2009年3月17日火曜日

「慶應義塾大学という学閥はない」と近所のじいさんが言っていたのだが

「慶應義塾大学という学閥はない」と慶應義塾大学法学部卒業の近所のじいさんが言っていた。

どこそこの企業は早稲田しか出世しないし、なんとかという企業は東大卒じゃないと出世しないそうだということが、話のきっかけだ。

そのじいさんによれば、慶應義塾大学という学閥はなく、かわりに、慶應義塾大学内に学閥が4つあるという。

4つって!?

天現寺一派中入組高入組大学入学組の4つですか?」と訊いたら、そうだという。

天現寺一派というのは、私が勝手にそう呼んでいるだけで、一般には、「幼稚舎から慶應義塾に入っている人たち」のこと。幼稚舎というのは、「幼稚」の文字が入っているということから、慶應義塾の幼稚園だと思っている人がいるけれども、小学校のこと。所在地は渋谷区恵比寿2-35-1だけど、近所に天現寺交差点があるからなのか、バス通学の場合、「天現寺橋」停留所で降車する場合が多いからなのかは知らないが、幼稚舎を指すのに、「天現寺」という地名をよく使うらしい。天現寺出身者[=幼稚舎出身者]しか入れないテニス=サークルが慶應義塾大学にはあるそうだ。

中入組とは、中学からの入学組、つまり、中学受験から慶應義塾に入った人たちのこと。

高入組とは、高校からの入学組、つまり、高校受験から慶應義塾に入った人たちのこと。

大学入学組は、大学受験から慶應義塾に入った人たちのことで、完全に「外様」扱いされる(らしい)。早稲田はこの逆で、高等学院出身者のほうが肩身は狭い。

この時点で、すでに気づいたであろうが、大学院から慶應義塾に入った場合、「慶應義塾」の仲間扱いされない。そりゃあ、そうだろう。アカデミックな学究心を備えた人を除けば、就職先が希望するところに決まらなかった人が進学するようなところに外部から入っても、仲間にはしてもらえんだろうな。

それにしても、学閥が4つに分かれているというのを聞いて、本当なのだろうかと思った。話をちょっと大袈裟(おおげさ)にしているなんじゃないのかな。

それで、慶應義塾大学出身者に訊ねてみたが、知り合いは浮世離れした人が多く、「さあ?」「考えたこともない」「学閥に関わる生活をしていないからなあ」「おれはひとりで生きてきた」というような答えばかりで、真相がつかめない。

それでも、記憶をたどるとこういうのがあったな。「慶應の同級生が会社を起こすので、一緒にやらないか」と誘われたという人は、本人も高入組で、誘った人物も高入組だったというもの。しかし、ある程度以上に親しい人間を集めたら、高入組で揃ったというくらいのものだろう。それを「慶應義塾高入組」という学閥とするは、どんなもんかなあ。

『就職でトクする大学・損する大学ランキング』(島野清志著・エール出版社)という本がある。

カバーには副題として「就職力で見た大学・最近格付け」「上場企業に入社できる大学・不利な大学」などと書かれている。

目次を一部、引用すれば、どういう内容の本かがわかるだろう。

「上場企業の役員数・管理職数からみた私立大学の就職力ランキング」
「都道府県、主要都市の幹部職員の出身大学」
「有名大学出身でなければ国会議員になるのは困難」
「やはり学閥は存在する、有力上場企業役員の出身校調べ」
「主要上場企業の社員年収ランキングと筆者お勧めの企業ガイド」
「OB役員が一番多くいる主要上場企業・全調査」

こんなのが並んでいる。そのなかで、たとえば、「やはり学閥は存在する、有力上場企業役員の出身校調べ」では、こういう記述がある。「2008年版」からの引用。出版されたのは2006年9月だから、情報は古いので、注意。

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流通

三越、大丸、松坂屋、阪急、高島屋と老舗の百貨店は慶応出身役員が圧倒的に多く、文字通り慶応の独壇場。同じく有力百貨店でドル箱新宿本店が絶好調の伊勢丹は早稲田出身役員が慶応を抜き去り、再逆転。

一方、スーパー、CVS(コンヴィニエンス=ストア)の最大手のセブン&ホールディングスは中央出身役員が多く、ナンバー2のイオンは慶応色が強い。有力CVSのファミリーマートは早稲田、慶応、パルコは慶応、立教などの典型的な分散型だ。

このほか関西地盤の有力スーパー、イズミヤは関西学院、食品スーパー大手のライフコーポレーションは慶応出身役員が多い。

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「OB役員が一番多くいる主要上場企業・全調査」の慶應義塾大学と早稲田大学のところに掲載されている企業名を見ると、こういうことがわかる。

慶應義塾大学 206社
早稲田大学  142社

いいかげんな気持ちでやったので、数え間違っているかもしれないが、OB役員が一番多くいる主要上場企業の数で、早稲田は慶應義塾の4分の3以下である。OBの数では早稲田が多いのに、この結果だ。

そういえば、2000年あたりの就職氷河期のとき、資本金100億円以上の企業に就職したのが、慶應義塾大学の場合、就職希望者のうち75%だったが、早稲田だと65%だったというデータを目にした記憶がある。

その記事は、早慶ともなれば、就職氷河期と呼ばれるような社会情勢でも、それほど大きな影響を受けないということを述べたかったようだが、教育学部・スポーツ科学部・人間科学部・社会科学部が慶應義塾にはないから、その分が10%の差となっているのかと、ちらりと考えた。

もしも、かりに、教育学部・スポーツ科学部・人間科学部・社会科学部を除いて、就職希望者の何%が資本金100億円以上の企業に就職したのかを出せば、早稲田だって、74.9%くらいにはなるかもしれないと考えてみたが、こんなことを考えた時点で、早稲田の2重の負けだ(←おまえが勝手に考えただけじゃないかという突っ込みがありそうだ)。

慶應義塾大学という学閥はなく、4つの学閥にわかれているというのが正しければ、大学から慶應義塾大学に入ったとしても、上記の206の企業のうち、大学入学組が役員の多数派ではないところ、たとえば、天現寺一派(幼稚舎出身者)ばかりが出世する企業に、大学入学組が入社しても、期待したほどには、トクはしないということになるのだろう。

役員の出身大学は『会社四季報』などで調べることもできるが、出身小学校までは調べられない。慶應義塾大学出身者が出世しやすい企業を選んで入社しても、そこが天現寺一派(幼稚舎出身者)だけが出世しやすかったりするという場合も出てくるということになる。

ちょっぴりギャンブル人生で、楽しそうだな。

追記:「慶應義塾大学OB役員がいちばん多くいる主要上場企業一覧」という記事を書いた。クリックすれば、飛ぶよ。

 

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早稲田大学第一文学部哲学科哲学専修卒業、「優」が8割以上で、全体の3分の2以上がA+という驚異的な成績でした。大叔父は競争率180倍の陸軍飛行学校第1期生で、主席合格・主席卒業にして、陸軍大臣賞を受賞している。いわゆる銀時計組であり、「キ61(三式戦闘機飛燕)の神様」と呼ばれた男である。苗字と家紋は紀州の殿様から授かったものである。

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