ある特定の大学の入学試験で、たとえば英語の文法問題と英熟語の出題を予想する場合、その大学と偏差値的に近く、比較的有名で、かつ併願されることがなさそうで、過去問の出題傾向が比較的近い大学の過去問も、受験しなくても確認する、これである。ただし、大学・学部によってあてはまらない場合もあるが。
たとえば、ずいぶんと以前のことで、HAL496開校以前の別の勤務先でのことだが、千葉工業大学が第1志望の受験生がいた。もともと出題形式が似ているということと、レベル的にも近いので、日本大学文理学部(理系)などの英語の問題をチェックして、いわゆる捨て問的な千葉工業大学では出題できなさそうな問題を除外して、まとめた。1問1答式の文法問題と英熟語の問題がそれぞれ100問くらいになった。
問題そのものをパソコンに入力して、その上で、正解となる英文とその対訳を作成して、生徒に渡した。
本番の受験で出題された問題すべては、まとめたなかに入っていた。たかだか100の文法事項と英熟語だけで、すべて的中したわけだ。
しかしながら、この生徒は不合格だった。この生徒は渡したプリントの文法事項と英熟語を1つとして憶えていなかったのだ。
「よっしゃあ! よかったな。これで合格だ、ははは」と入試問題を見た私が言ったところ、その生徒は浮かぬ顔をして「いや、あの、出るとは思ってなかったんで……憶えてませんでした」と言った。こういう受験生は、決して少なくはない。
以上の方法で中堅大学以下の、とりわけ理系学部において、文法問題や英熟語の問題が100程度に絞り込める理由については充分には、はっきりしていないが、考えられることはつぎのとおり。
(1)きわめて優秀な大学出身者は、高くないレベルの大学の問題作成に不慣れなので、似たようなレベルの大学の出題を参照するから。
(2)優秀な人間が同じ形式で同じようなレベルの問題を作成すると、おのずと似たようなものになってしまうから。
いずれにしても、こうしたやり方で出題を絞り込むことができる。もっとも、千葉工業大学に関しては、ある年度を境に、変な出題ミスやエレガントさに欠ける設問が急に影を潜め、まるで河合塾の模試ような出題に変わっているので、この方法では絞り込むことはできないようだ。河合塾は大学入試の問題作成を請け負っているので、もしかすると大学側が河合塾に業務委託しているのではないかと疑っている。ともかく、今の千葉工業大学の英語の対策には使えないだろう。あしからず。
0 件のコメント:
コメントを投稿