2008年12月30日火曜日

勉強と食事、あるいは頭を使う際に必要な物質(その2)

 これがないと始まらないのが、レシチンと糖質である。ここでは、レシチン関する事例を述べる。
 レシチンを多く含む代表的なものは、大豆や、豆腐・納豆などの大豆製品、ならびに卵黄である。ほかにも、穀類・胡麻油・コーン油・小魚・レバー・鰻などが挙げられる。
 ここで、ひとつの仮説を立てることができる。よく頭を使う人は、大豆製品や卵料理が好きであるはずである。ここではそうした事例を並べてみたい。

 作家の丸谷才一は東京大学文学部英文科卒業で、芥川賞を受賞している。丸谷才一はうまい豆腐が食いたくで、目黒区のマンションに引っ越した。うまい豆腐屋を探していたときに、つぎのように考えた。どこに店があろうとも、どんな種類の大豆でも仕入れられる。うまい豆腐屋があるのは、「水のおいしい」ところだ。渋谷区恵比寿には恵比寿ビールの工場があったのだから、地下水がうまいはずだと考え、そのあたりに豆腐屋を探して、これはうまいと思える豆腐を売っている店を見つけた。

 秋山真之(さねゆき)は、勤務中だろうが、ところかまわず、炒り豆(大豆の炒ったもの)を食べていた。秋山真之は海軍兵学校を主席卒業、日露戦争時の帝国海軍の作戦主任であった。アメリカ留学中は、戦術書を大量に読み込んでいる。日本海海戦の「本日天気晴朗ナレド浪高シ」「皇国ノ興廃此ノ一戦ニアリ、各員一層奮励努力セヨ」や「古人曰ク勝テ兜ノ緒ヲ閉メヨ」なども秋山真之によるもの。

 森田和義(タモリ)とコピーライターの糸井重里は、どちらも毎日豆腐を食べているそうだ。「ほぼ日刊イトイ新聞」に書いてあった。以下のリンク先を読めば、豆腐好きがよくわかるだろう。


 女流棋士の里見香奈は史上3番目の若さで倉敷藤花のタイトルを獲得、その翌年には史上最年少記録で公式戦で男性棋士に勝っている。彼女の好物は冷やっこで、葱・生姜・醤油をかけて食べるのがお気に入りだそうだ。

 『美味しんぼ』の原作者・雁屋哲は東京大学教養学部卒業だが、『美味しんぼ』では、比較的よく豆腐が登場する。卵に関しては、エッセイで「1個40円以上」でないとだめだと言い切っている。

 また、私の周囲にも(この言い方をした場合、早稲田大学第一文学部以上の大学・学部出身者である)、卵は1個30円以上のものしか購入しないと言っている人が少なからずいる。

 日本ヒューレット=パッカードに勤務している当校の元・講師に社員食堂のメニューを問い合わせたところ、一般的なメニューよりもレシチンの摂取量が多くなるメニューだった。社員が頭脳労働者であることを考慮して栄養士がそうしたメニューにしているのか、それとも人気のあるメニューを残した結果、そうなったのかは不明だが。

 そもそも、『菊川怜の頭がよくなるレシピ48』に登場する菊川怜の離乳食は納豆で、本人自身、納豆好きである。ちなみに、菊川怜自身、東京大学工学部卒業で、両親もともに東京大学卒業である。妹は東京工業大学卒業だそうだ。思っている以上に、納豆も効き目がありそうだ。

 これまでに述べた話を、生徒の保護者にしているのだが、ある母親が当校で聞いた食事と勉強の関係を父親に話したところ、その父親は「豆腐って、ご飯や味噌汁と同じで、毎日、食べるものじゃないのか?」と言ったという。その父親は、地方の公立高校から東京大学理科一類に合格、2年終了時の進学振り分けでは、平均点が85点くらいないと進めない超難関学科に進学した人物であった。「豆腐って……毎日、食べるものじゃないのか?」という人物には、好物、あるいは好きな食べ物という意識がないのである。毎日、摂取するのが当然なのである。

 私の周囲で、勉強の得意な人々は、木綿豆腐よりも絹ごし豆腐が好きな人が圧倒的である。どうしてなんだろうとずいぶんと疑問に思っていたが、もしかするとこういうことかもしれない。つまり、絹ごし豆腐を作る際に使用する豆乳は、木綿豆腐を作る際の豆乳よりも濃いからである。レシチンの消費量の多い人は自然と絹ごしを選ぶようになるらしい。

 出版社の編集者の仕事は、うんと頭を使う仕事である。文章を読むだけでも相当に頭を使うのに、企画を立てたり、原稿の手直しをしたりもしなければならない。となると、豆腐などからレシチンを摂取したくなるというものである。
 『豆腐百珍』という書がある。天明2年に刊行され、好評を博し、『豆腐百珍続編』『豆腐百珍余禄』などの続編も刊行され、百珍ブームが起こり、鯛や甘藷の百珍本が刊行されるほどの百珍ブームとなった。ほかの百珍本は復刊されていないが、『豆腐百珍』は、現代語訳つきのものが教育社新書から『豆腐百珍 原本現代訳』として刊行されている。また、『豆腐百珍』に登場する料理を再現して、その写真を掲載している本もある。ほかの百珍本の復刊はなく(ただし、『野菜百珍』『梅干百珍』など、江戸時代にはなかったものは刊行されている)、『豆腐百珍』関係の書物が刊行されているのは、編集者が頭を使う仕事であるということが影響しているのではないだろうか?

 高校生用の英語教科書UNICORN EGNLISH COURSE I NEW EDITION(2006年検定済み)の第5課はTOFU: A WORLD FOVORITEという題名の文章が掲載されている。やはり、一定以上に頭を使う人は豆腐に関心を抱くのであろう。

 高校の後輩で、アニメの脚本を主な仕事にしている人物に、レシチンの話をしたことがある。この人物は、仕事で自宅にこもって脚本の執筆を続けているときに、ふいに卵焼きが無性に食べたくなってしまうという。とくに、深夜にそうなることが多いとのことで、真夜中に卵焼きが食べたくなるのか不思議だったが、レシチンの話を聞いて、合点がいったそうである。

 勉強向きの食事を作るようになるには、その家庭での調理担当者が勉強をするのが、手っ取り早い方法である。このことは、生徒に言っている。ある生徒の母親が、ある資格を取得しようと考え、資格試験の勉強を開始した。生徒によれば、試験勉強を開始した数日後、冷蔵庫の中のものに異変が起きたという。納豆が急に増えたそうだ。「ほら見ろ、いつも私の言っている理論どおりだろう」と言ったのだが、あとになって、ちょっと心配になった。というのも、それまでは、頭を使うのに最も適した食事ではなかった可能性があるからである。

 『菊川怜の頭がよくなるレシピ48』は、既存の書籍の中ではきわめてすぐれており、現在のところ、これよりもよくできている本はない。とはいえ、普通の人以上に、勉強をする際、たとえば、受験の直前の3か月くらいの時期は、この本に掲載されているメニューに、さらに卵・豆腐・納豆・厚揚げなどを加えるのがよいかと思われる。


追記:民主党の小沢一郎が庶民派を装おうとして、好物は豆腐で、スーパーマーケットの豆腐の値段を把握しているという記事があったが、豆腐が好物だといっても、小沢一郎の場合は、頭を使っているとは思えない。「木綿(豆腐一丁)は88円くらいかなぁ。88円のが一番安くて、98円のが一番多く並んでいるかなぁ。国内産と外国産の豆では全然違うしね」と言っていたが、88円や98円の値段の豆腐を食べているようでは、さほど頭を使っているはずがないと思われる。味が薄くて食べられたものではなく、頭を使うという点であまり役に立たない(と思うが、最近、そんな豆腐は食べていないのでよくわからないが)。かといって、頭を使っているとすれば、最低でも1丁300円はする豆腐を購入しているのであろうが、それを告白すると庶民派とはいえなくなってしまう。政治家は豆腐について言及しないほうがよいということだろう。1.1.2009

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和歌山県橋本市出身。世界文化遺産である高野山の麓です。
和歌山県立橋本高等学校を経て、早稲田大学第一文学部哲学科哲学専修卒業。
B型Rh+。天秤座。家紋は「丸に九枚笹」。
大叔父(おおおじ)は精鋭集団である帝国陸軍航空審査部所属で、「キ61(きろくいち)の神様」と呼ばれた坂井雅夫少尉。キ61は三式戦闘機「飛燕(ひえん)」のことである。

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