2009年6月13日土曜日

大人と子どもの違い:絵画の鑑賞

 大人と子どもとでは、絵画の見方はがまったく違う。
 
 子どもは、美術史の知識がなく、ただ、直観と本能とで、その絵が好きか嫌いかを考える。だから、美術史がわからないと理解できないパブロ=ピカソPablo Picassoの絵はどこがいいのかわからない。

 普通の大人は、美術史的なものも含めた観点から絵画を眺める。

 ちょっと嫌な大人は、その絵を誰が描いたか、美術史的な価値はどの程度あるのか、値段はどのくらいかを考え、値段が高いものはいい絵だと思う。

 もっと嫌な大人は、絵の額縁を見ただけで、その絵の値段の見当がつく。
 ただし、これは、美術館や画廊にも責任がなくもない。絵画の格式と、額縁の格式が、どこに行っても、だいたい一致している。絵画の世間的な評判に踊らされているのは、美術館それ自体なのではないかと思うことがある。
 私自身、額縁を見て、絵画の値段がわかる。以前のマンションの近くに画材屋兼額縁屋があって、そこで絵の具や色鉛筆や画用紙を買っていたのだが、店主自らが額縁を作っている。店主といろいろと話しているうちに、額縁の値段が見ただけでわかるようになり、額縁の値段と絵画そのものの値段の相関関係に気づいた。
 ごくたまに、額縁の値段と絵画の値段が対応しないときがあり、そのときばかりは、「ここの学芸員は、私を試そうとしているのか?」と、ちょっとどきどきする。

 ところで、人間の場合、どういうわけか、身につけているものの値段と、その人間の中身が対応しない場合が多い。これは、どうしてなのだろうか?


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和歌山県, Japan
早稲田大学第一文学部哲学科哲学専修卒業、「優」が8割以上で、全体の3分の2以上がA+という驚異的な成績でした。大叔父は競争率180倍の陸軍飛行学校第1期生で、主席合格・主席卒業にして、陸軍大臣賞を受賞している。いわゆる銀時計組であり、「キ61(三式戦闘機飛燕)の神様」と呼ばれた男である。苗字と家紋は紀州の殿様から授かったものである。

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