第2次世界大戦以前には、Japという語には、それほど挑発的・攻撃的な意味合いは込められていなかった。日本人が「ソヴィエト社会主義共和国連邦」のことを「ソ連」というようなものだ。英単語は第1音節に強勢が置かれる。強勢とは、いわゆるアクセントaccentのことだが、正確にはストレスstressである。アクセントはストレスとイントネーションintonation(抑揚)を合わせたものである。英語では第1音節に強勢があるものが多いのに、Jap-a-néseは第3音節に強勢がある。これは言いにくい。だから、もともとは、単に、言いにくいという理由だけで、Japと略していただけだった。
しかしながら、真珠湾への奇襲攻撃によって、Japという語に憎しみが込められるようになった。宣戦布告なしに攻撃を加えるのは、国際法上、断じて許されることではない。
それでも、JapはNipよりはましなことばである。映画などで、場面によってはJapを使うことはあっても、Nipはそういうことはない。フィクションの中のできごとだとしても、使えないことばなのである。
Nipはまた、nipple(乳首)を連想させるので、ちょっと恥ずかしい側面もある。
辞書以外で、Nipを使っているのを見たのは、英語の掲示板とYouTubeのコメント欄くらいのものである。
ちなみに、シンガポールや香港の新聞では、形容詞のJapaneseの省略形としてJapを使うが、これは、英字新聞でInternationalをInt'lと表記するのと同じ感覚である。
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