2013年5月20日月曜日

「屠(ほふ)る」の読み方は、理屈にあっていない。

「屠る」は「殺す」の意味だが、その読み方は一般に「ほふる」とされる。これだけが、なぜか、正仮名遣(せいかなづか)い[=歴史的仮名遣い]のままである。

 もしも「ほふる」であれば、「ふ」は「う」となる。「ほうる」となり、発音自体は「ホール」になる。

「屠る」は「ほうる」でなければならないはずだが、どういうわけか、これだけは「ほふる」のままなのである。

 理由は、思いっきり端折(はしょ)ると、こんなところだろう。

 大東亜戦争終戦後、現代仮名遣いが導入されたが、漢字制限も受けた。当用漢字表である。のちに、当用漢字表は、漢字が少なすぎるということで常用漢字表に変更した。

 漢字の制限があるので、「屠る」は使えなくなっていた。音読みの場合の熟語でも、「屠殺(とさつ)」は、「と殺」と表記されるようになっていた。

「屠」の訓読みに接することなく、ずいぶんと長い期間が経(た)ったわけだ。

 一方、辞書編纂者(じしょへんさんしゃ)も、使われないことばということもあって、「屠る」を「ほふる」として掲載したままだった。

 近年になって、少ない漢字だけでは印象に残ることが難しくなって、「屠る」を使うようになったが、このことばを採用する側にしても、普段から使っていることばではないので、辞書の記述を鵜呑(うの)みにする。

 こうしたことから、「屠る」は「ほふる」と読むのが定着した。

 しかしながら、なぜ、歴史的仮名遣いのまま読むのか、いさかか疑問に感じる。



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早稲田大学第一文学部哲学科哲学専修卒業、「優」が8割以上で、全体の3分の2以上がA+という驚異的な成績でした。大叔父は競争率180倍の陸軍飛行学校第1期生で、主席合格・主席卒業にして、陸軍大臣賞を受賞している。いわゆる銀時計組であり、「キ61(三式戦闘機飛燕)の神様」と呼ばれた男である。苗字と家紋は紀州の殿様から授かったものである。

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