政治経済学部では、3つの大問の長文が、ベタベタのイギリス英語で書かれたものだったりした。慶應義塾大学文学部の英語の長文も、イギリス英語の分野が研究対象の教員と、アメリカ英語の分野が研究対象の教員との比率が2:1くらいであるのに、出題される長文はイギリス英語が多かった。
理由は、はっきりとはしていない。考えられる可能性は、つぎのとおり。
1)イギリス英語だということを見きわめて、イギリス英語の長文読解に励みなさいというメッセージだった。
2)早稲田の英文学専修にしろ、慶應義塾の文学部英米文学専攻にしろ、もともとイギリス文学を中心に扱うところだったから、アメリカ英語の嫌いな教員が多い。
3)近年の日本の高校ではアメリカ英語を中心に学ぶようなので、その中で、比較的簡単に力量さが得点に反映するように、イギリス英語の長文を出題していた。
いずれにしても、意識的にイギリス英語を中心に据(す)えて、長文の読み込みをしたほうが得するようにできていた。イギリス英語でよく使われる特徴的な単語はあるんだし。
私立大学受験を中心に据(す)えた予備校の講師が「この単語は早稲田英語ではよく出てきます」と頻繁に指摘するという話を耳にしたが、指摘した単語は、どれもこれも、イギリス英語に特徴的な単語であった。イギリス英語とアメリカ英語が区別できないらしいから、「早稲田英語でよく出てきます」と言っていたのであろう。
ずいぶんと以前のことだが、早稲田大学第一志望の生徒の通う高校の英語教員が、ことごとくアメリカが大好きで、短期のものも含めて、全員の留学先もアメリカという場合に、プリントが配られると、すべてアメリカ英語であって、上智・青山は合格しやすくても、早稲田や慶應義塾の対策としては、いくぶん不利に作用するという場合もあった。
ちなみに上智大学はベタベタのアメリカ英語だが、hilarious(滑稽(こっけい)な)とか、LOLという省略語のもとの英語のlaugh out loudとか、YouTubeや英語の掲示板で目にするような語彙・表現が多すぎて、アカデミックな感じが全然しないように思うのだが。
イギリス英語で書かれた長文が出題される割合が早慶では高かったのであるが、2008年度の早稲田大学法学部の英語の長文はアメリカ英語だったし、2008年度・2009年度の慶應義塾大学文学部の長文もアメリカ英語だった。2009年度の早稲田大学政治経済学部の3つの長文のうち、2つはアメリカ英語で、イギリス英語の長文は1つだけだった。
短期間でずいぶんと変わったものだな。
こんなふうに傾向を変えてきたのは、イギリス英語だと、平均点が低くなりすぎたからなのではないか、という可能性を検討しているが、検証しようがない。
いずれにしろ、アメリカ英語の出題が多くなってきているので、以前ならば、意識的にイギリス英語の長文読解をしたほうがよかったけれども、あまり気にしないで、適当に勉強するだけでよくなったと言えなくもない。
これは朗報だろうか?
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