2013年4月5日金曜日

男の海外旅行一人旅だって、少しは危険である。

 海外での女性の一人旅は危ないとされるが、男性にも少しは危険がある。

 若いときに、イタリアを旅行した。ローマで、夜、散歩にでかけ、円形闘技場(コロッセオ;ラテン語Colosseum、イタリア語Colosseo)のあたりを彷徨(うろつ)いた。

 円形闘技場の近くにある丘に、若い男性たちが屯(たむろ)していた。

 フランス語やイタリア語は、当時、それほど流暢ではなかったので、英語で話した。普通に世間話をしていたが、途中から、雲行きが怪しくなった。

「ところで、君はホモセクシュアルについてどう考えるか?」

 性癖(せいへき)に関して、差別してはいけないと考えていたので、その人がそういう人であっても、別に問題はないと思うと答えた。

 勘違いされたらしい。

 そこに屯(たむろ)していたうちのひとりが、ねえ、一緒に散歩しようよ、円形闘技場のことやら、いろいろとローマのことを教えてあげるよと言う。

 それで、一緒に散歩した。自分が知らないローマの歴史を教えてもらった。

 そうするうちに、円形闘技場でも、とりわけ奥のところまで行けるところに連れていかれた。

「どうだい、ローマの歴史は素晴らしいだろ? こんな凄(すご)いものを造ったんだ」

 そして、彼は不意に振り返り、私を抱きしめ、頬(ほほ)にキスして、股間(こかん)に手を伸ばした。

 びっくりした私は、自分はそういう種類の人間ではないという意味のことを英語で言って、逃げた。

 今にして思えば、かのイタリア人青年は、一緒に散歩することになってから、みょうにウキウキした様子だった。たぶん、東洋人と同性愛行為ができると思って、嬉しかったのだろうな。ところが、私はそうした種類の人間ではなかった。

 ということで、夜に、ローマの円形闘技場近くの丘の公園に、よい子は行っちゃ駄目だよ。

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和歌山県, Japan
早稲田大学第一文学部哲学科哲学専修卒業、「優」が8割以上で、全体の3分の2以上がA+という驚異的な成績でした。大叔父は競争率180倍の陸軍飛行学校第1期生で、主席合格・主席卒業にして、陸軍大臣賞を受賞している。いわゆる銀時計組であり、「キ61(三式戦闘機飛燕)の神様」と呼ばれた男である。苗字と家紋は紀州の殿様から授かったものである。

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