唐突(とうとつ)に生徒が言った。
「喫茶店のカレーなどで、コクが足りないカレーとか、味が平板な感じのするカレーは記憶にあるけれど、『きっぱりとまずいカレー』は、記憶にはないなあ」
「ですよね。でも、今日の給食のカレーは、本当にまずかったんです」
その後、同じ給食を食べた別の生徒ふたりに、カレーの味について訊(たず)ねたところ、まずかったという。
確かに、まずいカレーをこしらえるのは難しいだろう。多少、調理時間を変えても、それほど味に違いは出ない。隠し味で違いが出るとか、コクが足りないとか、そういう違いはある。また、じゃがいもが崩(くず)れているのは厭(いや)だとか、人参を摩(す)り下(お)ろして入れたほうが好きだとか、好みの違いはある。しかし、ものすごくまずくなるということは考えにくい。
いろいろと訊(き)いたところ、カレーのルーをきちんと溶かさなかったのが原因らしく、さらに、ご飯が硬かったので、輪をかけてまずいと感じたらしい。
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