その一方で、憶えているけれども、その知識を日常生活に活用できない場合もある。
友人が横浜のある地域で1戸建てを買おうとしたことがあった。電鉄会社が宅地として売り出し、その結果、知名度が高くなっている地域だ。ところが、そのあたりは、小児喘息(しょうにぜんそく)が突出(とっしゅつ)して多い地域だった。
なぜか?
ちょっと考えればわかることだが、川崎市の南部にある埋立地の工場地帯から出る煤煙(ばいえん)などが、空気中を上昇し、夏の間は、南東の季節風によって北西へと流され、適度なところで地上に降下(こうか)する。その降下する場所が、横浜市のその地域なのである。
幼い子どもがいるのならば、そんなところに住むのはやめたほうがよいわけだ。
結局、友人はその地域での住宅購入をやめた。子どもの成長を考えれば、賢明(けんめい)な選択だろう。
同様のことが、福井県でもあるらしい。
原子力発電所の集中している場所から南東の位置に住む子どもたちの悪性リンパ腫(しゅ)の発生率が異常に高いそうだ。そうした記事をある週刊誌が掲載した。その週刊誌の発売日の2日前に、朝日新聞の夕刊に、「出版差し止め」の申請だか、仮処分だかが出された旨の記事が掲載されていた。
根も葉もない記事であれば、販売前に、出版差し止めという手段に出てくるとは思えないから、これは確度の高い記事だろうと、むしろ、その週刊誌を買って読んだ。
冬場に北西の季節風が吹き、その風下の地域では、通常よりも高い発生率で児童が悪性リンパ腫に罹患(りかん)しているそうだ。
以上の2点について、小学生で習う知識から、こうしたことが予見(よけん)できそうなものなのに、と思ってしまうのだけれど、人間というものは、ついつい見落としてしまうものなのかもしれない。
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