2009年2月27日金曜日

中学受験の算数や高校受験の数学の図形問題を実際に描いてみる場合に必要となるものさしの長さの大部分は23cmである。

 中学受験の算数や高校受験の数学の図形問題を実際に描いてみる場合に必要となるものさしの長さは23cmである。これで、大半の図形は描ける。
 当校では、図形問題の苦手な生徒には、方眼紙に三角定規やものさしを使って、丁寧(ていねい)に描いてもらっている。実際に描くことで感覚が養われるのである。
 これまでの経験から、図形問題の図形を描くのに必要とされるものさしの長さは、23cmくらいである。30cmのものさしだと、ちょっぴり長すぎて使い勝手がちょっと悪い(ただし、身長185cm以上になると、むしろ、30cmのものさしが使いやすいようである)。15cmや18cmだと、短すぎるので、2回にわけて引かなくてはならない直線が出てくる。
 23cmのものさしは、調べた範囲では販売していないのだが、25cmのものさしがあったので、数本、購入してある。
 15cmや18cmのものさしが多いのは、缶ペンケースなどの大きさに合わせたものだと思われる。鉛筆の長さは、172mmとJIS規格で定められている。それに合わせてペンケースのサイズを決めると18cm程度になる。ペンケースに入る長さとして、15cmや18cmのものさしが多く販売されているようだ。
 中学受験や高校受験の図形問題では、ほとんどの図形を描くのに23cmのものさしで間に合うわけだが、一般的なものさしの長さが15cmや18cmであるのと同様に、これにも理由がある。
 B5判の方眼紙である。
 一般的なコクヨの「上質方眼紙B5 1mm目ブルー刷り」は、印刷している部分のサイズは22cm×15cmである。
 三平方の定理で、対角線の長さを計算すると、およそ26.6cmとなる。方眼紙の端から端までを使った図形を考えるわけではないから、23cmあれば、必要にして充分な長さのものさしになるわけだ。

 つまり、中学や高校の数学教師は、B5判の方眼紙を使って、作問しているので、図形問題の図形は、ほとんどがB5判の方眼紙に収まる大きさになっているのだ。
 ときには、中学受験などでよく見られるのだけれど、B5判の方眼紙で図を考えてから、それを4倍の大きさにして出題している例もある。図形が大きくなりすぎると、実感しづらくなり、それで惑(まど)わされる受験生がいなくもないからである。

 もともと、日本人はB5判やB4判が好きだ。B判は、紙の規格を考える際に、美濃紙を基に定めたもので、A判はドイツの工業規格によるものである。だから、海外のプリンターにはA4サイズしか印刷できないものが多いというか、A4サイズしか印刷できなかったりする。
 また、よく売れるものは量産効果により廉(やす)くなる。
 コクヨの「上質方眼紙 1mm目ブルー刷り」のサイズごとの値段を列挙してみよう。サイズによって枚数が違うので、1枚あたりの値段も併記する。価格は、カウネットというところの値段である。

B5(40枚)132円 1枚あたり3.3円
A4(50枚)255円 1枚あたり5.1円
B4(50枚)453円 1枚あたり9.06円
A3(50枚)583円 1枚あたり円11.66円

 価格面でもB5判は圧倒的に廉(やす)い。

 以上のことから、日本人は、意識しないところで、B5サイズに収まる図形問題を大量に解いているのである。
 一方、欧米の数学教師は、A4サイズ、あるいはそれに準ずる大きさの用紙で図形問題を作成している可能性が高く、日本人が普段、解きなれた大きさの図形よりも、すこしばかり大きな図形の問題を解いているかもしれない。A4サイズは用紙の大きさで21cm×29.7cmである。
 ウェブで調べたところでは、8.5インチ×11インチがいちばん小さい方眼紙cross-section paperだった。1インチ=2.54cmなので、21.59cm×27.94cmである。A4サイズに近い大きさである。B5判の印刷面の15cm×22cmよりも大きい。B5判の用紙そのもののサイズは18.2cm×25.7cmである。
 対角線も35cmくらいで、B5サイズの印刷面の26.6cmよりも8.4cmも長い。
 数学という一見、普遍的に思える科目でも、国ごとの文化的背景による影響を受けているということになる。興味深い事実だと思わないかな?



25cmのものさし 長からず短からず、便利だよん。

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和歌山県, Japan
早稲田大学第一文学部哲学科哲学専修卒業、「優」が8割以上で、全体の3分の2以上がA+という驚異的な成績でした。大叔父は競争率180倍の陸軍飛行学校第1期生で、主席合格・主席卒業にして、陸軍大臣賞を受賞している。いわゆる銀時計組であり、「キ61(三式戦闘機飛燕)の神様」と呼ばれた男である。苗字と家紋は紀州の殿様から授かったものである。

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