2009年2月9日月曜日

演奏を聴かずにアマチュアのギターの腕前が最低レベルに達しているかどうかを知る方法

 左の手で、小指だけを曲げてもらえばよい。薬指・中指・人差し指はすべてまっすぐにしてもらった状態で、左手の小指だけを曲げることができれば、最低限の練習量はしているということがわかる。練習量が足りない場合は、小指を曲げることがなんとかできても、薬指がまっすぐにならないことが多い。むろん、最低レベルをクリアしているかどうかだけしかわからないが。

 日本で生まれ、日本式の生活をしていると、小指と薬指を使うことはめったにない。場合によっては、小指がなくてもそれほど困らないので、極道の世界では、けじめをつける際に、小指を第1関節から切り落とすということが行なわれた(行なわれている)のである。

 ところが、西洋では小指がないと非常に困る。
 映画「下妻物語」で、主人公の父親であるチンピラやくざが小指を落とされそうになって、「ピアノが弾けなくなる」と許しを請う場面がある。純日本的といえなくもない極道の世界で生活しながら、ピアノ演奏という西洋的なものを日常に取り入れると、小指がないと困るという滑稽さが笑いを生み出しているといえよう。
 小指がないとピアノが弾けなくなるだけではない。西洋の楽器のほとんどは演奏できなくなる。
 また、タイプライターやキーボードにしても、10本の指をフルに使わないと効率よく扱えない(なかには人差し指だけで入力する人がいなくもないが)。手動タイプライターを使ったことがあれば、「A」のような使用頻度の高い文字を小指で押さなければならないということに理不尽さを感じるのがふつうだろう。しかし、日常生活で10本の指を使う場合が多いヨーロッパ人はそれほど理不尽とは感じないらしい。

 一方、日本の楽器はというと、三味線は弦が3本しかないし、尺八も10本の指を使う必要はない。篳篥(ひちりき)や笙(しょう)や琴にしても、同様である。

 その一方でヨーロッパ人はジャンケンをしないので、「チョキ」が作れなかったりする。だから、日本人は写真撮影時に好んでピースサインをするが、欧米人は手を「グー」の形にして、親指だけを立てるしぐさをする。欧米人からすると、ピースサインをするのは、日本人の若い女性特有の奇妙なしぐさに見えるようだ。

 日常で小指だけを単独で使うことがないが、ギターやヴァイオリンを練習すると、練習量に応じて、弦を押さえる左手の小指だけを曲げて、残りをまっすぐに伸ばせるようになる。
 しかしながら、日本人のギター演奏者やヴァイオリニストは、往々にして左手の小指しか曲げられないが、欧米人は右手の小指も曲げることができる。
 これは、指を使っての数え方に由来する。欧米人は、まず、「グー」の形で「ゼロ」を示し、「1」で親指を伸ばす。「2」で親指と人差し指を伸ばし、「3」で親指と人差し指と中指を伸ばす。「4」で親指と人差し指と中指と薬指を伸ばす。この時点で小指だけを曲げた状態になる。幼少のときからこうした数え方をしていれば、だれでも、どちらの手でも、小指だけを曲げるということができる。
 日本人が右手の小指だけを曲げて、残りをまっすぐに伸ばすことができないのは、ギターを演奏したとしても、弦を押さえない右手の小指を使うことがないからである。
 指を使っての、こうした数え方ゆえに、たとえば、日本人とフランス人とが、どちらも10歳の時点からギターやヴァイオリンを始めたとして、小指の使い方の上達には大きな開きがあることは自明であろう。この点に関しては、音楽それ自体の才能の差ではない。あくまでも、生活様式に由来する差である。

 HAL496の生徒では、嫁入り道具としてヴァイオリンを習っている生徒は、残りの指をまっすぐに伸ばした状態で小指だけを曲げることはできなかったが、アコースティク=ギターをやっている高校生は小指だけを曲げることができた。

 将来はギタリストになりたいという中学生・高校生で、小指だけを曲げることができないのが少なからずおり、最低限の練習量にも達していない段階で、よくもそんなことが言えるものだと感心したことが何度もある。ま、あこがれは大事だけどね。

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和歌山県橋本市出身。世界文化遺産である高野山の麓です。
和歌山県立橋本高等学校を経て、早稲田大学第一文学部哲学科哲学専修卒業。
B型Rh+。天秤座。家紋は「丸に九枚笹」。
大叔父(おおおじ)は精鋭集団である帝国陸軍航空審査部所属で、「キ61(きろくいち)の神様」と呼ばれた坂井雅夫少尉。キ61は三式戦闘機「飛燕(ひえん)」のことである。

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