2009年9月13日日曜日

優秀な高校に進学したほうがよい理由

 ときには、高校受験ではあまり頑張らなくても、大学受験で頑張って、それなりのところ、あるいは、それ以上のところに進学すればよいと考える生徒がいる。
 ところが、これは大きな間違いなのである。

 まず、偏差値の低い高校に進学すると、使用する教科書のレベルが低いので、同じように努力しても、得られる結果が悪くなる。また、私立高校に顕著(けんちょ)なのであるのだが、偏差値が下がると、教員のレベルが下がる。

 有名企業の採用に関して、このあたりの事情については、採用・昇進・学閥……大公開! 有力人事部の本音 就職は「出身大学名」でどう差がつくかを参照してもらいたい。
 ここでは、つぎのようなことが書かれている。

「地頭(じあたま)」がいいかどうか 出身高校もチェック
製造 大学も指標の一つだけど、高校も大事だと思う。大学は受験勉強を一生懸命やれば入れるけど、中学から高校に入る場合は素質が大きく左右する。いい高校を出ている学生であれば、たとえ三流大学であっても、二流の大学よりは底力は上と見るね。地方の伝統校出身者を採用しているけど、いい意味のプライドを持っているし、実際に会社に入っても、がんばって結果を出しているやつが結構いる。
建設 そう、うちも一流大学や三流大学であっても高校をちゃんとチェックしている。つまり、こいつは“地頭”がいいかどうかを見ている。地方の知らない高校から二流大学を卒業したやつは絶対に採らなくても、たとえば開成、麻布や伝統校から三流大学に行った学生の場合、地頭がいいということで評価は高い。

 開成高等学校や麻布高等学校も言及されているが、製造業の人事部の発言「中学から高校に入る場合は素質が大きく左右する」に注目してもらいたい。
 なお、中学受験そのものは、当人の意志・努力よりも、塾・保護者のパワーの占める割合が高いので、中学受験の結果だけでは、図抜(ずぬ)けた上位校を除けば、本人の能力や地頭のよさの指標としては、高校受験よりも精度に欠ける部分があるようだ。
 学習指導の経験からすると、個々人の素質によって、偏差値58あたりと、偏差値63から65あたりに「壁」があるようだ。偏差値については、高校受験 高校偏差値情報に基づくものとする。尤(もっと)も、ここの偏差値は、一般のものよりも若干高めに出ている。
 ここでは早稲田大学を指標として述べる。というのも、早稲田大学はそれなりに難度が高いが、同時に、しょぼい学部もあり、定員も大きいからである。薬学部や医学部などがないのは指標としては不適格な部分がなくもないが。
 大雑把(おおざっぱ)に述べると、偏差値58以下の高校からは早稲田大学合格者は、ほぼ皆無(かいむ)である。生徒の素質そのものに要因があり、さらには、使用教科書のレベルが低い上に、指導方針が大学受験向きではない可能性もある。私立高等学校の場合、教員のレベルの問題もあろう。
 偏差値58から63くらいまでは、早稲田大学合格者がちょっとは存在するようになる。数名レベルから20名程度の合格者数のところなど、多少の幅があるが、これは、指導方針の差や教員のレベルの差などによるものであろう。立地条件による違いもあり、たとえば、同じ偏差値の高等学校であっても、周辺にその高等学校よりもランク・レベルの高い高等学校がなければ、「このあたりじゃあ、うちがいちばん」と思える高等学校に通っていると、合格実績が上がる傾向がある。この点については、改めて述べることとする。
 偏差値65あたりを超えると、早稲田大学合格者が増える。やはり、偏差値63から65のあたりに素質の高さなしには越えられない「壁」のようなものがあるのだろう。偏差値63ちょっとで、正規分布の場合、100人中10番目くらいである。上位1割に入るのは、素質なしには難しいらしい。
 ところで、ワークス=アプリケーションズWork Applicationsという企業がある。今でもそうなのかは知らないが、インターンシップあるいは研修を大学生・大学院生を対象に行なっていた。3週間に亙(わた)る研修ののちに、正確には記憶していないのだが、研修結果を「Aパス」「Bパス」「Cパス」という形で発表し、Aパスの場合は、今後、3年間(もしかすると5年間)は、当社で働きたくなれば、即座に採用で、Bパスだと、今後1年間、Cパスだと、入社不可ということだった。1日当たり1万円の研修費が支給される。研修を受ける前に、応募者全員に筆記試験を行なう。その場合の合格ラインは、偏差値65のところに引いてあったそうだ。
 企業にしても、偏差値65を基準にしているのだから、このあたりを越えるには、勉強のみならず、仕事の面でも、素質の有無が多少なりとも左右するのであろう。
 いずれにしても、少なからぬ一流企業が、地頭(じあたま)のよさを測るのに、出身高等学校名をチェックしている。そして、少なくとも偏差値63以上、できれば偏差値68以上だと、地頭のよさは担保されるのではないかと考えている。

 数年前のことだが、一流企業の中には、出身高等学校名をチェックするところが少なからず存在するということを指摘し、そのことを生徒が保護者に話したところ、「高校名を見るところなんか、あるわけないでしょ!」と一蹴(いっしゅう)されたそうだ。住む世界が違うと見えるものが違うという一例だろう。

追記:優秀な高等学校を出ていると、各分野それぞれに詳しい人物と知り合いになれる。大学の場合、たとえば、早稲田大学だと、基本的に文系大学なので(理工学部はあるけど)、医学・薬学などに詳しい人物と大学内で友人・知人となることは少ない。もちろん、すこぶるつきの優秀な高校出身者と知り合いであれば、その人物を通じて、その人物の友人から、いろいろと情報を得ることができるのだろうが、つまらない疑問などは、やはり、高校時代からの知り合いでないと質問しづらい。こうしたことからも、情報収集という点で、差がついてしまう。



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和歌山県, Japan
早稲田大学第一文学部哲学科哲学専修卒業、「優」が8割以上で、全体の3分の2以上がA+という驚異的な成績でした。大叔父は競争率180倍の陸軍飛行学校第1期生で、主席合格・主席卒業にして、陸軍大臣賞を受賞している。いわゆる銀時計組であり、「キ61(三式戦闘機飛燕)の神様」と呼ばれた男である。苗字と家紋は紀州の殿様から授かったものである。

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