振り込め詐欺はマクロ経済学的には正しい行為である。
振り込め詐欺は、以前、「オレオレ詐欺」(別名:なりすまし詐欺)などと呼ばれ、犯罪のくせにコミカルな感じがして、それなりにおもしろかったが、架空請求詐欺(かくうせいきゅうさぎ)・融資保証金詐欺(ゆうしほしょうきんさぎ)などを含めて、「振り込め詐欺」に統一されたようだ。
ところで、この振り込め詐欺は、刑法を一切無視した場合、経済学的には正しい行為といえる。
日本の経済状況がデフレスパイラルに陥(おちい)っているのは、ユニクロなどの超低価格商品のせいも部分的にはあるが、ほかにもさまざまな要因が複雑に絡(から)み合っていることもある。
個人金融資産の8割が50歳以上の高齢者が保有する。60歳以上にかぎっても5割強の資産を保有している。
日本の高齢者はお金を遣(つか)わない。市場に金(かね)が出回らない。高齢者がお金を遣(つか)わないから、経済が縮小し、若者にお金が還流(かんりゅう)しない。社会全体が貧乏くさくなる。所得も下がってしまう。
大前研一が指摘していることだが、個人金融資産の10%つまり150兆円を遣(つか)えば、それだけで経済状況が激変する。
ところが、イタリア人とちがって、日本人は稼いだお金を死ぬまでに遣い切ろうとはしない。マクロ経済学的にはまちがっている。
こうした状況に風穴を開けようとするのが、振り込め詐欺である。高齢者のいわば死蔵している現金を「振り込め詐欺」という形で吐(は)き出させ、自分たちで無駄遣(むだづか)いをする。無駄遣いしているかどうかは、確かめてはいないが、節約家(せつやくか)であり、倹約家(けんやくか)であり、貯蓄好きの振り込め詐欺師がいるとは思えない。
かりに、振り込め詐欺の連中が無駄遣いをしているのであれば、死蔵されている資産を引き出し、無駄遣いすることによって、いくらかの金を市場に流しているのであるから、いくばくかは経済が活発になる。
だから、振り込め詐欺はマクロ経済学的には正しい行為なのである。犯罪じゃなければ、ほかの人にも推奨できるのだが、犯罪なので、奨(すす)められない。
同時に、こういうこともいえる。
無駄遣いもマクロ経済学的には立派な行為である。市場にお金が回るのだから。とりわけ、デフレ=スパイラルという状況下では、これほど立派な行為はない(はずである)。
ということで、振り込め詐欺はしたことはないが、無駄遣いをしまくっているので、マクロ経済学的に私はかなり立派な人間であるということになる。ところが、この間、近所のおばさんに説教されてしまった。何を買ったかは、秘密だが。
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