2009年1月27日火曜日

St. Valentine's Day バレンタイデー:「もっとおいしいにんじんケーキの作り方」

 数日前から、生徒たちがヴァレンタイデーの計画を練(ね)っていた。
 そこで、私が今よりも若いときにもらったもので心に残ったものを授業中に列挙(れっきょ)してみた。

・「もっとおいしいにんじんケーキの作り方」と題したレシピ
 ただの紙切れなわけだが、これがいちばん心に残っている。
 ヴァレンタインデーに先立って、前年の誕生日にフランス人のお嬢さんからとってもおいしいにんじんケーキの作り方」というタイトルのレシピだけをもらっていた。留学先のトロント大学の近所においしいにんじんケーキを出すカフェがあるので、しつこく頼み込んで教えてもらったレシピだという。「レシピどおりに作れば、私がいつも食べているのと同じとってもおいしいにんじんケーキが食べられるわよ」とかなんとか書いてあった。
 オーブン(ovenはアヴン/ʌˈv(ə)n/と発音する)がないから、作らなかったが、材料のところにoilとしか書いていなかったので、にんじんケーキを作るときの使う油は、何なのかが気になって、レシピを見せながら知り合いの女性に訊(たず)ねた。なんのことわりもなしにoilとあれば、一般的にはオリーブオイルolive oilのことだそうだ。「それにしても、オイルが多すぎるわねえ」と彼女はつけ加えた。
 4か月後のヴァレンタインデーに彼女はもっとおいしいにんじんケーキの作り方」のレシピをくれた。オイルの量を減らして、アーモンドをふりかけるとかのひと工夫を凝(こ)らしてあった。
 ここに登場したふたりは、ひとりは大学で准教授(じゅんきょうじゅ)として心理学を、もうひとりはフランスの大学でEnseignant-rechercheurとして英語と英米文学を教えている。フランスの大学の仕組みはわからないが、enseignantは大学教員のことで、rechercheurは研究員の意味。
 どうでもいいことだけれど、これまでの人生を振り返ってみるに、どうも高学歴の女性にしかモテない気がする。

・森永の「ミルクチョコレート」を10枚、束にしてリボンで結んだだけのもの
 「量で勝負」と書いた紙がはさんであった。
 こういうことをする人物は、大雑把で大胆な性格ではないかと思うだろうが、まさにそのとおりだった。
 100円×10枚=1,000円でそのくらいにインパクトを与えられるならば、対費用効果は高いと判断する生徒がいた。ただし、彼女は真似する気はないと言っていた。

・甘くないケーキ
 「掃除機くんはたくさんチョコをもらうだろうから、甘さを抑(おさ)えたケーキにしました。甘いものに飽(あ)きたときに食べてください」と書いた手紙がついていた。アイデア勝負だな。

・明らかに失敗作の手作りチョコレート
 溶かすときに熱を加えすぎて、チョコに空気が混じっていない。硬い。口の中で溶けない。ひと工夫しようとしてブランデーを大量に入れすぎている。
 たぶん、失敗作をこっちにまわしたのだろう。ちゃんとできたのは本命に贈ったにちがいないと思った。

 生徒たちには、レシピを贈るというのを奨(すす)めているが、そういうユーモアを理解する人がいないということで、却下(きゃっか)された。一方、森永の「ミルクチョコレート」10枚セットは値段が廉(やす)いわりにはインパクトがあるということで、実践(じっせん)しそうな生徒がいる。

「これまでに最も多くのチョコレートをもらったのは中学3年生のときだが、中学3年生だと、同級生からももらえるし、2年生からも、1年生からももらえるからだ。高校生以上になると、いわゆる『本気チョコ』ばかりになり、いい加減な気持ちでチョコレートを渡す人が減るので、もらえるチョコレートは減るものだ」と、こんなことを言ったところ、高校の男子生徒が、「えっ、中学3年生のときに1枚ももらえなかった俺は、一生もらえないってことですか?」と絶望的な顔つきで質問してきたが、同級生の女子生徒が「大丈夫、私が義理チョコあげるよ」と慰(なぐさ)めていた。「義理」のところに力を込めて発音していたのがちょっと気にかかった。

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和歌山県橋本市出身。世界文化遺産である高野山の麓です。
和歌山県立橋本高等学校を経て、早稲田大学第一文学部哲学科哲学専修卒業。
B型Rh+。天秤座。家紋は「丸に九枚笹」。
大叔父(おおおじ)は精鋭集団である帝国陸軍航空審査部所属で、「キ61(きろくいち)の神様」と呼ばれた坂井雅夫少尉。キ61は三式戦闘機「飛燕(ひえん)」のことである。

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