事実、同じようなことを考える人は少なくない。Pocket Oxford English Dictionaryを見たHAL496の生徒が「どうしてこれが『ポケット』なんですか?」と訊いたりする。
また、Amazon.co.jpで調べると、たとえば、Pocket Oxford-Duden German Dictionaryのカスタマーレビューにこんなことを書いている人がいる。
Pocketとは名ばかりで、書籍サイズはぜんぜんポケットサイズではありません(笑……いや、笑えません)。研究社の新英和中辞典とほぼ同じサイズでした。
ポケットサイズというと、日本人は、一般に、背広やシャツの胸ポケットに入るものを思い浮かべるようだ。
この疑問は、ある出来事をきっかけに、劇的に解消した。
英国のバーバリー社(BURBERRY)のコートである。これをもらったのがきっかけで、英国のポケットサイズの謎が一挙に解決したのである。
つまり、英国人が「ポケット」というとき、最初にイメージするポケットは、背広やシャツの胸ポケットではなく、あくまでもバーバリーのコートのポケットらしい。
バーバリーのコートのポケットなら、余裕で入るのだ。
日本でも似たようなことはあった。
パスポートサイズだ。
旧式のパスポートは、おそらく世界でいちばん大きかったようだ。少なくとも日本国旅券よりも小さいパスポートを持っている外国人を私は見たことがなかったし、やはり、大きすぎるという意見が多かったからこそ、現在のパスポートは、当時のものと較べて小さいものになったのだろう。
ソニーがハンディカムの広告で、This is passport size.とテレビ広告で出演者に言わせていた(This is passport size.が正しい英語かどうは不明。カムはcamでcameraのこと)。1988年のことだ。おそらくは世界最大のパスポートを引き合いに出して、「パスポートサイズ」と呼ぶのに対して、詐欺(さぎ)に近いものを、当時、感じていた。ま、ソニーだからな。
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