2009年9月10日木曜日

小坂憲次がテレビで「チョン」と発言したことで思い出したこと

 自由民主党の前=衆議院議員で、今回の選挙で落選した小坂憲次が生放送のフジテレビの番組で、「私なんか、もう落選したけど、もう、空元気(からげんき)だ、ね……けっこう、元気です。やはり、あの、お前は馬鹿だ、チョンだと、あ、失礼。馬鹿だとか、言われてですね、そして、否定をされたんであれば、問題ですけれども、今回はね、頑張(がんば)れとご声援を戴(いただ)いて、12万、ねえ……」と発言したので、思い出したことがある。


 中学生のときに、1学年の下に、周囲から「チョン」と呼ばれている後輩がいた。
 別の後輩たちが彼のことを親しげに「チョン」と呼んでいたので、「ちょっとまずいかもしれへんから訊(き)くんやけど、なんで、チョンって呼んどるん?」と訊(き)いてみた。
 ほかの後輩たちの答えは、それが本当なのかどうかは判然とはしなかったが、みんながそう呼んでいるから、というものであった。
 さて、チョンと呼ばれていた少年は、実際のところ、日本国籍ではないが、所謂(いわゆる)、通名(つうめい)というか、日本人名というか、そういうものを形式的には名乗っていた。もしかすると、彼の本名の原語読みがチョンだったのかもしれないが、わからない。
 後輩たちを見ていると、チョンと呼んでいるからといっても、仲違(なかたが)いや差別心があるわけでもないようで、じつに仲よしだった。
「おーい、チョーン!」
「おう、〇〇! なんやぁ!」
 そんな感じだった。
 そんなふうに呼ばれている後輩は、すこぶる大柄(おおがら)で、中学2年生の時点で180センチメートル近くはあったと記憶している。そして、体格のよい人間によく見られるように、おおらかな性格だった。
 それにしても、仲よしなのに、チョンと呼んでいるという光景は、当時でも、ちょっと不思議な感じがしていた。けれども、そう呼ぶのを禁ずるのもなあ、と思っていた。多少なりとも心理学の書籍を読んだ今では、仲よくしているにもかかわらず、そんなふうに呼ぶのを断固として禁ずる場合、ある特定の国籍の者に対する差別・偏見がある者であるということになるようなので、禁ずることをしなかった自分は、そういった差別・偏見がないという傍証(ぼうしょう)になるのではないかと考えている。
 でも、やっぱり、不思議な光景だったなあ。



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早稲田大学第一文学部哲学科哲学専修卒業、「優」が8割以上で、全体の3分の2以上がA+という驚異的な成績でした。大叔父は競争率180倍の陸軍飛行学校第1期生で、主席合格・主席卒業にして、陸軍大臣賞を受賞している。いわゆる銀時計組であり、「キ61(三式戦闘機飛燕)の神様」と呼ばれた男である。苗字と家紋は紀州の殿様から授かったものである。

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