2013年3月31日日曜日

安倍首相の掌(たなごころ)で弄(もてあそ)ばれた小西洋之の予算委員会での質疑

 2013年3月29日金曜日に、民主党の小西洋之が参議院予算委員会で安倍首相に質問をしたが、暫定予算(ざんていよさん)とは関係のない憲法論議であった。

 安倍晋三が憲法学者の芦部信喜(あしべのぶよし)を知らないと答えたことで、無知なのではないかと思った人が少なからずいるようだ。

 ところが、よくよく考えると、安倍首相は、わざと答えない、知らないという手段に出たことが窺(うかが)われる。つまり、知っていても、わかっていても、知らない・わからないと、態(わざ)とやったらしいのだ。

 小西洋之は、ブログなどの記述からすると、つぎのようなシナリオを考えていたらしい。

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 安倍首相に質問をする。安倍首相が「第13条です」と答える。そこから、現行憲法と自民党の改正案を比較する。その上で、自民党の改正案は中華人民共和国憲法第51条や大日本帝国憲法と変わらないと指摘して攻撃する。
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 ところが、しょっぱなの質問から、安倍首相は答えない。答えようとしない。答える気がない。事前に小西洋之から配布された資料があるのに、答えない。知らないふりをする。

 答えなければ、質問者が質問の答えを述べて、説明しなければならない。そうすると、質問者の質問時間が空費(くうひ)される。

 途中で、麻生太郎が出てきて、質問をもう一度言ってくださいと言う。

 時間稼(かせ)ぎである。

 ところが、小西洋之は時間稼ぎに気づかない。べらべらと話すのである。勝ち誇っているらしい。

 結局、自分が描いたシナリオどおりには進まなかった。

 おまけに、「国会でクイズをするな」などの批判を浴(あ)びる。

 憲法学者の芦部信喜(あしべのぶよし)を知っているかと訊(たず)ねたが、存じ上げませんと言われる。

 これまた、安倍首相による時間稼ぎである。

 ここで小西洋之が芦部信善の学説について解説することを安倍首相は狙(ねら)ったようだ。説明すれば、その分だけ、質問の持ち時間がどんどん減っていく。ところが、小西洋之は、手短(てみじか)に芦部信善のことを説明する能力がなかったせいで、この時間稼ぎ作戦にはひっかからなかったというか、ひっかかりようがなかった。ちょっと残念。

 小西洋之には、特定の学者の業績を咄嗟(とっさ)に解説する能力がなかったようだ(まあ、私にもないけど)。

 安倍首相が芦部信喜を知らないと言ったことから、興奮してしまって、「高橋かずひろさん、佐藤幸治さんという憲法学者、ご存知ですか?」と質問する。

 安倍首相は、これまた、知らないと答える。知っていても知らないと躱(かわ)す。第1次安倍内閣のときに得た教訓によるものだろう。

 憲法学者の高橋和之(たかはしかずゆき)を間違えて、高橋かずひろと小西洋之は言ってしまった。そりゃあ、知っている人はいないわな。実在(じつざい)しないのだから。

 この手の間違いは、生半可(なまはんか)な知識のときに生じやすい。たとえば、「シミュレーション」simulationを「シュミレーション」と言ってしまうとか、「オランウータン」orangutanを「オラウータン」と間違えるような類(たぐい)の間違え方である。

 こうした間違え方をすると、本当は憲法のことは詳しくないんじゃないのと邪推(じゃすい)されてしまう。自(みずか)ら墓穴(ぼけつ)を掘(ほ)ったわけだ。

 ほかにも、「たぶん、谷垣総裁なら知っているでしょう」と、安倍晋三自民党総裁に向かって言った。「谷垣総裁」と言うべきところである。

 さらには、「総理が声高(こだか)に言っている……」と言っていた。「声高」は「こだか」なのであって、「こだか」ではない。流石(さすが)に、これはまずい。うちの小学生たちでさえ、「こわだか」だと知っている。

 声音(こわね)、声色(こわいろ)などがあるのだから、どうしてこういう読み間違いをするのか理解に苦しむ。

 まあ、「陵」の訓読みが「みささぎ」だとは知らない人は多いし、また「肉」の訓読みが「しし」で、「台」の訓読みに「うてな」があるということを知らない人は多い。最近では、「酒米(さかまい)」「酒代(さかだい)」を「さけまい」「さけだい」と読む人が多くなっているから、「声高」を「こえだか」と読む若僧(わかぞう)がいても不思議はないのだろうけど。でも、ちょっと恥ずかしいよね。

 ところで、この小西洋之の経歴を調べたら、徳島大学医学部に進学して、2年生で中途退学して、東京大学に進学している。教養学部出身だが、入学時に文科1類なのか文科2類なのか文科3類なのか明記していない。ということは、たぶん、文科3類なのだろう。

 医学部を2年生の時点で中途退学するというのは、どういうことか?

 うーん、これはもしかすると、骨学(こつがく)の試験に嫌気がさしたのではないだろうか? 人間の骨は200くらいだが、ひとつひとつの骨にも、突起(とっき)している部分や凹(へこ)んでいる部分などにも別個(べっこ)に名前がついている。そうすると、合計で900くらいの名前をラテン語で憶(おぼ)えなければならない。レベルの低い大学では、英語名だけでよいらしい。

 早い大学では、大学2年生で人体解剖をする。もしかすると、人体解剖に耐(た)えられなかった可能性もある。しかし、徳島大学医学部は、和歌山県立医科大学よりもレベルが低いのだから、2年生で人体解剖をやっているとは思えない。

 また、小西洋之は、東京大学に進学したものの、したい学問がなかったらしく、教養学部に進学した。国家公務員1種試験を受験したものの不合格になっている。翌年、なんとか合格しているが、点数が低かったらしく、エリート省庁には入省できず、郵政省だか、総務省だかに入っている。

 それなりに努力したけれども報われなかった人の中には、小学校からエスカレータ式で大学を卒業した者を憎む者がいる。野心的でありながら、無能な努力家である場合には、家柄がよくて、育ちがよい人間を異常なまでに憎む者がいる。

 家柄や育ちがよいからといって、他人(ひと)を不当に差別してはいけないと思うのだが。

 以上を纏(まと)めるとこうなる。

1)わかっていることでも「知らない」と惚(とぼ)けられ、自(みずか)らが描いたシナリオどおりにいかなかったので、切れた。
2)興奮して、憲法学者の「高橋和之(かずゆき)」を「高橋かずひろ」と間違ってしまった。
3)「声高(こだか)」を「こだか」と小学生でもしない読み間違いをしてしまった。
4)「谷垣総裁」を「谷垣総裁」と言ってしまった。
5)たぶん、骨の名前をラテン語で900個、憶えられなかったので医学部を中途退学したらしい。
6)たぶん、文科3類に合格したものの、文学部や教育学部の学問内容には興味がなく、とりあえず、教養学部に進学した。
7)国家公務員1種試験に落ちて、浪人して、翌年、なんとか合格したが、点数がよくなかったので、郵政省だか、総務省だかにしか入れなかった(文部科学省にしか入省できなかった奴らよりもましだけど、財務省や国土交通省よりはレベルが遙(はる)かに低い)。
8)事務次官などにはなれそうにないので、退職して政治家になった。

 なんだか、恥ずかしい人生だなあ。

 ところで、他人を攻撃する場合には、もっと用意周到(よういしゅうとう)にしなきゃね。まあ、止むに止まれぬ場合以外は、攻撃しないのがいちばんなんだろうけど。

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和歌山県, Japan
早稲田大学第一文学部哲学科哲学専修卒業、「優」が8割以上で、全体の3分の2以上がA+という驚異的な成績でした。大叔父は競争率180倍の陸軍飛行学校第1期生で、主席合格・主席卒業にして、陸軍大臣賞を受賞している。いわゆる銀時計組であり、「キ61(三式戦闘機飛燕)の神様」と呼ばれた男である。苗字と家紋は紀州の殿様から授かったものである。

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