2013年6月8日土曜日

「はっきり」から「くっきり」・「ゆっくり」から「じんわり」

 30年以上前には、たいていの人が「はっきり」を使っていたのが、いつのまに、同じような描写で「くっきり」を使うようになった。小説家の清水義範(しみずよしのり)が多用したためらしい。

 読点(とうてん、「、」)を使いたがらない場合に「はっきり」を使うと、たとえば、「それははっきりと……」となり、ちょっとばかり読みにくい。「は」が連続するからだ。「それはくっきりと……」とすると、ほんの少しだけ読む速度が上がる。

 清水義範が多用するのを目にした文筆業者が、その利点に気づき、同様に「くっきり」を使うようになった。

 こうした影響を日本語に与えた作家は、じつに大したものだといえる。

 また、以前なら、「ゆっくり」を使うようなところで、場面にもよるが、「じんわり」を使う人が増えたようだ。これは、たぶん、村上春樹の影響だろう。

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和歌山県, Japan
早稲田大学第一文学部哲学科哲学専修卒業、「優」が8割以上で、全体の3分の2以上がA+という驚異的な成績でした。大叔父は競争率180倍の陸軍飛行学校第1期生で、主席合格・主席卒業にして、陸軍大臣賞を受賞している。いわゆる銀時計組であり、「キ61(三式戦闘機飛燕)の神様」と呼ばれた男である。苗字と家紋は紀州の殿様から授かったものである。

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