2013年5月2日木曜日

ガールズ&パンツァーGIRLS und PANZERという美少女戦車アニメがあると聞いて、驚愕(きょうがく)した。

 この頃、『湾岸戦争大戦車戦――史上最大にして最後の機甲戦――』(上下巻)を寝る前に少しずつ読んでいる。生徒には、できるかぎり毎日、本を読むように言っているので、自分もそうしている。その上で、現在進行形で読んでいる本の内容を話す。

 さすがに、戦車の話となると、女子生徒は一切、関心を持たないので、男子生徒にだけ、話している。

 そんなところへ、「そういえば、戦車が中心のマンガやアニメはないような気がする」と言ったところ、戦車アニメが昨年、放送されていたという。

 まずもって、戦車アニメは成立しえないと思った。

 相手の射程距離(しゃていきょり)の外側から、つまり、アウトレンジから撃てば、一方的に勝てる。相手が赤外線による探知装置(たんちそうち)を備えていなければ、夜間の戦闘では、一方的に撃滅(げきめつ)できる。敵はこちらの位置を把握(はあく)できないからだ。また、ジャイロ式砲身安定装置があれば、走行しながら射撃ができる。弾幕(だんまく)や煙幕(えんまく)をはれば、あるいは砂煙(すなけむり)が巻き上がっていれば、探知装置がなければこちらの位置は知られない。走行しながらの射撃であれば、探知装置のない敵軍は、相手の位置がわからないから、砲弾が発射された場所を狙って、射撃するしかいないが、車輌(しゃりょう)は既(すで)にそこにはいない。

 つまり、現代の戦車戦は、つねに、一方的な戦いになる。事実、湾岸戦争のとき、イラク軍の戦車は1350輌(りょう)以上が破壊されたが、多国籍軍、というか、アメリカ陸軍の損害は18輌くらいだった。アメリカ軍の損害のほとんどは友軍による誤射(ごしゃ)であって、イラク軍に破壊されたのは、たまたま至近距離で出くわした2輌か3輌だけだった。

 ちなみに、友軍による誤射のことを、英語ではfriendly fire(フレンドリー=ファイア)というんだけど、中学生の感覚だと、相当に滑稽(こっけい)な表現と感じるらしい。

 それはともかく、戦車アニメは成立できないはずだ。戦闘機でいうなら、F22ラプター(猛禽類(もうきんるい))をメインに据(す)えたアニメが制作できないようなものだ。圧倒的に強ければドラマは生まれないからだ。

 さらに聞けば、美少女アニメだという。

 一体全体、美少女と戦車が、どうやって、つながるのか、わけがわからない。

 ということで、調べてみた。

 女子高校の部活動に「戦車道」というものがあるという設定になっていた。

 戦車道で使える戦車は、1945年8月15日までに最低でも試作機ができていたものに限定されるという。これなら、ストーリーが作れるな。

 YouTubeで動画を観てみた。基本的に戦闘シーンが多かった。悲しいことに、そこそこ、おもしろかった。

 美少女アニメに侵(おか)されていない領域(りょういき)は、潜水艦と歩兵連隊だけになってしまった。

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和歌山県, Japan
早稲田大学第一文学部哲学科哲学専修卒業、「優」が8割以上で、全体の3分の2以上がA+という驚異的な成績でした。大叔父は競争率180倍の陸軍飛行学校第1期生で、主席合格・主席卒業にして、陸軍大臣賞を受賞している。いわゆる銀時計組であり、「キ61(三式戦闘機飛燕)の神様」と呼ばれた男である。苗字と家紋は紀州の殿様から授かったものである。

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