「このチラシをご持参の方に、性ビールサービス」
「性ビール」とは、いったい、何なんだろうかと、一瞬、悩んだが、どうやら、「小生ビール」、つまり、「生ビール(小)」、あるいは、「生ビール、小ジョッキ」のことらしい。しかし、手書きの文字が、どう見たって「性ビール」にしか見えないのだ。
はじめは、小学校のときに漢字の稽古(けいこ)をきちんとしていない人が書いたものかとも考えたが、ほかの部分の文字は、むちゃにひどくはない。
そうなると、考えられることは、ひとつだ。
店側の意図的な作戦だ。つまり、わざと「性ビール」と読めるようにして、客を誘(おび)き寄せる作戦だ。
「性ビール」とは、いったい何なんだと思った客がやって来て、ひととおり註文をしてから、読み上げるのは恥(は)ずかしいので、チラシの「性ビール」を指差しながら、「これも願いします」と言って、ちょっとわくわくしながら、何が出てくるのかを期待しながら待つ。すると、小さなジョッキに入った生ビールが出てきて、客は「性ビール」ではなく、「小生ビール」=「生ビール(小)」のことだったのかと悟(さと)り、にやりとするわけだ。
と、まあ、ここまで想像したのだけれど、軍鶏八(しゃもはち)に足を運んでいないので、これが正しいかは不明である。もしかすると、本当に「性ビール」というものが出てくるかもしれない。それがどういうものかは、想像できないが。
また、この作戦は東京だからできるのであって、関西、とりわけ、大阪でやったら、客が暴れるような気がする。
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