2013年3月20日水曜日

細田守のジブリに対する対抗心、あるいは怨念(おんねん)

 細田守はスタジオジブリStadio Ghibli, Inc.には嫌な目に遭(あ)わされている。

 スタジオジブリの研修生採用試験の一次試験で、2枚以上の絵を提出するという課題に対して、150枚以上の絵を提出したところ、「君のような人間を入れると、かえって君の才能を削(そ)ぐと考えて、入れるのをやめた」と書いた手紙を宮崎駿(みやざきはやお)から受け取った。

 スタジオ=ジブリからの依頼で、『ハウルの動く城』Howl's Moving Castleの監督に起用され、ジブリに出向(しゅっこう)するが、諸般(しょはん)の事情によって製作中止となり、集めたスタッフからの人望(じんぼう)を失った。

 こうした経緯(いきさつ)から、細田守は常にジブリを意識しているようである。

 たとえば、宮崎駿版『ハウルの動く城』の最後のほうで、ソフィーSophieがハウルに向かって

「未来で待ってて!」

と叫ぶ。

 一方、細田守の『時をかける少女』The Girl Who Leapt Through Timeの最後のほうで、未来に帰る間宮千昭(まみやちあき)は紺野真琴(こんのまこと)に

「未来で待ってる」

と言う。

 ジブリのアニメでは、プロのアニメ声優はあまり起用せず、人気のある俳優や芸能人を起用する。宮崎駿がプロのアニメ声優による声の演技が好きではないというため、また、鈴木敏夫が観客動員数を増やすために、人気の芸能人を起用した

 細田守も、プロのアニメ声優よりも、俳優・女優を好む傾向がある気がする。しかし、観客動員数を増やすのが主たる目的ではないようだ

 また、ジブリの『崖の上のポニョ』Ponyo on the Cliff by the Seaと細田守の『おおかみこどもの雨と雪』Wolf Children Ame and Yuki / Les Enfants loups, Ame et Yukiとを比較してみよう。

 ポニョは、もともとは人間であるフジモトと「海なる母」であるグランマンマーレGranmamare(←なぜか、英語だと、グランママーレとなっている)との混血児である。

 一方、おおかみこどもの「雪」と「雨」はおおかみおとこと人間との混血児である。

 『崖の上のポニョ」でポニョとつきあうのは、宗介(そうすけ)であり、『おおかみこどもの雨と雪』で「雪」を思いやるのは草平(そうへい)である。

 宮崎駿が『崖の上のポニョ』以前に、海を舞台にしたアニメーション映画を製作しなかったのは、手描(てが)きだと、波を描(か)くの面倒だったからである。

 一方、細田守は、渓流(けいりゅう)や滝や水の泡(あわ)を最新の技術で描出(びょうしゅつ)し、ジブリの描写を凌(しの)ぐものを打ち出した。まあ、後出(あとだ)しジャンケンみたいなもんだけどね。

 ポニョは「人間になりたい」と思っている

 一方、おおかみこどもの「雪」は人間として生きることを決意するが、「雨」はおおかみとして生きることを決意する

 細田守は人間中心主義anthropocentrisim / humanismを否定(ひてい)することによって、『風の谷のナウシカ』Nausicaä of the Valley of the Windなどの浅薄(せんぱく)なエコロジーecologyを超えている。

 以上のように、細田守はジブリを意識しているのである。でも、同時に、喧嘩(けんか)を売っているようにしか見えない。



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和歌山県, Japan
早稲田大学第一文学部哲学科哲学専修卒業、「優」が8割以上で、全体の3分の2以上がA+という驚異的な成績でした。大叔父は競争率180倍の陸軍飛行学校第1期生で、主席合格・主席卒業にして、陸軍大臣賞を受賞している。いわゆる銀時計組であり、「キ61(三式戦闘機飛燕)の神様」と呼ばれた男である。苗字と家紋は紀州の殿様から授かったものである。

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