2013年3月26日火曜日

130万円の篦竿(へらざお)を政治家2人に贈った友人の父親

篦竿(へらざお)とは、篦鮒釣(へらぶなづ)り専用の竿(さお)である。私の実家がある和歌山県橋本市は篦竿の全国シェアの90%を占める。

AKB48の総選挙で、投票権をできるかぎり獲得(かくとく)するために、同じCDを何枚も購入する例があった。なかには、200万円以上を費(つい)やしたファンもいたそうである。

そこで、いい年したおっさんで、似たような例を挙(あ)げてみた。

高校時代の友人の父親は篦竿(へらざお)職人だった。その父親は、元・自衛隊員であったが、何年もかかって部下が5人か6人持てるようになった。しかし、防衛大学校の1期生が入隊すると、はじめから同じ数の部下を持つのを見て、軍隊は勉強ができないと出世できないと悟(さと)り、職人として生きることにし、篦竿(へらざお)職人となった。なお、息子は国公立大学の医学部に進学して、現在、評判のよいクリニックを経営しているから、別段、地頭(じあたま)の悪い家系ではないだろうし、また、地頭(じあたま)が悪ければ、トップクラスの職人にはなれない。

自衛隊を辞めたとはいえ、職人としての生活の傍(かたわ)ら、自衛隊に関わる業務を少しはしていた。たとえば、自衛隊員のスカウトだとか。

その人は2人の政治家を尊敬していた。中曾根康弘(なかそねやすひろ)と源田實(げんだみのる)である。

中曾根康弘は元・内閣総理大臣で、防衛庁長官を歴任している。また、1954年に「原子力予算」を国会に提出し、成立させている。これは、核武装したければ、いつでもできるようにするための布石(ふせき)だったらしい。

源田實(げんだみのる)は、元・海軍大佐で、26歳で真珠湾攻撃の作戦計画案を作成した。また、自衛隊の第3代航空幕僚長も務めている。全国区選出の参議院議員を4期24年務(つと)めた。

友人の父親は、百貨店などで買えば130万円ほどする超高級篦竿(へらざお)をこの2人の政治家に贈った。

友人の父親によれば、問屋(といや)に卸(おろ)すときは、30万円くらいだけれども、百貨店に並ぶときには130万円くらいになっているという。もはや、実用品ではなく、美術品の扱いなのだそうである。

職人本人はというと、篦鮒釣(へらぶなづ)りするときには、カーボン製の竿(さお)を使っているという。「竹製だと強い引きのときに竿が曲がってしまうから」とのことである。

その一方で、カーボン製の竿は落雷が怖いとも言っていた。雷(かみなり)の日に釣りに行かなくてもいいんじゃないかなと心の隅(すみ)でこっそり思った。

元値(もとね)が30万円の竿を、市場価格が130万円だからといって、たとえば、70万円で問屋を通さずに個人で売ると、取り引き停止の罰則(ばっそく)があった。しかし、自分で製作した竿を、友人や知人に無料で譲(ゆず)ることは許(ゆる)されていた。

そこでその人は、竹藪(たけやぶ)を探しまわり、これぞ、最高の素材だという竹を見つけ、自らの職人魂(しょくにんだましい)を発揮(はっき)し、丹精(たんせい)込めて、篦竿(へらざお)を2竿(ふたさお)、製作して、1竿(ひとさお)ずつ、大ファンである中曾根康弘と源田實に手紙を添(そ)えて贈った。

それぞれから、色紙と鄭重(ていちょう:丁重とも書く)な礼状が送られてきた。

中曾根康弘の色紙の文言(もんごん)は思い出せないのだけれども、源田實の色紙にはこう書いてあった。

  知者不言
  言者不知

「知る者は言わず、言う者は知らず」という『老子』にあることばだ。

また、両者の礼状は、巻紙(まきがみ)に認(したた)められたものだった。達筆(たっぴつ)で、昔の人は字が上手(うま)いとつくづく感心した。

因(ちな)みに、曾(かつ)ての日本の小学校では、書道の時間が毎日あったそうだ。

ところで、政治家に市場価格130万円のものを贈って、贈賄(ぞうわい)にならないのかという疑問があった。私は法律を真面目に勉強したことがないので、よくわからない。

ものを贈っても、利益誘導(りえきゆうどう)などがなければ贈賄にはならないらしい。

但(ただ)し、近所の竹藪(たけやぶ)で見つけた竹を使って、加工し、漆(うるし)や金箔(きんぱく)を使用していても、材料費だけだと、1万円にもならない(竹は0円とした)。市場価格が130万円といえども、材料費はそのくらいだ。

さて、市場価格130万円のものを贈ったといっても、便宜(べんぎ)を図(はか)ってくれとは依頼していないし、利益誘導を依頼しているわけでもない。

色紙がもらえるとうれしいというだけのことだった。

そう考えると、贈賄(ぞうわい)にはならないと思える。

一方、市場価格130万円の篦竿(へらざお)となると、贈与税の控除額(こうじょがく)は110万だから、脱税にならないのだろうか? 

それとも、材料費1万円の手作り品ということで、1万円くらいの贈与だということになるのだろう?

30数年前の話だから、なにかあっても時効(じこう)だから、書いてみた。

AKB48の総選挙で大金をつぎ込む人と較べて、市場価格の合計金額で260万円分のものを進呈した人のことをどう思うかと生徒に訊(たず)ねてみたところ、中曾根康弘や源田實の色紙は、将来、高く売れそうだから、AKB48に大金を投ずるよりも、よっぽどいいという意見が多かった。

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和歌山県橋本市出身。世界文化遺産である高野山の麓です。
和歌山県立橋本高等学校を経て、早稲田大学第一文学部哲学科哲学専修卒業。
B型Rh+。天秤座。家紋は「丸に九枚笹」。
大叔父(おおおじ)は精鋭集団である帝国陸軍航空審査部所属で、「キ61(きろくいち)の神様」と呼ばれた坂井雅夫少尉。キ61は三式戦闘機「飛燕(ひえん)」のことである。

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