「うてな」と読む。基本的には、四方を眺めるために建てられたもののことである。高殿(たかどの)だと考えてもよい。

2013年12月31日火曜日

今日はNew Year's Eveを迎えるが、Eveの意味を訊(たず)ねられた。

一般に、Eveは「前夜祭」と訳されるが、たとえば、クリスマス=イヴにしても、ニュー=イヤーズ=イヴにしても、当時の夜に騒がないのは不思議だという。

日本語では、日の出から1日が始まり、翌日の日の出で、昨日が終わる。

ところが、欧米人の「1日」の観念は、違っている。

日没から始まり、翌日の日没で終わる。

つまり、「前夜祭」とはいうものの、じつは「当日の夜」なのである。

だから、Eveに大騒ぎする。

なお、英国では、午前0時を迎えるときに、「螢(ほたる)の光」の原曲でスコットランド民謡であるAuld Lang Syneが流れ、演奏が終了すると、そばにいる人の頬(ほほ)に口づけしてもかまわないという風習があるぞ。



2013年12月28日土曜日

雪の名前

イヌイット[=]には白を表すことばが10以上あるとものの本には書いてある。

新沼謙治の「津軽恋女」では、雪の名前が7つあるという。

粉雪(こなゆき)
粒雪(つぶゆき)
綿雪(わたゆき)
粗目雪(ざらめゆき)
水雪(みずゆき)
堅雪(かたゆき)
春待つ氷雪(こおりゆき)

ところが、ほかにもいろいろとある。

玉雪(たまゆき)
灰雪(はいゆき)
餅雪(もちゆき)
べた雪
小締雪(こじまりゆき)
硬締雪(かたしまりゆき)
潤締雪 (べたしまりゆき)
水締雪 (みずしまりゆき)
小粒雪(こざらめゆき)
大粒雪(おおざらめゆき)
小凍雪(こごおりゆき)
硬凍雪(かたごおりゆき)
氷板(ひょうばん)
初雪
早雪
初冠雪
終雪(しゅうせつ)
雪の別れ
残雪
根雪
万年雪
灰雪
玉雪
餅雪
べた雪
水雪
瑞雪
どか雪
雪の果て

雪の名残
名残雪(なごりゆき)
去年の雪(こぞのゆき)
白雪
雪花(せっか)
深雪(みゆき)
細雪(ささめゆき)
米雪(こごめゆき)
泡雪
淡雪
沫雪(あわゆき)
綿雪
牡丹雪
花びら雪
濡れ雪
風花
新雪

こうなると、南国紀州出身の人間には、なにがなんだかわからない。

2013年11月19日火曜日

カフェオレ=ボウルを知らないときに悩んだフランス語の文

大学1年生の夏休みに、アルベール=カミュArbert Camusの『異邦人』L'Étrangerを読んだ。

..., il a empilé des tasses autour d'une cafetière.
直訳:彼はカフェティエール[=コーヒー=ポット]の周囲にカップを積み重ねた。

カップというと、英国のティー=カップのように把手(とって)のついたものしかイメージになかった。若いころの自分はカフェオレ=ボウルなんて知らなかった。だから、把手(とって)のついたカップを積み重ねているにちがいないと思い込んでいるから、わけがわからなかった。一体全体、そんなことができるだろうかと不思議に思った。

そんなとき、明治通りを歩いていたら、雑貨屋にカフェオレ=ボールがあった。もちろん、カフェオレ=ボウルとはわからなかったので、お店の人に、それは何に使うものなのかを訊(たず)ねた。

それで、やっとこさ、「カップを積み重ねる」ということがどういうことなのかがわかった。

「生活の様式」がわからなければ、辞書や参考書を読んでもわからないことがある事例だ。

なお、把手(とって)のないボウルでフランス人がカフェオレを飲むのは、手で持てるくらいの温度のカフェオレがおいしいからだと説明する場合があるが、それはちがっている。日本人と較(くら)べると、フランス人は基本的には異常なまでに猫舌(ねこじた)だからである。

L'Étranger par Albert Camus
フランス語の原文で読めるよ。

2013年8月6日火曜日

「万引き」の語源あるいは由来など

「万引(まんび)き」とは「間引(まび)く」に由来するものである。

「間引く」は、稠密(ちゅうみつ)に育った野菜などを、適切に成長させるために、生育のよくないものを取り除くことによって、残りの野菜がよく育つようにするためのものである。適度な間隔がなければ、うまく成長しないのである。

「間引く」の連用形「間引き」→「まびき」に「ん」がついて「まんびき」となり、当て字で「万引き」となった。

2013年6月8日土曜日

「はっきり」から「くっきり」・「ゆっくり」から「じんわり」

 30年以上前には、たいていの人が「はっきり」を使っていたのが、いつのまに、同じような描写で「くっきり」を使うようになった。小説家の清水義範(しみずよしのり)が多用したためらしい。

 読点(とうてん、「、」)を使いたがらない場合に「はっきり」を使うと、たとえば、「それははっきりと……」となり、ちょっとばかり読みにくい。「は」が連続するからだ。「それはくっきりと……」とすると、ほんの少しだけ読む速度が上がる。

 清水義範が多用するのを目にした文筆業者が、その利点に気づき、同様に「くっきり」を使うようになった。

 こうした影響を日本語に与えた作家は、じつに大したものだといえる。

 また、以前なら、「ゆっくり」を使うようなところで、場面にもよるが、「じんわり」を使う人が増えたようだ。これは、たぶん、村上春樹の影響だろう。

2013年6月6日木曜日

「バンザイ突撃」の英訳は、Banzai chargeに統一したほうがよいのではないか。

 大東亜戦争[=太平洋戦争]などに関する書物を読むと、ときおり、「バンザイ=アタック」ということばを目にする。英語にすれば、Banzai attackとなるのだろうが、英語の文献や資料では、さほど目にしたことがない。もちろん、百科事典的なものでは、Banzai attackも記載されてはいるが、一般的な資料ではBanzai cahrgeが圧倒的である。

 個人的にはBanzai chargeに統一したほうがよいように思う。日本語でも「バンザイ=チャージ」にするべきだろう。ま、「萬歳突撃(ばんざいとつげき)」でもいいと思うけどね。

2013年3月12日火曜日

国会でのブータン国王の演説で、unity in thought and actionを「知行合一(ちこうごういつ)」と訳した翻訳官の意図を勘繰(かんぐ)ってみた。

 2011年11月17日にシグミ=ケサル=ナムゲル=ワンチュク陛下が国会で演説を行なった際に、同時通訳では、unity in thought and actionを「知行合一(ちこうごういつ)」と陽明学(ようめいがく)の用語で訳していた。

 まず、該当(がいとう)する段落の英文と、翻訳官による訳文を併記する。

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 The world always identified Japan as a people of great honour, pride and discipline – a people with a proud tradition in history – who approach everything with tenacity, determination and a desire to excel – a people of unity in thought and action; of brotherhood and fraternity and unfailing strength and fortitude.
 世界は常に日本のことを大変な名誉と誇り、そして規律を重んじる国民、歴史に裏打ちされた誇り高き伝統を持つ国民、不屈の精神、断固たる決意、そして秀でることへ願望を持って何事にも取り組む国民。知行合一、兄弟愛や友人との揺るぎない強さと気丈さ併せ持つ国民であると認識してまいりました。 
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 ブータン王国で陽明学は普及(ふきゅう)しているとは思えない。主たる宗教はチベット仏教(ドック派・ニンマ派)である。敢(あ)えていうなら、日本の仏教で最も近いのは真言宗である。

 だから、「知行合一」を訳語として用いる必然性はないといえる。そもそも、unity in thought and actionなら、「考えと行ないの一致」くらいでもよさそうである。がちがちの直訳なら「思想と行動との点での統一性」である。「考えていることをきちんと実践する国民」という訳もありだ。「思想と行為の一致」と訳しても、時間の制約からして、それほど困りはしない。この演説では、同時通訳といっても、事前に原稿を受け取っているだろうから、訳文の前後の文言(もんごん)をいじって、調節できるはずである。


 陽明学とは、王陽明による儒教の解釈のひとつである。「知行合一」とは、知識と行為は一体とならねばならぬという考えであり、知ることは行なうことの始まりであり、行なうことは知ることの完成であるという考えである。この考えを突き詰めると、許せないことをした者は暗殺しなければならないとなる。危険な革命思想になるわけだ。

 日本における陽明学の代表的な人物として、「大塩平八郎の乱」を起こした大塩平八郎が挙(あ)げられる。

 また、松下村塾(しょうかそんじゅく)の吉田松陰(よしだしょういん)もいる。彼は明治維新の指導者を育てた。

 2011年の時点で、どういうことがあったのかを考えると、アメリカ合衆国はTPP(環太平洋戦略的経済連携協定(かんたいへいようせんりゃくてきけいざいれんけいきょうてい)Trans-Pacific Strategic Economic Partnership; Trans-Pacific Partnership)に日本が参加するのを想定していなかったのに、菅直人(かんなおと)が自らの発案で参加すると言い出した。

「第2の開国」と言い出したわけだ。「日米和親条約」や「日米修好通商条約」に次(つ)ぐものと考えたようだ。

 ところが、日本は、江戸時代の鎖国(さこく)のみならず、歴史上、70年から80年くらいの鎖国を繰り返している。平安時代の国風文化にしても、遣唐使を廃止し、鎖国しているから成立した文化である。

 TPPで「第2の開国」と言っているようでは日本の歴史がわかっていない。これまでにも何度も鎖国と開国を繰り返していたからだ。まあ、菅直人は東京工業大学で落第したような、理系でも文系でもないような人物だからな。謂(い)わば、無系人間だ。それに、日本人ではない血筋(ちすじ)も入っているそうだしね。

 さて、以上の経緯(いきさつ)から「知行合一」を考えてみよう。

 朝廷の勅許(ちょっきょ)もなしに、日米修好通商条約を結んだ彦根藩主(ひこねはんしゅ)にして大老(たいろう)である井伊直弼(いいなおすけ)を水戸藩(みとはん)・薩摩藩(さつまはん)の脱藩浪士(だっぱんろうし)たちが襲った。

 桜田門外の変である。

 水戸藩には水戸学があった。陽明学を取り入れた実学的な学問であった。

 井伊直弼のことが、とてもじゃないが許せるものではないとなれば、暗殺せざるをえない。水戸藩に迷惑がかからないように、脱藩(だっぱん)してから、桜田門外の変を起こした。

 こうしたことから、unity in thought and actionを「知行合一」と翻訳官が訳出したのを耳にして、その翻訳官はTPP反対論者(はんたいろんじゃ)で、菅直人に対して、「てめぇ、世が世なら、『桜田門外の変』のように暗殺されても仕方がないぞ」と遠回しに恫喝(どうかつ)しているように感じた。そんな皮肉を他国の国王による演説の訳に入れて、それが当時の与党・民主党に知られたら、その翻訳官は当時の政権によって、更迭(こうてつ)されたり、なんらかの処分を受ける可能性があると思い、ちょっと心配になったくらいである。

 しかし、杞憂(きゆう)であった。

 民主党の議員はみんな、教養がないので、だれもその皮肉に気づかなかった。

2013年2月24日日曜日

『宇宙戦艦ヤマト2199』に登場するドメル将軍の「宇宙の狼」という形容は言語哲学的におかしい。

『宇宙戦艦ヤマト2199』という初代『宇宙戦艦ヤマト』のリメイク作品では、初代と同様にドメル将軍が登場する。

エルク=ドメル将軍Domelが「宇宙の狼(おおかみ)』と呼ばれているのには、違和感がある。

エルク=ドメル将軍のモデルは「沙漠(さばく)の狐(きつね)」Würstenfuchs / Desert Foxと呼ばれたエルヴィン=ロンメル将軍Erwin Rommelである。彼は北アフリカ戦線で英国軍を何度も壊滅(かいめつ)させたので、「沙漠(さばく)の狐」と呼ばれた。ここでの「沙漠」は北アフリカを指しており、「狐」は狡猾(こうかつ)な作戦の立案能力の持ち主であることを表している。

「◯◯の△△」と呼ばれる場合、◯◯の部分には地域名などの限られた領域・地域が入り、△△には喩(たと)えられるものが入る。

ア式蹴球(サッカー)の場合、アジアのある代表チームは「アジアの虎(とら)」と自称している。ところが、その国は、アジアの国であり、よくよく考えると、これも言語哲学的におかしい。虎はインドにベンガル虎が、シベリアにはシベリア虎(アムール虎)が、スマトラにはスマトラ虎が、中国南部には厦門虎(あもいとら)が、ミャンマーからベトナムまでには印度支那虎(いんどしなとら)が棲息(せいそく)している。つまり、虎はアジアにしかいないのである。アジアにしかいないものを用(もち)いて、「アジアの虎」と自称するのは、言語哲学的にはおかしな言語表現なのである。「日本の日本猿と呼ばれた男」「日本の日本氈鹿(にほんかもしか)と呼ばれた男」と同じくらいに変な表現なのである。

ほかにも、ア式蹴球(サッカー)の場合、サウジ=アラビア代表は「沙漠(さばく)の太陽」であり、チュニジア代表は「カルタゴの鷲(わし)」である。太陽は砂漠以外の土地にも昇るし、鷲はカルタゴ以外にも生息している。この2つの表現「沙漠の太陽」「カルタゴの鷲」は、おかしな表現ではない。

「宇宙」という全体を示す語を含む「宇宙の狼」は変なのである。「世界の狼」「宇宙の狼」であれば、それは、唯(ただ)の狼にすぎない。

尤(もっと)も、「世界のミフネ」という表現があるが、これは意味が違う。「世界に通用する俳優である三船敏郎」という意味である。

「ガミラス星を除いた宇宙」での狼という意味で「宇宙の狼」としたのかもしれないが、「宇宙」という語には、ガミラス星や地球も含むと考えるが一般的であるから、やはり、適切なネーミングとはいえない。

もしかすると、大日本帝国海軍の重巡洋艦(じゅうじゅんようかん)「足柄(あしがら)」がモデルの一部になっている可能性もある。重巡洋艦「足柄」は、キリスト教暦1937年(昭和12年、皇紀2597年)にジョージ6世戴冠記念観艦式(たいかんきねんかんかんしき)に参加した際に「飢(う)えた狼」と呼ばれたことが関係しているのかもしれない。

この「飢えた狼」は、徹底して居住性を排除した「足柄」を揶揄(やゆ)したものであったが、褒(ほ)めことばであると勘違いした日本人もいたそうである。

『宇宙戦艦ヤマト2199』のスタッフには大日本帝国海軍が好きな人が多そうだから、重巡洋艦足柄に因(ちな)んで、どうしても「狼」を使いたかったのかもしれないし、また、例えば、「◯◯星雲の狼」だと、小物(こもの)に感ぜられるから、仕方なく「宇宙の狼」としたのかもしれない。「天翔(あまか)ける狼」なら、みょうな表現ではないのだが。

追記:「宇宙の狼」は「宇宙空間の狼」の意味ではないかという指摘を受けた。もし、そうなら、おかしな表現ではないな。



2013年2月22日金曜日

「少人数制」と「小人数制」のどちらが正しい表記か?

「少人数制」「小人数制」のどちらが正しい表記なのかという問題がある。

 それに答える前に、それぞれの対義語(たいぎご)を検討しよう。「少」と対(つい)になる漢字は、「多少」ということばからわかるように「多」である。

 一方、「小」と対(つい)になる漢字は「大小」ということばがあることから「大」である。

 また「少数(しょうすう)」に対しては「多数(たすう)」という語(ご)がある。となると、「少人数制」の対義語は「多人数制」となるが、「多人数制」ということばは使われない。

「小人数」は「こにんずう」と読むのが正しく、「しょうにんずう」ではない。「小人数」の対義語は「大人数(おおにんずう)」である。

 このような混乱が生じたのは、元来(がんらい)、江戸時代の寺子屋での教育は「少人数制(しょうにんずう)」「小人数制(こにんずうせい)」が当たり前だったからである。

 第2次世界大戦後に「団塊(だんかい)の世代」が登場して、大人数(おおにんずう)で授業を行なうのが当たり前になり、大手予備校でも、1クラス200人が当たり前になった。同じ受講料であれば、大人数で授業を行なえば、そのほうが儲(もう)かる。

 大人数制(おうにんずうせい)では落ち零(こぼ)れる生徒が出てきて、尚且(なおか)つ、大人数制では成績を上げることができない予備校・学習塾が「少人数制」を謳(うた)い始めた。

 ところが、「多人数」ということばがなく、「大人数(おおにんずう)」ということばがあるのだから、「少人数制」ではなく、「小人数制」とすべきだと考えて、そうしている大手予備校が出現(しゅつげん)した。どうも、「しょうにんずうせい」と読ませたいらしいのだが、これは「こにんずうせい」と読むのが妥当(だとう)であろう。

 もともと、「少人数制」「小人数制」であったものが、「多人数制」「大人数.制」になり、改(あらた)めて、少ない人数の生徒を対象に授業を行なう制度に名称を与えようとした結果、以上のような混乱が生じたのである。

 当校では、「少人数制」「小人数制」のうちのどちらの名称を使っているかって?

 少数精鋭制(しょうすうせいえいせい)だよ。

 あ、嘘です。ほんとは、個別対応型です。

2012年12月9日日曜日

支那と呼ぶな、中国と呼べと日本に要請しているまさにその国がアフリカのことを「非洲」と呼んでいた。

 支那とは、インドの仏典を漢民族のことばに訳した[=漢訳した]際に、支那大陸を指すものとして用いられた。支那と訳したのは、支那大陸の住人そのものである。
 日本は東アジア文化圏には属さず、日本文化圏を形成している。どこかの皇帝に対して、天皇を据(す)えるのも、東アジア文化圏に属する、皇帝よりも身分の低い「王」ではないという意思表示であった。
 したがって、中華や中国という語を使用することは、日本文化圏を捨て去り、東アジア文化圏への編入を意味するので、一部の学者は中国なる呼称を用いてはならないとする。
 その支那は、日本以外の国には、自国の呼称についてとやかく言ってはない。この点から、呼称問題に政治的意図が強く感ぜられる。英国に対して、Chinaと呼ぶな、Central Countryと呼べとは言っていない。
 たとえば、ドイツ語で日本のことは「ヤーパンJapan」というなんとも間抜けな音の連(つら)なりで呼ぶと知っても、日本人は憤慨(ふんがい)はしないだろう。

 それはともかく、調べ物をするときに、ちょうどよい日本語のウェブサイトがない場合には、英語・フランス語・ドイツ語のウェブサイトを利用するし、その他の言語の場合は、Google翻訳にかける。アフリカに関するあることについて、支那のことばでの記事に辿(たど)り着いた。

 アフリカが支那のことばでは、「非洲」であった。
 「洲」はここでは「大陸」のことであるから、「非洲」とはすなわち「大陸にあらず」という意味になる。
 かの国の人々の底意地(そこいじ)の悪さが窺(うかが)われるというものだ。

 そういえば、かの国では、モンゴルは「蒙古」で、「蒙」は「くらい(暗い)」で、「古」は「ふるい(古い)」である。「蒙」は「啓蒙主義(けいもうしゅぎ)」や「無知蒙昧(むちもうまい)」などで用いられる。とはいえ、個人的には「蒙古襲来(もうこしゅうらい)」ということばがあるせいか、「蒙古」ということばは、勇ましくて強そうという印象が私にはある。

 その一方で、かの国では先進国に対しては美称(びしょう)としても差し支えないものもある。

英国 英国、フランス 法国、ドイツ 徳国、アメリカ合衆国 美国

 英国→英(ひい)でた国→すぐれた国
 法国→法(のり)のある国→秩序を維持するための規範のある国
 徳国→徳のある国→道徳的に立派な国
 美国→美しい国

 非洲や蒙古の扱(あつか)いとは著(いちじる)しく異(こと)なっている。

2012年11月27日火曜日

「綺麗?」と訊いた蒙古(モンゴル)出身力士の話が中学校の英語の教科書に掲載されているが、これはまずい。

 東京書籍発行の検定済み英語の教科書New Horizon English Course 3(ニューホライズン=イングリッシュ=コース3)のUnit 4(ユニット4)はLearn by Losing(負けることによって学ぶ→負けて憶える相撲かな)という題名である。
 英語の教科書なので、来日当初の蒙古(モンゴル)力士が間違えながらも、急速に日本語を習得したという話が書いてある。
 その中の挿話(そうわ=エピソード)のひとつとして、来日したての蒙古(モンゴル)出身力士が、浴衣(ゆかた)の着付けがきちんとしているかを先輩力士たちに確かめてもらうためにこう言ったという。

「綺麗(きれい)?」

 男子中学生たちは裏の意味を読み取らずに、そのまま文字通りに把(とら)えたのだが、ところが、女子中学生たちは違っていた。
 「綺麗?」などという言い回しを先に憶(おぼ)えたということから、来日早々に親方なり、谷町(たにまち)なり、先輩力士なりに、女性が接待をするいかがわしいお店(たとえば、キャバクラなど)に、その力士は連れて行かれているのだろうと、女子生徒たちはだれもが考えた。

 深読みをすると猥雑(わいざつ)な内容になるようなことが、検定を通過したのが不思議だが、おそらく、文部科学省の検定官も、男子中学生と同じ水準で表面的な意味しか汲(く)み取れなかったのであろう。

2010年1月3日日曜日

パンつかみを無料進呈

 イタリアの食品メーカー、たしか、バリラBarillaだったと記憶しているのだが、300g入りのパスタを2つ買えば、もれなく「パンつかみ」が無料で進呈されるという販売促進があった。

 パンつかみの文字を見て、そのあたりの自家製パン屋においてあるトングでももらえるのかと思った。
 ちなみに、トングは、本来、複数形で用いるので「トングズ」tongsと呼ぶべきだと思うのだけど、まあ、ブリーフスbriefsも「ブリーフ」と呼んでいるから、日本人は、あまり気にしないのであろう。
 それはともかく、トングズかなにかがもらえるのだろうと、いつもはディ=チェコDe Ceccoのパスタしか買わないのに、Barillaのパスタを買ってみた。

 小さな座布団みたいな厚くて四角い布がついていた。

 イタリア人は、こんなものでパンを摑(つか)むのかと思ったが、どうも変だ。
 しばらく考え込んだ。

 この「パンつかみ」のパンは、ポルトガル語のpão、あるいはスペイン語のpanに由来するとされるあの「パン」ではなく、英語のpan(片手平鍋)のことだと気づいた。
 要するに、鍋(なべ)つかみである。

 鍋つかみのことを「パンつかみ」などと小洒落(こじゃれ)た言い方をする人がいるのかとウェブで検索してみたところ、意外といた。また、トングズを本当のパンをつかむものとして「パンつかみ」と呼ぶ人もいた。「パンつかみ」のようにまったく異なる語義が存在する語は、いずれ、いずれかに収斂(しゅうれん)するか、あるいは、いずれの意味でもまったく使われなくなるか、そのいずれかであろう(さて、「いずれ」は何回使われているでしょう?)。

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和歌山県, Japan
早稲田大学第一文学部哲学科哲学専修卒業、「優」が8割以上で、全体の3分の2以上がA+という驚異的な成績でした。大叔父は競争率180倍の陸軍飛行学校第1期生で、主席合格・主席卒業にして、陸軍大臣賞を受賞している。いわゆる銀時計組であり、「キ61(三式戦闘機飛燕)の神様」と呼ばれた男である。苗字と家紋は紀州の殿様から授かったものである。

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