ところが、朝日新聞の記事を出題しているのは、所謂(いわゆる)Fランク=レベルの大学ばかりである。
しかも、そのほとんどは、漢字の書き取りなのである。
国語力が著(いちじる)しく劣(おと)る中学生を対象に「天声人語」を書き写させるという指導方法がある。これは、所詮(しょせん)はその程度の文章であるにすぎないことを意味する。言語能力の高い中学生なら、すらすらと読みこなせる程度の内容でしかないし、論の進め方がワンパターンである。
そんなものが入学試験で使えるわけがない。
すると、中堅大学あたりでは、大手マスメディアを通じて浅薄(せんぱく)な左翼思想はわかるが、それ以外の思想がわからない受験生を対象に、その場で新たな思想を理解できるかどうかを試すために、産経新聞あたりに掲載された論説・評論を出題する場合が少なくないのである。
30年くらい前だと、朝日新聞のつぎによく出題されたのは、小林秀雄だったが、これまた、漢字の書き取りがほとんどだった。
2013年のセンター試験の現代文で小林秀雄の随筆が出題され、国語の平均点が異常までに低くなったが、小林秀雄の文章は行間が飛びすぎているので、今の高校生には的確には理解できないものであったにちがいない。出題者は、30年くらい前によく出題されていたという思い込みにとらわれていたのであろう。よく出題されていたといっても、漢字の書き取りばかりだったのだけれども、そこを見落としていたのだろう。
たぶん、出題者は頭がよすぎたのだろう。自分がすいすい理解できるから、このくらいの問題で大丈夫だろうと思ったのだろうな。
なお、中学受験でよく出題されるものに関しては、大学受験とは異(こと)なる。
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