日本の小学校では3.14だが、イギリスでは22/7(7分の22)で計算したりするとか、πは無理数であり、超越数であることや、当然、無理数や超越数の定義を教えた。ほかにも、円周率の計算の出し方や、『π』という題名で、最初から最後まで円周率が延々と印刷されているだけの本が出版されたことがあるとか(校正係の人は大変だっただろうな)、円周率の憶え方を教えた。
その上で、日本の中学以上では、「π」としか書かないが、英国では、ギリシア文字のπを使わずに、πの英語表記であるpiの頭文字のpで代用することがあると指摘したところ、こんな反応があった。
えーっ! πって漢字じゃなかったの!?
こういうのが、小学生に教えるときの醍醐味(だいごみ)であり、おもしろさ・たのしさである。最初にπがギリシア文字だと説明しなかった私にも落ち度があるのだが。
とはいえ、たとえば、ゲオルク=カントールの無限集合では、濃度によって、無限集合を分類する。たとえば、自然数全体の無限集合は(アレフ=ゼロ)である。初期のころは、学者によっては、ヘブライ文字が簡単には表記できないので(今でも簡単ではないが)ギリシア文字のω(オメガ)を使った表記法もあった。また、フランスのガリマール社Editions Gallimardから刊行された書物で、(アレフ=ゼロ)が「手書き」に見えるものがあった。ガリマール社は、日本でいえば、岩波書店に相当するような老舗(しにせ)であり、権威であるのだが、そこが手書きに見える(アレフ=ゼロ)を印刷していたのである。超一流の出版社でさえ、(アレフ=ゼロ)のちゃんとした活字がなかったのである。そんなことを知っていると、英国人が円周率を「p」と表記するのも当然だろうと思うのは致(いた)し方(かた)ないだろう。
そんなところへ、「p」という表記から、「えーっ! πって漢字じゃなかったの!?」と、意表を衝かれた発言が出れば、こちらとしては、大いに驚くわけだ。
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