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2014年4月8日火曜日

映画『KANO』の日本での2015年の公開が楽しみだ。

嘉義(かぎ)農林学校があった。略して「嘉農(かのう=KANO)」と呼ばれていた。

台湾からは甲子園には1校しか出場できず、日本人ばかりで構成された学校だけが毎回、出場していた。

永瀬正敏(ながせまさとし)演(えん)ずる近藤兵太郎(こんどうひょうたろう)が監督に就任(しゅうにん)し、やがては嘉義農林学校を甲子園出場に導(みちび)く。そして、嘉義農林学校は甲子園大会で準優勝を遂(と)げる。

「いいか、俺が近藤兵太郎だ。今日から、俺がお前たちの監督になる。俺がお前たちを甲子園に連れて行く。宜(よろ)しく頼(たの)む。……今日から毎日、嘉義市内を1周だ。……走れ!」

ある選手が、ガールフレンドらしき女の子を自転車の後ろに乗せて走っている場面がある。最初は現地語で女の子は話すが、のちには日本語を話すようになっている。
彼女が日本語で言った、「男なら、堂々(どうどう)としなさい」と。
左翼の人は、たぶん、日本の同化政策が進んだからだとかいうんだろうな。
でも、それだけ、つまり日本語を話すようになるくらいに、現地の人たちが日本を気に入ったということを表しているんだろう。

「蛮人(ばんじん)は脚(あし)が速い。漢人(かんじん)は打撃が強い。日本人は守備に長(た)けている。こんな理想的なチームはない」
こう、近藤兵太郎は言った。

甲子園に進めなくなったとき、近藤兵太郎は、言う。
「終わったんだ。挨拶(あいさつ)して来い」
「なにを泣いとる。……負けた者に泣く資格はない」


その一方で、のちに、甲子園進出を決めたときに、こんなことを言う。
「泣くな。お前たちは勝ったんだぞ」

勝っても負けても泣くなというのは、無茶な話だと思うのだが、たぶん、「男ならどんなときでも泣くな」というメッセージが籠(こ)められているのだろう。

「儂(わし)は、もう自分には負けとうない」
この台詞(せりふ)は、どういう文脈(ぶんみゃく)から出てきたのかがわからないから、ぜひとも、2015年に日本で公開されたら、映画を観てみたい。

ところで、八田與一(はったよいち)を演ずる大沢たかおがつぎのように言う。
「甲子園に行って、台湾の農民のためにも頑張(がんば)ってください」

八田與一は当時、東洋一のダムを台湾で造成(ぞうせい)した。その結果、台湾の南部は豊かな穀倉地帯(こくそうちたい)となった。

台湾の人たちの八田與一に対する敬意、あるいは尊敬の念はすごい。台湾では、八田與一のアニメさえある。信じられるかい?




2014年3月19日水曜日

映画版『僕の初恋をキミに捧(ささ)ぐ』を、つい、観てしまった。

つい、『僕の初恋をキミに捧(ささ)ぐ』を観てしまった。

レンタルDVDにあった予告編を観て、興味を抱(いだ)いた。本当は、病気と恋愛を重ねる設定は安易(あんい)だと思っているから、好きではないのだけれど。

これは、二十歳(はたち)までの生命の若者と、幼馴染(おさななじ)みの娘との恋物語であるが、最後には若者はなくなってしまう。

2人が口論をしたあとで、若者は娘のいる女子寮近くに足を運び、部屋の窓に小石か何かをぶつける。窓から顔を出した娘に、若者はこう言う。

「月が綺麗(きれい)だからデートしないか?」

これは夏目漱石(なつめそうせき)の逸話(いつわ)に基づくものだろう。

夏目漱石は I love you.の訳し方について、当時の日本人は、そもそも夜に女性と出歩くことがなかったなので、文脈から「月が綺麗ですね」と訳せばいいのだと言った。つまり、月が見える夜に男女が逢(あ)うというのは、当時の日本人の感覚では、それだけで、「愛している」ということになるというのだ。

この夏目漱石の話を元に、「月が綺麗だからデートしないか?」という台詞(せりふ)にしたのだろう。

すると、「月が綺麗だからデートしないか?」は、「君のことが大好きだから、デートしないか?」という意味を含(ふく)むことになる。

ところが、この映画は若い人が観るものらしく、ウェブなどで検索(けんさく)しても、以上のことを指摘しているものは見当たらなかった。

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2014年2月24日月曜日

『魔女の宅急便』のキキは、原作では、黒い靴を履(は)いていた。

『魔女の宅急便』のキキは、原作の小説の表紙などから判断すると、黒い靴を履(は)いているし、リボンも小さくて黒い。

ところが、だれもが、キキは大きな赤いリボンに、赤い靴を履いていると思っている。

これは、スタジオ=ジブリのアニメ版の影響が大きい。

アニメ版のキキのリボンがむやみに大きいのは、4歳くらいの子どもでも、キキだと識別(しきべつ)できるようにとの配慮(はいりょ)なのだろう。

2014年3月1日公開の実写版では、リボンはしていないが、靴が黒いものになっている。原作に合わせたのだろう。

2014年1月20日月曜日

『永遠の0(ゼロ)』に関する疑問

『永遠の0(ゼロ)』は、小説も映画も大ヒットしているそうである。

原作の小説を読んでもいなければ、映画も観ていない。

ちょろっと、予告編を観(み)てみた。

『永遠の0(ゼロ)』に登場する宮部久蔵(みやべきゅうぞう)は、天才的な戦闘機乗りだが、海軍一の臆病者だという。どうやら、死にたくないらしい。

ところが、戦闘機乗りは、元来、戦死率が高い。

死を怖(おそ)れるのであれば、戦闘機乗りにならず、たとえば、兵站(へいたん=補給)などを担当する主計科などを選べばいいのにと思ってしまう。

さらには、徴兵忌避(ちょうへいきひ)は、いくらでもできた。

映画の予告編から、子どもが生まれて、生命が惜しくなったのかもしれないと考えたが、戦争末期はどうだったのかは知らないが、特攻隊員に指名されるのは、帝国海軍の場合、次男以下で、妻子のいない者に限られた。それなのに、特攻を志願するのは理解に苦しむ。

映画を観るなり、原作の小説を読むなりしないと、こうした疑問は解決しそうにないので、時間のあるときに、映画を観たり、原作を読んだりしてみようかと思った。

そこで、はたと気づいた。

これは、原作者による罠(わな)なんじゃないか、と。

2013年9月22日日曜日

『雨あがる』がYouTubeで視聴できるぞ。

『雨あがる』がYouTubeで視聴できるようになっていた。すぐに削除されるかもしれないが、私はそれを観て、思わず、DVDを買ってしまった。

『雨あがる』では脚本で黒澤明が関わったが、最終的な脚本は仕上げていないし、監督もしていない。その前に亡くなっている。

黒澤明の作品を、少しばかり画質を落としてYouTubeで公開しておけば、DVDやBlu-ray Discの売り上げが増えるのではないかと以前から思っている。

フランスで、著作権のあるものをインターネットで勝手に公開するのを全面的に禁止したところ、著作権のあるコンテンツの売り上げが激減したそうである。知らないものには興味は抱(いだ)かないのであらる。

黒澤明監督の大ファンは既(すで)にDVDなり、Blu-ray Discなりをすべて購入しているのだから、新規の顧客を増やすために、画質を落としたものをウェブ上で公開すれば、作品に感動した者がもうちょっとよい画質で観たいと思い、DVDやBlu-ray Discを購入するだろう。

『雨あがる』は、視聴後、じつに爽(さわ)やかな気分になれる作品だ。

とりわけ、永井和泉守重明(ながいいずみのかみしげあき)という殿様を演じた三船史郎が秀逸(しゅういつ)である。『雨あがる』を観て、すぐさま、三船史郎が大好きになった。演技らしくない演技が素晴らしいのだ。こういうのって、難しいんだよね。

最後のほうで、主人公である三沢伊兵衛門(みさわいえもん)を探して、馬で駆(か)け巡(めぐ)る殿様には心を打たれる。脚本がいいのか、三船史郎がいいのか、ちょっと意見がわかれるかもしれない。

でも、三船史郎は素晴らしいと思っている。とにかく『雨あがる』の三船史郎はいいぞ。だって、この人のせいで、DVDを買っちゃったんだもの。





2013年8月2日金曜日

小林綾子:『おしん』での演技を評価されて……。

小林綾子(こばやしあやこ)はNHKの朝の連続ドラマ『おしん』で、主人公の少女時代を演じた。

『おしん』での演技を評価されて、交換留学生になり、アメリカ合衆国に留学している。

『おしん』での演技を評価されて、練馬区が主催する時代行列の第2回照姫(てるひめ)まつりの照姫に起用される。照姫とは、石神井城主(しゃくじいじょうしゅ)・豊島泰経(としまやすつね)の娘であるが、マイナーすぎて、練馬区民しか知らない。

『おしん』での演技を評価されて、立命館大学文学部英文科に推薦合格し、卒業する。立命館大学はおしんの出身校であると宣伝している。

『おしん』での演技を評価されて、数々の舞台やドラマや映画に起用される。

『おしん』での演技を評価されて、女優として多忙な日々を送り、すれ違いの生活が続き、2010年、離婚する。

2013年7月31日水曜日

『アルプスの少女ハイジ』と『フランダースの犬』と『おしん』:日本人は貧乏を恥としない。

スイス人は『アルプスの少女ハイジ』Heidiが嫌いで、ベルギー人は『フランダースの犬』A Dog of Frandarsが好きではないが、日本人は『おしん』が大好きである。

スイス人は『アルプスの少女ハイジ』が好きではない。再放送がなかったか、1回だけだったかであった。アルムの山での生活は貧乏臭く、産業らしい産業もなく、生活が苦しい。ヨーロッパ各地に傭兵(ようへい=外国人兵)として出稼ぎしなければならなかった貧乏な時代を思い出させるものであるからであるらしい。また、酪農(らくのう)しかなく、工業がないイメージを嫌うらしい。

スイス人の傭兵(ようへい)に関しては、こういうのがある。ルイ16世の傭兵であったがために、フランス革命時にスイス人傭兵は虐殺(ぎゃくさつ)されている。15世紀から18世紀あたりまではヨーロッパ各地の傭兵として活躍した。バチカン市国の衛兵隊は今でもスイス人である。しかし、こうしたことは、貧しいゆえに成立したことである。

ドイツでは、アニメの『アルプスの少女ハイジ』は何度も再放送された。ドイツ人には大いにウケたのである。ハイジがドイツのフランクフルトに向かう際に、フランクフルトのような大都会に行けるのは夢のようだとはしゃぐところが、ドイツ人にとっては痛快で、スイスの田舎者めと溜飲(りゅういん)を下げるそうだ。

ベルギー人は『フランダースの犬』が好きではない。貧しい時代を思い出させるし、愛玩動物(あいがんどうぶつ=ペット)である犬を使役(しえき)に用い、こき使っていたことを恥ずかしいと考えているようなのである。挙げ句の果ては神聖な教会で主人公と犬が遺体(いたい)になる。

なお、ベルギー人は、17世紀まで自国がスペインの殖民地(しょくみんち)であったことは、大学生になるまで習わない。自国に誇りを持たせるようにするのが、世界標準であるようだ。

ベルギー人の大学生(女性)に、ベルギーほど立派な国がスペインごときの殖民地(しょくみんち)だったということを高校の世界史の授業で知ったときには驚いたと言ったところ、もっと驚かれた。日本ではそこまで教えているのかということである。日本には恥ずかしい歴史がないので、自国のみならず、他国のことまでも、正しい歴史を教えていると答えた。

一方、日本はというと、『おしん』で、たかだか100年ほど前の日本の平民がどれほど貧乏だったのかを描き、平均視聴率50.6%だった。幕末に日本を訪れた複数の外国人が、日本は貧しいが、日本人は貧しいことを恥とはせず、誇り高く生きていると述べている。こうした日本人の民族性は世界でも稀有(けう)のものである。

NHKは『おしん』を世界各国に輸出し、アジア・中近東ですこぶる好評を博した。たとえば、イラン国営テレビでは最高視聴率90%を記録し、『おしん』の放送時間中に停電となったエジプトでは、『おしん』が視(み)られなくて激怒した民衆がテレビ局や電力会社に押しかけ、暴動となった。

同時に、そのくらいに貧乏だった日本が、その後、日露戦争の日本海海戦で当時、世界最強とされたバルチック艦隊を軽く退け、戦勝し、関東大震災にめげず、アメリカ合衆国やその他の連合国相手に4年近くもガチの戦争を継続したことから、東南アジア・中近東では日本に対する敬意が増した。

日本人は『おしん』がよほど好きらしく、小説化・漫画化はもちろん、1984年にはアニメ映画化したし(興行的には失敗だった)、2008年・2009年に舞台化された。

そうしたところへ、『おしん』の実写映画が2013年10月12日に公開される予定である。

貧しいことを恥とはしない民族性のなせる業(わざ)であろうな。人としての「誇(ほこ)り」を重んじる民族性があるのだろう。

2013年7月17日水曜日

松任谷由実の「ひこうき雲」は特攻隊を唄ったものではないかと思った。

スタジオ=ジブリの『風立ちぬ』が2013年7月20日土曜日に公開される。挿入歌(そうにゅうか)のひとつに、松任谷由実(まつとうやゆみ:荒井由実(あらいゆみ))の「ひこうき雲」がある。YouTubeで聞いていたら、これは特攻隊の唄(うた)ではないかと思った。歌詞は以下のとおり。

---
「ひこうき雲」
作詞:荒井由実
作曲:荒井由実
唄:松任谷由実(荒井由実)

白い坂道が 空まで続いていた
ゆらゆらかげろうが あの子を包む
誰も気づかず ただひとり
あの子は昇っていく
何も恐れない そして舞い上がる
空に憧れて 空をかけてゆく
あの子の命は ひこうき雲
高いあの窓で あの子は死ぬ前も
空を見ていたの
今はわからない
ほかの人には わからない
あまりにも若すぎた
ただ思うだけ ただしあわせ
空に憧れて 空をかけてゆく
あの子の命は ひこうき雲
空に憧れて 空をかけてゆく
あの子の命は ひこうき雲
---



これは特攻隊の唄だろうと思って調べてみたところ、特攻隊の唄だとしているものもあれば、病(やまい)で夭折(ようせつ)した人を唄ったものだとか、あるいは、飛び降り自殺した人を唄ったものだとか、いろいろあった。鹿屋(かのや)航空基地にある史料館「海鷲(うみわし:かいしゅう)の航路」に足を運んだ当時の荒井由実が、反戦歌として作詞したという話もあった。宮崎駿(みやざきはやお)は高校生のときに左翼活動をしていたそうだから、特攻隊の唄とするのが妥当(だとう)であるような気がする。

追記:松任谷由実(まつとうやゆみ・発売当時の名義は荒井由実)はインタビューで、高校時代に夭折(ようせつ)した友人のことをモチーフにしたものだと答えていた。けれども、映画の流れからすると、どうしても特攻隊の唄にしか聞こえない。文脈が変われば違う唄に聞こえるのは、解釈の多様性を許すものであり、素晴らしい作品といえるので、これはこれでかまわないだろう。

2013年6月26日水曜日

『ゲール閣下に学ぶ揉み手処世術(もみてしょせいじゅつ)[Kindle版]』という本があった:宇宙戦艦ヤマト2199

 こんな本が売られていて、笑ってしまった。『ゲール閣下に学ぶ揉み手処世術(もみてしょせいじゅつ)[Kindle版]』である。



内容紹介では、つぎのように書いてある。
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 宇宙戦艦ヤマト2199というアニメの登場人物にあって、敵側の重要人物の成り行きはあまり良くないケースが多い。良くて立場に変化が無いだけである。
 そもそも、総統のアベルト・デスラーですらあまり立場は良くない。
 そういう中で燦然(さんぜん)と輝く躍進(やくしん)を見せた人物が1人だけいる。
 銀河方面作戦(副)司令長官グレムト・ゲール。当初ただの1方面の司令官だったが、降格人事をはね除(の)けて、3000隻の主力艦隊を指揮するまで上(のぼ)り詰(つ)める。揉み手(もみて)を繰り返す彼に総統は「もういい」と言って通信を切るが、彼を下品な男は不要だと言って処分することは一切ない。
 問題は、ゲールがなぜこれだけの躍進(やくしん)を遂(と)げられたのかだ。ゲールよりも切れる人物はいくらでもいるのだが、それでもゲールの出世だけが突出している。なぜゲールは出世街道で唯一の成功者になれたのだろうか。
 本書では、そのゲールの処世術を考察してみたい。それは読者の役にも立つはずである。

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 やられそうになると、配下の部隊に撤退命令(てったいめいれい)を出さずに、自分だけが逃げてしまう。部下に窘(たしな)められて「貴様、死にたいのか!?」と言う。ゲーリックによるデスラー暗殺計画が失敗したことを知るや否(いな)や、背後から射殺し、ゲーリックに「愚(おろ)かなり、ゲール」といわれると、「逆賊(ぎゃくぞく)め」と罵(ののし)る。

 ところが、意外と人気者になっている。能力が高くない割には、銀河方面軍作戦司令長官にまで一旦(いったん)は上(のぼ)り詰(つ)めたかららしい。

 こんな人物に人気があるのは、不思議なものだが、たぶん、こういうことではないだろうか? つまり、能力の割には出世ができていないおっさんにとっては、彼の世渡り術(よわたりじゅつ)が羨(うらや)ましいのではないだろうか?

 ちょっと興味はあるのだけれども、『ゲール閣下に学ぶ揉み手処世術[Kindle版]』を読むためだけに、Kindleを買うというのもなあ。

2013年6月19日水曜日

主要登場キャラクターの命名の由来:宇宙戦艦ヤマト2199

思いつくままに書いてみる。間違っているのもあるだろう。

森雪(もりゆき)
森木深雪(もりきみゆき)という人物から松本零士がファンレターを貰(もら)ったので、間の2文字を消して、森雪とした。

沖田十三(おきたじゅうぞう)
沖田総司(おきたそうじ):新撰組隊士
海野十三(うんのじゅうざ、またはうんのじゅうぞう)日本のSFの始祖とされる作家

真田志郎(さなだしろう)
真田幸村(さなだゆきむら):安土桃山時代から江戸時代初期の武将

新見薫(にいみかおる)
新見錦(にいみにしき):新撰組隊士;芹沢鴨と親密であったという説があり、また、尊王攘夷派(そんのうじょういは)と関係があったらしい。
浅野薫(あさのかおる):新撰組隊士;新撰組を脱走し、御陵衛士(ごりょうえじ)に参加しようとしたが、伊東甲子太郎(いとうかしたろう)に拒絶される。

加藤三郎(かとうさぶろう)
加藤建夫(かとうたてお):大日本帝国陸軍の戦闘機操縦者・飛行第64戦隊(通称:加藤隼戦闘隊)の戦隊長
坂井三郎(さかいさぶろう):大日本帝国海軍のゼロ戦操縦者・『大空のサムライ』の著者

篠原弘樹(しのはらひろき)
篠原弘道(しのはらひろみち):大日本帝国陸軍の軍人、戦闘機操縦者。1939年5月27日の初陣(ういじん)で4機撃墜、翌日28日に6機撃墜し、エース=パイロットとなる。初陣(ういじん)から戦死するまでのわずか3か月で58機を撃墜(げきつい)。1日だけで11機撃墜の記録をもつ。この記録を上回るのはドイツ国防軍空軍のエーリヒ=アルフレート=ハルトマンErich Alfred "Bubi" Hartmannの1日12機だけである。「東洋のリヒトホーフェンRichthofen」との異名をもつ。篠原弘道にしても、リヒトホーフェンにしても、戦死しているんだよなあ。不吉な予感がする。
篠原泰之進(しのはらたいのしん):新撰組隊士

徳川彦左衛門(とくがわひこざえもん)
徳川家康(とくがわいえやす):征夷大将軍
大久保彦左衛門(おおくぼひこざえもん):江戸幕府の旗本・徳川家康の直臣(じきしん)

榎本勇(えのもといさみ)
榎本武揚(えのもとたけあき):江戸幕府の幕臣で、明治政府では大臣を歴任
近藤勇(こんどういさみ):新撰組隊士・近藤勇の別名は大久保大和

平田一(ひらたはじめ)
平田篤胤(ひらたあつたね):江戸時代後期の国学者・神道家
斎藤一(さいとうはじめ):新撰組隊士

土方竜(ひじかたりゅう)
土方歳三(ひじかたとしぞう):新撰組隊士
松井龍三郎(まついりゅうざぶろう):新撰組隊士
坂本龍馬(さかもとりょうま):海援隊や亀山社中を運営し、当時としては最強の兵器であるガトリング砲を売り捌(さば)いていた死の商人

南部康雄(なんぶやすお)
南部麒次郎(なんぶきじろう):帝国陸軍の兵器開発の技術将校・拳銃のニューナンブM60という名称は南部麒次郎に由来

藤堂平九郎(とうどうへいくろう)
藤堂平助(とうどうへいすけ):新撰組隊士
渋沢平九郎(しぶさわへいくろう):彰義隊(しょうぎたい)隊士・振武軍(しんぶぐん)参謀

山南修(やまなみおさむ)
山南敬助(やまなみけいすけ):新撰組隊士

芹沢虎徹(せいざわこてつ)
芹沢鴨(せりざわかも):新撰組隊士
虎徹(こてつ):江戸時代の刀工

山崎奨(やまざきすすむ)
山崎烝(やまざきすすむ):新撰組隊士

伊東真也(いとうしんや)
伊東甲子太郎(いとうかしたろう):新撰組隊士;新撰組を離脱し、御陵衛士(ごりょうえじ)を組織する。

原田真琴(はらだまこと)
原田左之助(はらださのすけ):新撰組隊士
誠(まこと):新撰組の隊旗(たいき)にある文字

星名透(ほしなとおる)
保科正之(ほしなまさゆき):江戸時代初期の大名・第二代将軍徳川秀忠の庶子(しょし)
なお、保科正之は「もし二心を抱けばわが子孫にあらず。面々決して従うべからず」と述べ、また『会津藩家訓十五箇条』の第一条には「会津藩たるは将軍家を守護すべき存在であり、藩主が裏切るようなことあれば、家臣は従ってはならない」と記している。星名透は、ヤマト計画本部長である藤堂長官の依頼で、イズモ計画派の動向を内偵・監視しており、イズモ計画派の伊東真也の反乱に加わるふりをするが、反乱を鎮圧する。伊東に「俺を裏切ったのか」と言われ、「嫌(いや)だな。表返(おもてがえ)っただけですよ」と答える。これのやりとり、すなわち、二心を抱かぬということから、「星名」が「保科」のことらしいと気がついた。

佐渡酒造(さどさけぞう)
新潟出身・酒好き

2013年6月13日木曜日

♪銀河水平波間を越えて……「銀河航路(宇宙船乗りの歌)」の歌詞:宇宙戦艦ヤマト2199

 宇宙戦艦ヤマト2199の「銀河航路」(宇宙船乗りの歌)の歌詞。
作詞:出渕裕(いづぶちゆたか) 
作曲・編曲:宮川彬良(みやがわあきら)

1.
銀河 水平 波間を越えて
目指す恒星(こうせい) ケンタウリCentauri
星の瞬(またた)き 遙かに超えて
宇宙に輝く星の船
抜錨(ばつびょう) 船出(ふなで)だ 錨(いかり)を上げろ
進路そのまま 宜候(ようそろ)
星に向かって舵(かじ)を切れ
俺たちゃ宇宙の
俺たちゃ宇宙の船乗りさ

2.
青い地球を今 跡(あと)にして
カイパー=ベルトKuiper Beltをひとっ飛び
空間航跡 棚引(たなび)く果てに
目指す地平が見えてくる
抜錨(ばつびょう) 船出(ふなで)だ 錨(いかり)を上げろ
進路そのまま 宜候(ようそろ)
船行(ふねゆ)く先は星の海
俺たちゃ宇宙の
俺たちゃ宇宙の航海者(こうかいしゃ)


ケンタウリ:ケンタウルス座α星(アルファせい)Alpha Centauriのこと。ケンタウリα星と呼ばれたことがある。4.39光年の距離にあり、太陽系に最も近い恒星である。
宜候(ようそろ):宜しく候(よろしくそうろう)が訛(なま)ったもの。
カイパー=ベルトKuiper Belt:太陽系の海王星軌道より外側の黄道面(こうどうめん)付近にあり、天体が密集している穴の空いた円盤状の領域のこと。エッジワース=カイパーベルトEdgeworth Kuiper Belt、エッジワース=ベルトEdgeworth Beltともいう。



2013年6月12日水曜日

「B特殊戦群所属、第442特務小隊であります」:宇宙戦艦ヤマト2199

『宇宙戦艦ヤマト2199』第6章「到達! 大マゼラン」の冒頭8分の動画を視聴したら、「第442特務小隊」というのが登場した。

「第442」で想起するのは、アメリカ合衆国陸軍史上最強とされる第442連隊戦闘団the 442nd Regimental Combat Teamであろう。日系アメリカ人で構成された部隊である。

 B特殊戦群所属、第442特務小隊の登場する場面での台詞・やり取りは以下のとおり。

---
ライル=ゲットー:
二等ガミラスの部隊か。

クリス=クライツェ:
惑星ザルツの義勇兵だ。

フォムト=バーガー:
占領地の人間かよ。

ヴェム=ハイデルン:
シュルツと同じ星の出身者です。

第442特務小隊隊長(らしき人物):
B特殊戦群所属、第442特務小隊であります。

ドメル将軍:
諸君にはきわめて重要な任務を任せることになる。承知しているな。

第442特務小隊隊長(らしき人物):
ガミラスのため全力を尽くします。

フォムト=バーガー:
はっ、信用できるか。怪しいもんだ。

ゴル=ハイニ:
おっ。

第442特務小隊の兵士たちがガミラス国歌を歌い始める。
♪青き花咲く大地
 気高(けだか)きわが故郷(こきょう)よ
 響(ひび)け 歓喜の歌
 神の加護(かご)はわれらとともにあり続けん
 ガーレ=ガミロン
 讃(たた)えよ 祖国の勝利を
---

「第442」から、たいていの人は、アメリカ合衆国陸軍で史上最強とされる日系人部隊の「第442連隊戦闘団」を思い浮かべるであろう。忠誠心を疑われているところは、まさにそのとおりだろう。

 その一方で、第442特務小隊の役割は、「特務小隊」ということから、彼らの任務は歩兵連隊のものではない。義勇兵であるということは、軍人ではなく、軍属(ぐんぞく)である。特務任務という設定から、台湾の先住民から構成された「高砂義勇隊(たかさごぎゆうたい)」もモデルのひとつとなっているにちがいない。

 第442連隊高砂義勇隊がモデルになっているようだ。これほどのすごい部隊がモデルになっているけれども、ガミラス側だから、ヤマト側にやられちゃうんだろうな。ちょっと哀(かな)しい。

 6分54秒あたりから第442特務小隊が登場する。期間限定だから、すぐに削除(さくじょ)されるのだろうな。



2013年6月11日火曜日

ガミラス国歌「永遠に讃えよ 我が光」の歌詞:宇宙戦艦ヤマト2199

ガミラス国歌「永遠に讃(たた)えよ 我が光」
作詞:出渕裕(いづぶちゆたか) 
作曲・編曲:宮川彬良(みやがわあきら)

1.
青き花咲(はなさ)く大地
気高(けだか)きわが故郷よ
響(ひび)け 歓喜(かんき)の歌
神の加護(かご)は われらとともにあり続けん
ガーレ=ガミロン*1
讃(たた)えよ 祖国の勝利を

2.
気高(けだか)きは勝利の意志
示せ 遍(あまね)く宇宙に
理想 貫(つらぬ)く愛
神の加護(かご)は われらとともにあり続けん
ガーレ=フェゼロン*2
誇りある鋼(はがね)の国家

*1ガーレ=ガミロン:ガミラス萬歳(ばんざい) 「ガミラス」が「ガミロン」となっているのは、格変化(かくへんか)によるものだろう。英語は、格変化が基本的にないが、人称代名詞だと、I my meなどと、主格、所有格、目的格で変化するようなもの。
*2ガーレ=フェゼロン:総統萬歳(そうとうばんざい) 「フェゼロン」は、ドイツ語の「総統」であるFührer(フューラー)に由来(ゆらい)するようだ。




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2013年6月10日月曜日

ソード=スリーが意味するもの:宇宙戦艦ヤマト2199

『宇宙戦艦ヤマト2199』第五章第18話で、篠原弘樹(しのはらひろき)のコード=ネーム(コールサイン)が「ソード=スリー」であることが明かされる。篠原は山本玲(やまもとあきら)の兄・明生(あきお)に憧れを抱いており、その明生が使用していたコード=ネーム「ソード=スリー」を使っている。

そして、彼が所属するのは、(第)343航空団である。

ソード=スリーはSWORD THREEだろう。SWORDの意味は「(つるぎ)」である。SWORDのWは発音しない。

そう、これは、帝国海軍の2代目「第343海軍航空隊」、通称・剣部隊(つるぎぶたい)を表している。第343海軍航空隊は3個戦闘飛行隊から構成され、それぞれが48機の定数であった。宇宙戦艦ヤマト2199の343航空団も48機から構成される。

剣部隊は、戦闘第701飛行隊・戦闘第407飛行隊・戦闘第401飛行隊・戦闘第301飛行隊・偵察第4飛行隊から成る。それぞれの通称は以下のとおり。

戦闘第701飛行隊:維新隊(いしんたい)
戦闘第407飛行隊:天誅組(てんちゅうぐみ)
戦闘第401飛行隊:極天隊(ごくてんたい)
戦闘第301飛行隊:新撰組(しんせんぐみ)
偵察第4飛行隊:奇兵隊(きへいたい)

『宇宙戦艦ヤマト2199』の登場人物には新撰組に由来する名前が多い。それに、篠原弘樹という名前は、大日本帝国陸軍の戦闘機操縦者・篠原弘道(しのはらこうどう)とともに、新撰組隊士・篠原泰之進(しのはらたいのしん)に由来するようである。

なお、命名の由来のひとつである篠原弘道(しのはらこうどう)は大日本帝国陸軍の軍人、戦闘機操縦者である。1939年5月27日の初陣(ういじん)で4機撃墜、翌日28日に6機撃墜し、即座にエース=パイロットとなる。初陣(ういじん)から戦死するまでのわずか3か月で58機を撃墜(げきつい)。1日だけで11機撃墜の記録をもつ。この記録を上回るのはドイツ国防軍空軍のエーリヒ=アルフレート=ハルトマンErich Alfred "Bubi" Hartmannの1日12機だけである。「東洋のリヒトホーフェンRichthofen」との異名をもつ。篠原弘道にしても、リヒトホーフェンにしても、戦死している。

SWORD THREEのコード=ネームを使用している篠原弘樹は、戦闘第301飛行隊・新撰組の戦闘機隊長をも、モデルにしている可能性がある。戦闘第301飛行隊の戦闘機隊長である菅野直(かんのなおし)は、1945年8月1日、機銃筒内の爆発により、行方不明となった。生死すらわからないままである。

ちなみに、初代第343海軍航空隊の通称は隼部隊(はやぶさぶたい)である。篠原が搭乗するのは99式空間戦闘攻撃機コスモファルコンであるが、ファルコンfalconは「隼」のことである。

2013年4月25日木曜日

役者の国籍が、演じる人物とちがいすぎるときに違和感を覚えるのだが、一般的にはそうではないらしい。

『信長のシェフ』というドラマが人気だそうである。テレビを持っていないから、視聴したことはないが、生徒から聞いたところでは、ポルトガル人であるルイス=フロイスの役をダニエル=カールがやっているという。

 私からすると、ダニエル=カールは、めっちゃドイツ人顔をしている。調べてみたら、やっぱり、ドイツ系アメリカ人だった。

 違和感を感じるんだ。

 同じような例として、2010年に公開されたティム=バートンTim Burton監督によるアリス=イン=ワンダーランドAlice in Wonderlandの主演女優ミア=ワシコウスカMia Wasikowskaにも強い違和感を感じた。

 イングランドの物語なのに、アリス役の女優が、いかにもなポーランド系の顔をしているのである。女優の国籍がオーストラリアと知って、これはおかしいと思って調べたら、母親がポーランド出身であった。

 もっとすごいのがある。

『荒野の七人』The Magnificent Sevenである。これは黒澤明監督の『七人の侍』のハリウッド版リメイクである。主人公のクリスChrisを演ずるユル=ブリンナーYul Brynnerが、スイスとモンゴルの血を引く父親と、ユダヤ系ロシア人の母親との間の子どもであるのは、移民国家アメリカ合衆国だからいいとして、メキシコ人の農民の出である若きガンマンのチコChicoを、アメリカに出稼(でかせ)ぎにきたドイツ人俳優に演じさせている。

 流石(さすが)に、これはまずいと思ったのか、続編では、メキシコ人に替(か)えていた。

 また、ロマン=ポランスキーRoman Polanski監督の『テス』Tessの主演女優ナスターシャ=キンスキーNastassja Kinskiにしても、両親ともにポーランド系ドイツ人で、イングランドの小説の映画化作品に出ているのか、不思議でならなかった。ナスターシャ=キンスキーはポーランド系ぽくはないけれども、いかにも東欧系という顔つきである。

 どうしてこういうことが起こるのかと思っていたが、どうやら、経費の都合らしい。

 たとえば、演技のできる美人のイングランド人女優は滅多におらず、無理に起用しようとすると、経費がかかるようだ。経費節約のために、ポーランド系などを起用する。

 そういうことらしい。

 ただ、私は、そうしたことに強く違和感を感じてしまう。さほど美人ではないイングランド人女優を起用してもいいのではないかと思う。

イギリス人に美人はあまりいない。『ハリー=ポッター』のハーマイオニー役を演じている女優さんは綺麗じゃないかとの反論を受けたことがあるが、彼女は4分の1フランス人、つまり、フレンチ=クオーターである。

 ところで、日本の映画については、たとえば、昭和30年代の映画に出演している俳優・女優と、最近の映画に出演している俳優・女優とでは、ずいぶん、顔つきが変わったと感じている。全体として、目と鼻と耳が隨分(ずいぶん)と小さくなり、顎(あご)が逞(たくま)しくなったような気がする。

 経費節約のためのせいなのか、それとも、流行の変化なのだろうか?

2013年3月20日水曜日

細田守のジブリに対する対抗心、あるいは怨念(おんねん)

 細田守はスタジオジブリStadio Ghibli, Inc.には嫌な目に遭(あ)わされている。

 スタジオジブリの研修生採用試験の一次試験で、2枚以上の絵を提出するという課題に対して、150枚以上の絵を提出したところ、「君のような人間を入れると、かえって君の才能を削(そ)ぐと考えて、入れるのをやめた」と書いた手紙を宮崎駿(みやざきはやお)から受け取った。

 スタジオ=ジブリからの依頼で、『ハウルの動く城』Howl's Moving Castleの監督に起用され、ジブリに出向(しゅっこう)するが、諸般(しょはん)の事情によって製作中止となり、集めたスタッフからの人望(じんぼう)を失った。

 こうした経緯(いきさつ)から、細田守は常にジブリを意識しているようである。

 たとえば、宮崎駿版『ハウルの動く城』の最後のほうで、ソフィーSophieがハウルに向かって

「未来で待ってて!」

と叫ぶ。

 一方、細田守の『時をかける少女』The Girl Who Leapt Through Timeの最後のほうで、未来に帰る間宮千昭(まみやちあき)は紺野真琴(こんのまこと)に

「未来で待ってる」

と言う。

 ジブリのアニメでは、プロのアニメ声優はあまり起用せず、人気のある俳優や芸能人を起用する。宮崎駿がプロのアニメ声優による声の演技が好きではないというため、また、鈴木敏夫が観客動員数を増やすために、人気の芸能人を起用した

 細田守も、プロのアニメ声優よりも、俳優・女優を好む傾向がある気がする。しかし、観客動員数を増やすのが主たる目的ではないようだ

 また、ジブリの『崖の上のポニョ』Ponyo on the Cliff by the Seaと細田守の『おおかみこどもの雨と雪』Wolf Children Ame and Yuki / Les Enfants loups, Ame et Yukiとを比較してみよう。

 ポニョは、もともとは人間であるフジモトと「海なる母」であるグランマンマーレGranmamare(←なぜか、英語だと、グランママーレとなっている)との混血児である。

 一方、おおかみこどもの「雪」と「雨」はおおかみおとこと人間との混血児である。

 『崖の上のポニョ」でポニョとつきあうのは、宗介(そうすけ)であり、『おおかみこどもの雨と雪』で「雪」を思いやるのは草平(そうへい)である。

 宮崎駿が『崖の上のポニョ』以前に、海を舞台にしたアニメーション映画を製作しなかったのは、手描(てが)きだと、波を描(か)くの面倒だったからである。

 一方、細田守は、渓流(けいりゅう)や滝や水の泡(あわ)を最新の技術で描出(びょうしゅつ)し、ジブリの描写を凌(しの)ぐものを打ち出した。まあ、後出(あとだ)しジャンケンみたいなもんだけどね。

 ポニョは「人間になりたい」と思っている

 一方、おおかみこどもの「雪」は人間として生きることを決意するが、「雨」はおおかみとして生きることを決意する

 細田守は人間中心主義anthropocentrisim / humanismを否定(ひてい)することによって、『風の谷のナウシカ』Nausicaä of the Valley of the Windなどの浅薄(せんぱく)なエコロジーecologyを超えている。

 以上のように、細田守はジブリを意識しているのである。でも、同時に、喧嘩(けんか)を売っているようにしか見えない。



2013年3月18日月曜日

『おおかみこどもの雨と雪』の冒頭における大学での講義の内容から見える細田守の決意

「花」がおおかみおとこと出逢うのは、大学の授業である。初夏のある日、「花」はおおかみおとこを知る。

 おおかみおとこは、モグリの学生として、講義(こうぎ)に出席して、熱心にノートをとっていた。

 そのときの講師のことばはつぎのものであった。

---
 ソクラテスはこのように言っています。テキストから引用しましょう。「世間で賢者(けんじゃ)の誉(ほま)れの高い人物は、確かに自分の得意な分野や雑学などもよく心得(こころえ)ている。しかし、真・善・美(しん・ぜん・び)やアレテーについては、なにも知らない」
---

 アレテーΑΡΕΤΗとは一般に「徳(とく)」と訳されるものである。

 さて、この台詞(せりふ)に大した意味がないとすれば、DVDの日本語字幕で、この講師のことばを表記しないだろう。しかし、きちんと日本語字幕で表記している。

 とすれば、なんらかの意図で以(もっ)て、挿入(そうにゅう)したはずである。

 因(ちな)みに、講師のことばの部分は、デルフォイ(古代希臘(ギリシア)語ではデルポイ、現代希臘(ギリシア)語ではデルフィ)の神託で「ソクラテスに勝(まさ)る賢者(けんじゃ)なし」というお告(つ)げが出されたので、それを確かめるためにソクラテスが賢者(けんじゃ)といわれる人々と対話をして得た結論を述べた件(くだり)である。所謂(いわゆる)「無知の知」である。つまり、彼らは大切なことを知らないということを知らないが、自分は大切なことを知らないということを知っているというものだ。

 細田守は、自分は大切なことを知らないということを知っているが、その大切なことをこれから描くつもりだと宣言しているように感じた。

 尚(なお)、「花」がおおかみおとこと出逢った講義のそのつぎの講義での講師のことばはつぎのもの。

---
 この裁判の告訴人(こくそにん)となったのは、詩人のメレトス、政治権力を持っていたアニュトス、ソフィストのリュコンの3人です。代表はメレトスですが、アニュトスが裏で画策(かくさく)していたのだとされています。
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 ソフィストsophistは「智慧(ちえ)のある者」という意味だが、悪い意味である。希臘語(ギリシアご)の原語に近い読みは「ソピステース」ΣΟΦΙΣΤΗΣである。

 この部分は、『ソクラテスの弁明』にある件(くだり)で、ソクラテスが裁判にかけられて、死刑判決を受ける。『クリトン』によると、脱走(だっそう)するように説得されるが、ソクラテスは「悪法もまた法なり」と毒人参の杯(さかづき)を呷(あお)って死ぬ。このとき、ソクラテスは70歳くらいで、当時の平均寿命からすると、今の日本では100歳を超える年齢に相当するので、脱走までして生き延(の)びようとするのは、かなり見苦しいことであったであろう。

 それはともかく、ここの部分は、正しい行為であっても、不利益を被(こうむ)ることがあるということや、あるいは、善きことを目指したけれども理解されないということがある可能性を示唆(しさ)しているようである。



2013年3月13日水曜日

若手のアニメはなんでも貶(けな)す富野由悠季が、なぜ、『おおかみこどもの雨と雪』を絶讚したのだろうか?

 富野由悠季(とみのよしゆき)は、若手監督の製作したアニメーションを褒(ほ)めたことがないように記憶している。


 ところが、『おおかみこどもの雨と雪』だけは絶讚(ぜっさん)した。
富野由悠季は「『おおかみこどもの雨と雪』の衝撃」というコメントを公表した。そのコメントは以下のとおり。「刮目(かつもく)」以外のふりがなはこちらでつけた。


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 「おおかみこどもの雨と雪」の衝撃 富野由悠季
 新しい時代を作ったと言っていい。革新(かくしん)を目指していると言ってもいいだろう。が、作者であり監督は、そこまで意識していたかどうか。手法(しゅほう)を追求していったらこうなったのかも知れない。
 どうであれ、本作の前では、もはや過去の映画などは、ただ時代にあわせた手法をなぞっているだけのものに見えてしまうだろう。
 本作は、変身物でもなければ、恋愛物でもないし、エコやら環境問題をあげつらったメッセージ物でもない。まして癒(い)やし系でもない。
 それら過去のジャンル分けなどを飛び越えた物語になっている。描写が冷静だからだろう。文芸大作と言っても良い。それほどリアルに命の連鎖(れんさ)を描き、子供の成長の問題を取りあげている。そこに至った意味は刮目(かつもく)すべきなのだ。
 むろん、技術的に気になる部分があるのだが、細部(さいぶ)の問題などには目をつぶれる。しかし、アニメならではの手法で可能になっている構造でもあるので、アニメ映画というレッテルを貼られてしまうのが、無念(むねん)ではある。
 このような作品に出会えたことは、同じ作り手として幸せである。
 アニメの可能性を開拓(かいたく)してくれたのだから、本作に関係した監督以下のスタッフに敬意(けいい)を表(ひょう)する。
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梗概(こうがい=粗筋(あらすじ))はこちら。

『おおかみこどもの雨と雪』に関して特筆すべきは、新たに導入された技術である。これに関しては、メイキングセミナーが催(もよお)されたくらいである。風に靡(なび)く草花(くさばな)や樹木(じゅもく)の枝(えだ)の動きの描写(びょうしゃ)は息を呑(の)むほどである。また、渓流(けいりゅう)の流れや水中の泡(あわ)の描写にも感服(かんぷく)する。

 ところが、富野由悠季は「技術的に気になる部分がある」と言っているので、技術面に感銘(かんめい)を受けたわけではないようだ。

 富野由悠季は「文芸大作と言っても良い。それほどリアルに命の連鎖を描き、子供の成長の問題を取りあげている」と述べている。」と言っている。ということは、物語そのものに感動したらしいと判断できる。また、「子供の成長」と言及しているから、富野由悠季本人は自分の子育てに失敗したと思っていたところ、おおかみとして生きる弟のことも、人間として生きる姉のことも、どちらをも肯定(こうてい)している「花」を目にして、自分の子育ては失敗だったと思わなくてよいと勇気づけられた可能性が高い

 富野由悠季が絶讚(ぜっさん)しているということを耳にして、どんな物語なのかと興味を抱いて、まずは文庫本を買って、読んでみた。

 私個人の感想としては、隠喩(いんゆ=メタファーmetaphor)としての「おおかみおとこ」は、「獣臭い」という藤井草平の台詞(せりふ)から、日本のマイノリティにひとつである被差別なんとかの「あれ」だなと思い、弟の「雨」がおおかみとして生きると決意し、一方で姉の「雪」が人間として生きると決めたのは、折衷案(せっちゅうあん)はなく、いずれかを選択するほかないという意味だと思った。つまり、被差別なんとか民(みん)として生きるか、それともそのことを隠(かく)し続けて生きるか、どちらしかないということだと考えた。

 つまり、今の日本では禁忌(きんき=タブーtaboo)とされることを隠喩(いんゆ)という形で描いたことを高く評価したのかもしれない

 ということで、富野由悠季が『おおかみこどもの雨と雪』を絶讚した理由にはつぎの2つが考えられる。

1) 子育てに失敗したと思っていたが、子どもがおおかみとして生きる道を選んでも、人間として生きる道を選んでも、どちらも肯定(こうてい)しているのを目にして、心が救われた。

2) 日本の禁忌(きんき)に、隠喩(いんゆ)とはいえ、踏み込んだことに感心した。


 富野由悠季が感動した理由は、この2つのうちのどちらかだろう。

 なお、富野由悠季に子どもがいるかどうかさえ、現時点では知らない。この記事を公開してから、調べよう。

追記:調べてみたら、現時点で、姉は劇団の演出助手をしており、妹は国士舘大学中途退学後、コンテンポラリー=ダンスのダンサーをしている。

追記その2:コメントが寄せられた。私はアニメ=ヲタクではないので、知らなかったが、富野由悠季は、原恵一という人の『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ! オトナ帝国の逆襲』は『千と千尋の神隠し』よりもアカデミー賞に相応(ふさわ)しいと絶讚しているそうである。また、「ちゃんと頑張っている」程度の発言もあるそうだ。また、姉は劇団を退団して、現在、海外で暮らしているという。すると、おおかみとして山で生きることを決意した「雨」がおおかみの姿のままで母の説得を振り切り、山の頂で遠吠えをしたときに、母の「花」は「元気で……しっかり生きて」と叫ぶところが、富野由悠季の琴線(きんせん)に触れたのかもしれないなあ。



2013年3月12日火曜日

『おおかみこどもの雨と雪』の梗概(こうがい=粗筋あらすじ)

両親を既(すで)に亡(な)くし、天涯孤独(てんがいこどく)の身である「花(はな)」は、奨学金を授業料にあて、アルバイトをしながら、一橋大学をモデルにした東京郊外にある国立大学の社会学部に通う。

およそ100年前に絶滅したとされる日本狼(ニホンオオカミ)の末裔(まつえい)というおおかみおとこに出逢い、交際を始める。

子どもを身籠(みごも)り、大学を休学し、おおかみおとこの「彼」と一緒に子どもを育てることにする。

子どもは年子(としご)でふたりいた。姉は雪の日に生まれたので「雪(ゆき)」と、弟は雨の日に生まれたので「雨(あめ)」と名づけられた。

ところが、おおかみおとこの「彼」は川で溺(おぼ)れて亡くなり、おおかみの姿をしていたので、清掃局の人々によって、袋詰(ふくろづ)めにされ、ゴミ収集車に回収される。

子どもたちはことあるごとに、おおかみに変身してしまい、おおかみこどもの正体がばれることを怖(おそ)れて、富山県の山奥にある廃屋(はいおく)に近い築100年の古民家(こみんか)に、修繕(しゅうぜん)しながら住み始める。

半自給自足(はんじきゅうじそく)の生活を目指し、農業に手をつけ、最初はうまくいかなかったけれども、近所の人々に助けられる。他者(たしゃ)との交わりを拒絶(きょぜつ)するために、人里離(ひとざとはな)れた古民家(こみんか)に住むことに決めたのだが、いつしか、近所づきあいが深まる。

姉の「雪」とちがって、内向的(ないこうてき)な弟「雨」は学校生活に馴染(なじ)めず、山へと頻繁(ひんぱん)に出かけ、「先生」と呼ぶ老狐(ろうこ)に教えを受け、山で暮らすための技術を身につける。

ある日、姉の「雪」のクラスに転校してきた藤井草平(ふじいそうへい)に「ねえ、お前んち、犬、飼ってない?」と訊(き)かれ、「え、なんで?」と理由を訊(き)くと「なんか、獣臭(けものくさ)いから」と言われ、「雪」は草平を避けるようになる。

怪訝(けげん)に思った草平に問い詰(つ)められた際に、激昂(げっこう)した「雪」はおおかみに変身して、草平の右耳を傷つけてしまう。

草平は「おおかみがやったんだ。やったのはおおかみだ」と言い張るが、だれも信じない。この時、「雪」は「人間として生きる」ことを強く決意したようである。

ある集中豪雨(ごうう)の晩(ばん)、親が迎(むか)えに来ない草平と「雪」は学校に取り残される。「雪」は草平に自分がおおかみこどもであることを告白する。「わかってた、ずっと。『雪』の秘密、だれにも言ってない。だれにも言わない。だから……もう泣くな」と草平は答える。「今までだれにも言ったことがないんだ」と「花」に語ったおおかみおとこである「彼」のことばに呼応(こおう)する。

一方、弟の「雨」は、死期(しき)の迫(せま)った老狐(ろうこ)の「先生」の代わりとして、山で生きることを決意する。

豪雨の中、「雨」を心配した母の「花」は山へと「雨」を捜(さが)しに出かけるが、崖(がけ)で足を滑(すべ)らせる。以前、山翡翠(ヤマセミ)を捕(と)らえようとして渓流(けいりゅう)で溺(おぼ)れかけて姉の「雪」に助けられた「雨」が、母の「花」を助けるほどに成長していた。

「花」の意識が戻(もど)り、家に帰るように呼びかけるが、「雨」はおおかみの姿のままで山を駆(か)け登(のぼ)り、頂(いただき)で遠吠(とおぼ)えをする。

「花」は「元気で……しっかり生きて」と叫(さけ)ぶ。

その翌朝、母の「花」は、集中豪雨によって綺麗(きれい)に洗い流された世界を「一夜にして生まれ変わった」と感じる。

翌年、中学に進学する際、「雪」は寮に入り、「花」はひとり、古民家で暮らすこととなる。



2013年2月19日火曜日

こういう仕事には就きたくないというのをうちの生徒たちに訊いてみたら、すごい回答があった。

 当校の生徒たちに、将来、こういう仕事には就(つ)きたくないというものを挙(あ)げてもらったら、一部に物凄(ものすご)く意外な答えがあって、笑ってしまった。随分(ずいぶん)と過去のものも含む。

 まず、それほど不思議ではない回答。

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 大手都市銀行を含めた金貸し一般。ものづくりをしないで、金を貸すだけで儲けているから。
 単純作業をひたすら繰り返すだけの仕事。気が狂いそうになりそうだから。
 接客業一般。同級生でいちばん性格の悪い奴も客になるかもしれないと思うと、怖くてできないから。
 商社勤務。烏賊(イカ)・蛸(タコ)の取り扱いを担当して30年という例があると聞いたからという。
 不動産屋。1億円の物件の所有権を右から左に移すだけで、売り主と買い主から300万円ずつ、計600万円を貰(もら)うのはあまりにもふざけているから。
 暴力団員。(それって、仕事っていえるのか?)
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 私が笑ったのは、つぎの2つの回答。

---
「美空ひばりの息子」

 なんでも、デーブ=スペクターがなにかのテレビ番組で、美空ひばりの息子の加藤和也に向かって「あなたの職業は『美空ひばりの息子』でしょ」と言ったことがあって、なんだか恥ずかしいと感じたという。

「黒澤明の息子」

 黒澤明第1子長男の黒澤久雄のことである。親の映画の著作権を管理して、そこから収入を得ているだけだからだという。
---

 加藤和也にしても、ひばりプロダクション代表取締役社長として、美空ひばりの遺産を管理しているから、黒澤久雄と変わらない。ま、こういう仕事は尊敬されないということなんだろうな。

 どうでもいいけど、上記の2例は「仕事」とはいえない気がする。

 個人的には、黒澤明の映画のDVDやブルーレイ=ディスクBlu-ray Discを廉(やす)くしてもらえないかなと思っているし、また、黒澤明の映画を、画質を落としてYouTubeで無料で視聴できるようにすると、若年層(じゃくねんそう)も黒澤作品に興味を示(しめ)し、DVDなどの売り上げが増えると思うのだが、そういうことはしていない。

 ところで、どういう仕事に就(つ)きたいのかと訊(き)いたところ、小学生の女の子の場合、お菓子屋さんや花屋さん、バレリーナなどが挙(あ)がった。まあ、これはよくありそうな回答である。

 税務署員という回答もあった。うちの近所に練馬東税務署があり、忙しい時期を除けば、普段(ふだん)、残業している気配がないので、楽そうだと思ったという。子どもらしくない回答だな。

 一方、高校生になると、つぎの回答がいちばん多かった。

 潤沢(じゅんたく)な研究費で好きな研究ができて、しかも成果を求められない仕事。

 こいつら、世間の厳(きび)しさがわかっていないな。

自己紹介

自分の写真
和歌山県, Japan
早稲田大学第一文学部哲学科哲学専修卒業、「優」が8割以上で、全体の3分の2以上がA+という驚異的な成績でした。大叔父は競争率180倍の陸軍飛行学校第1期生で、主席合格・主席卒業にして、陸軍大臣賞を受賞している。いわゆる銀時計組であり、「キ61(三式戦闘機飛燕)の神様」と呼ばれた男である。苗字と家紋は紀州の殿様から授かったものである。

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