2012年11月7日水曜日

『飛燕戦闘機隊――帝都防空の華、飛行第244戦隊写真史』を買って喜んでいたら、水を差された。


『飛燕戦闘機隊――帝都防空の華、飛行第244戦隊写真史』という大型本を買った。大抵(たいてい)の書物は古本で済ませるが、こうした本はもっと出版されるとうれしいという場合には、多少無理をしてでも新本を購入することにしている。

Amazon.co.jpから当校に届いてからすぐにページを捲(めく)りながら、どうだ、これは凄(すご)いだろう、この機体の彩色が唐草(からくさ)を思わせて、すぐれて日本的だろう、おっ、慰問(いもん)に訪れた女優の田中絹代(たなかきぬよ)が写っている集合写真もあるぞ、この本の写真は、解説を担当した櫻井隆(さくらいたかし)によれば、たぶん、ドイツ製の写真機ライカによるものらしい、ライカで撮った写真で大日本帝国陸軍三式戦闘機(キ61)愛称「飛燕(ひえん)」が見られるのはじつに幸福なことである、などと言っていた。

ところが、最近の小学生から高校生までが、田中絹代を知らないという。溝口健二や小津安二郎(おづやすじろう)の映画に出演している女優だというと、たいへんな女優であるらしいと思ったようだ。かてて加えて、『伊豆の踊子(いずのおどりこ)』は6回映画化されたが、その初代主演女優は田中絹代であり、2代目が美空(みそら)ひばりで、4代目が吉永小百合(よしながさゆり)で、6代目が山口百恵(やまぐちももえ)だったと指摘すると、びっくりしていた。

田中絹代はともかく、『飛燕戦闘機隊――帝都防空の華、飛行第244戦隊写真史』は、三式戦闘機「飛燕」の愛好者ならば、絶対的に購入すべき逸品(いっぴん)である。

Amazon.co.jpのカスタマーレビュー(顧客(こきゃく)による感想)でも、7人のレビューアー(感想を述べた人)のうち、ひとりが☆4つをつけているにすぎず、6人が☆5つをつけている。



というわけで、私自身は絶讃(ぜっさん)していたのだが、うちの女子高生がこんな意味のことを言った。

ドイツ製のカメラで撮った写真だとよろこんでいるが、アメリカ合衆国は1942年にカラー=フィルムで記録映画(ドキュメンタリー)『ミッドウェー海戦』The Battle of Midwayを残していて、アカデミー賞を受賞しているそうじゃありませんか? その時点で、国力の差がはっきりと出ていませんか?

うーん、そりゃそうだけどねえ。

なんだか、気持ちが凹(へこ)んでしまった。

以下はアカデミー賞ドキュメンタリー映画部門受賞作である。



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和歌山県, Japan
早稲田大学第一文学部哲学科哲学専修卒業、「優」が8割以上で、全体の3分の2以上がA+という驚異的な成績でした。大叔父は競争率180倍の陸軍飛行学校第1期生で、主席合格・主席卒業にして、陸軍大臣賞を受賞している。いわゆる銀時計組であり、「キ61(三式戦闘機飛燕)の神様」と呼ばれた男である。苗字と家紋は紀州の殿様から授かったものである。

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