2009年3月29日日曜日

パスタ屋の心意気はカルボナーラでわかる。

カルボナーラla pasta alla corbonaraで、パスタ屋の営業方針がわかる。

日本人はフランス料理がそれほど好きではない。フランス料理は、日本人の好む「うまみ」に乏しい料理なので、普通の日本人がフランス料理を食べても、おいしいとは感じない。

イタリア料理は、トマトを熱することで「うまみ」が増す。また、ふんだんにチーズを使うので、チーズのうまみも堪能(たんのう)できる。

そうしたイタリア料理のなかでも、カルボナーラはやや異質だ。熱したトマトのうまみがない。そのぶん、日本人向きの料理ではない側面がある。

カルボナーラは、イタリア料理のなかでは、日本人にとって、うまみがない料理であるわけだ。

そうなると、素材そのものが上質でないと、おいしいとは感じられないものになる。

ちゃんとカルボナーラをこしらえようとすると、おいしいパスタに、豚の頬肉(ほほにく)を塩漬けにして数週間寝かせたものであるグアンチャーレguanciale di maiale(または豚のばら肉を塩漬けしたパンチェッタpancetta)と、1個60円くらいの卵、その場で挽いた上質な黒胡椒(くろこしょう)を使わないと、うまいカルボナーラにはならない。ちなみに、レボーニ社LEVONIのグアンチャーレは100g861円だ。

料理の原価率は30%に抑えるものだそうだから、一皿3000円くらいでも、経営が苦しい。業務用で材料を仕入れるともっと廉(やす)くなるのだろうけど。

一皿1200円くらいにすると、添加物だらけのベーコンをはじめ、廉い素材で調理しなければならなくなる。日本人に訴えるうまみに乏しい料理であるうえに、素材がよくないとなれば、おいしいとは感じない。

そこで、味を追求しているわけではないパスタ屋では、日本人好みの「うまみ」を人工的に加える。

安直なところでは、化学調味料を添加する。ましなところでは、昆布茶(こぶちゃ)を隠し味に入れたり、昆布粉を入れたりする。

さらには、別のものを加えて味をごまかす。ひどいものになると、キムチカルボナーラなんてものがある。辛いものを入れることによって、素材の悪さをごまかすという作戦だ。キムチカルボナーラだの、カルボナーラ(キムチのせ)だの、カルボナーラ(キムチ風味)だの、素材の悪さを辛さでごまかしていると自ら宣伝しているようなものであるとしか、考えられない。

その一方で、個人経営の店のなかには、適当な値段で本当においしいカルボナーラはつくれないということで、メニューからはずしている店もある。潔い態度だ。

イタリア人が調理人だったり、あるいはイタリアで修行してそのとおりに調理している料理人の店では、日本人に迎合せず、「うまみ」を加えずにカルボナーラをこしらえるところもある。個人的にはこういうのが好きなんだな。

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和歌山県橋本市出身。世界文化遺産である高野山の麓です。
和歌山県立橋本高等学校を経て、早稲田大学第一文学部哲学科哲学専修卒業。
B型Rh+。天秤座。家紋は「丸に九枚笹」。
大叔父(おおおじ)は精鋭集団である帝国陸軍航空審査部所属で、「キ61(きろくいち)の神様」と呼ばれた坂井雅夫少尉。キ61は三式戦闘機「飛燕(ひえん)」のことである。

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