幼稚園から大学・大学院までの入学金・授業料・その他を完全に無料化しても、貧困層が得をすることは少ししかない。むしろ、富裕層が利するだけである。入学金・授業料を支払わなくてよい分、もともと豊かな富裕層は、塾・家庭教師にさらに多くの資金を投入できる。さらには、現在よりも自己資金で子どもを海外留学に派遣できる場合が増えるようになる。
その結果、教育費が完全に無料化しても、貧困層と富裕層の教育水準の差が小さくなるわけではないだろう。
では、塾・家庭教師などの費用も、政府なり、地方自治体なりが負担するようになれば、どうなるであろうか?
家庭環境や保護者の教育水準、ならびに本人の遺伝子が、子どもの学力に与える影響はもともと小さくなかったが、経済的な要因がなくなれば、こうしたものの差が学力に端的に反映されることになる。
塾・家庭教師などをも含めて教育費が、完全無料化すると、経済的な要因のために(つまり、貧乏だったからという理由で)、充分な教育が受けれらなかった、あるいは、大学に進学できなかったということがなくなってしまう。経済的要因を求めることが難しくなる。となると、勉強が得意ではないのは、ほとんどの場合、親あるいは本人のどちらか一方のせいか、もしくは親と本人の両方のせいか、いずれかということになる。
こんな世界は、ある種の人間にとって、苦しいだろうな。逃げ道がないからな。
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