2009年10月16日金曜日

自家製パン屋のパンの耳は意外とうまい。

 貧乏話でよく登場するのが、「パンの耳」である。
 芸能人や作家が喰えない時代に、近所のパン屋からパンの耳を廉(やす)く買って、糊口(ここう)を凌(しの)いだなどという話をする。
 なんとなく、「パンの耳」=「貧乏」というイメージがあった。
 もともと、パンは好きではない。脳へのブドウ糖の供給その他の理由から、パン食が中心だと頭がよくならないというか、勉強ができるようにならないというか、そういう点から、パンは好きではない。分子の大きさの点で、米の場合とちがって、パンの場合は、一挙に血糖値が上がり、一挙に下がってしまう。それでいいのであれば、砂糖を多く入れた紅茶・コーヒーでよいし、むしろ、そのほうが廉(やす)くつく。実際、ライターを主な生業(なりわい)としている人には、砂糖の多いコーヒーを飲んでばかりいる人がいる。

 それはともかく、パンは好きではないが、最近、忙しくなりすぎて、弁当をこしらえて、当校に持っていくことができなくなった。それで、近所の店で弁当を買ってみたが、どれもこれも化学調味料が入っていて、アレルギーが出てしまう。アレルギーといっても、ただひたすら、眠ってしまうだけなのだが、しかし、それでも、当校の授業に支障をきたす。
 その結果、化学調味料アレルギーを避けるには、エスカマーレescamareというスーパーで弁当を買うか(ここの弁当には化学調味料は入っていないようだ)、小麦粉と塩と水だけでこしらえるフランスパンpain français, pain traditional(バゲットbaguetteやバタールbâtard)を食べるしかない。

 そんなわけで、パンは好きでないのだけれど、夜、食べるために、パンを買うようになった。最近のことだ。そして、自家製パン屋に足を運ぶようになった。
 「パンの耳」が売られていた。
 パンの耳とはいえ、一般にイメージされるサンドイッチなどを作った際に切り落としたものではなく、焼き上がったイギリスパンの両側を切り落としたもので、ほぼ正方形のものだ。
 パンの耳を食べて、「貧乏な暮らし」を当校の生徒たちに体験させようと思って、買ってみた。1斤分のパンの耳が60円だった。
「貧乏というものがどういうものかを体験してもらおう」と言って、食べさせた。

「あのぉ、このパンの耳、悔しいけど、うますぎるんですが……」

 自分も食べてみた。うまかった。

 パンの耳というと、一般には、サンドイッチを作った際に切り取ったパンの耳を想像するかもしれないが、そこで売られていた「パンの耳」はちがっていた。
 自分のところで焼いているパン屋で売られているものは「パンの耳」でも、半端(はんぱ)なくおいしいということを知った。
 もしも、貧乏だから「パンの耳」で糊口を凌いだとしても、うまい自家製パン屋の「パンの耳」だったら、ちっとも悲惨ではないということを知った。ほんとにうまかった。
 ただし、その店では、たぶん、1日あたり、1斤分しか売っていないようだから、買いたいときに買えるわけではないし、また、小麦粉の原価って、100gあたり10数円だから、1斤60円でも、それでも、まだ利益が出るんだよね。
 自家製パン屋って、意外と異常なまでに利益率が高いんだよね。利益率が高くなければ、西武池袋線江古田駅周辺に10軒くらいあって、どこも潰(つぶ)れることなく、存続しているわけはないわな。

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和歌山県橋本市出身。世界文化遺産である高野山の麓です。
和歌山県立橋本高等学校を経て、早稲田大学第一文学部哲学科哲学専修卒業。
B型Rh+。天秤座。家紋は「丸に九枚笹」。
大叔父(おおおじ)は精鋭集団である帝国陸軍航空審査部所属で、「キ61(きろくいち)の神様」と呼ばれた坂井雅夫少尉。キ61は三式戦闘機「飛燕(ひえん)」のことである。

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