どちらもイリノイ州出身の弁護士など、オバマとリンカーンに共通するものが少なくない。
確かに、リンカーンは歴代大統領の中で最も高く評価されているらしいし、人気もいちばんだ。奴隷解放の父とも呼ばれている。
ところが、リンカーンは純然たる「奴隷制廃止論者」ではなかった。「奴隷制の拡張」に反対しただけだ。
また、国家が南北の2つに分裂するのを喰い止めたという評価がなされるが、奴隷廃止論がなければそもそも南北戦争(1861-65)は起こっていなかったであろう。
その一方で、ネイティヴ=アメリカン(いわゆるアメリカ=インディアン)のソーク族との戦いが1832年にイリノイ州で始まったが、1834年に大尉としてニュー=セーレムの連隊を率いたリンカーンはソーク族を全滅に近い状態にしている。
奴隷制廃止に関しては、南北戦争中に、リンカーン率いる北軍が勝利した場合には南軍所有の奴隷を解放すると宣言したが、これはあくまでも戦術としてのものだ。北軍が勝利すれば奴隷としての身分は解放すると言われれば、奴隷身分から逃れたいと考えている黒人奴隷は北軍の味方をする。具体的には、南軍に対するゲリラ的攻撃を南部の黒人たちが行なった。
南北戦争終結後、南部の奴隷だけが解放されたにすぎない。北部の奴隷制は維持されたままで、リンカーン家には南北戦争終結後も黒人奴隷が数名おり、リンカーンは自宅の奴隷を解放することはなかった。
また、南北戦争終結後に解放された南部の黒人たちは、読み書きすらできない者がほとんどで、自ら職を求めることもできず、以前なら、衣食住を保証された状態で肉体労働で酷使はされていたが、解放後は、衣食住の保証がないまま、低賃金で農場での肉体労働に酷使されるようになったのだから、経済的な状態は、以前よりも悪化しただけだった。
リンカーンって、そんなに高く評価するほどでもないと思うのだけど、アメリカ合衆国国民は高く評価しているようだから、ほかの大統領がそれほどまでにひどいってことなのかなと思ってしまう。
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