2009年6月26日金曜日

東京にいるのに関西弁を直さない人は、本当は「直せない」人である。

 東京にいるのに関西弁を直さない人は、たいていの場合、「直せない」人である。私は、大学進学にあたって上京したが、もともと関西弁が強くなかったということもあってか、3日もしないうちに、関西弁がなくなった。
 その一方で、頑(かたく)なに関西弁をしゃべり続けている連中が学内にはいた。勝手にしゃべっている分にはかまわないが、なかには「関西弁を普及する会」なんてものを作っているのまでいた。
 関西弁は、共通語とちがって、イントネーションが正反対である。これが、一部の関西出身者が音声面で共通語を習得できない理由である。
 大学時代に観察した結果では、関西弁を直せない人は、英語もフランス語も発音が下手だった。
 「東京で関西弁をしゃべんじゃねえよ」などとは思わずに、「英語もフランス語の発音も下手なんだろうな、この人は」と、哀れんであげてもらいたい。
 イントネーションが同じであれば、語彙(ごい)を変更するだけで共通語が話せるようになる。九州出身者で、それとわかる人がいないのは、こうした理由からであろう。

 ドイツ語でも、関西弁にあたるものがある。
 スイス方言である。ドイツ南部でも、同じように、標準ドイツ語とイントネーションが正反対でしゃべる地域がある。
 ドイツの哲学者フリードリッヒ=ヴィルヘルム=ニーチェFriedrich Wilhelm NietzscheのNietzscheを、スイス人は、「ニーチェ」の「チェ」のところを上がり調子で発音する。日本語の共通語と関西弁と同じ関係が、ドイツ語では標準ドイツ語とスイス方言のドイツ語にあるわけだ。
 ウェブで、ドイツ語圏のスイス人は、標準ドイツ語で話しかけても、スイス方言で答えると不平不満を洩(も)らしている人がいたが、たぶん、彼らは標準ドイツ語で話せないのであろう。そういう人たちの英語の発音には、それに応じた特有のものがある。
 また、スイスのドイツ語圏出身の知り合いが、「おれたちはドイツ人のしゃべるドイツ語がわかるが、ドイツ人はおれたちのドイツ語がわからないんだぜ」と自慢していたが、なぜ、自慢になるのか、今でもわからないでいる。
 一方、スイスのドイツ語圏在住のスイス人だとわからないくらいに英語の発音がうまい人は、私の少ない経験から、標準ドイツ語も話せるようだ。

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早稲田大学第一文学部哲学科哲学専修卒業、「優」が8割以上で、全体の3分の2以上がA+という驚異的な成績でした。大叔父は競争率180倍の陸軍飛行学校第1期生で、主席合格・主席卒業にして、陸軍大臣賞を受賞している。いわゆる銀時計組であり、「キ61(三式戦闘機飛燕)の神様」と呼ばれた男である。苗字と家紋は紀州の殿様から授かったものである。

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