2009年1月19日月曜日

こんな翻訳は嫌だ。

 こんなことがあった。
 スウェーデン人のおっさんが英語で書いた人間工学に関する短い論文を訳した。依頼された条件が「辞書に載っている語のみで訳す」というものだった。
 これが一筋縄ではいかなかった。基本となる訳語だと、どうにも、微妙に意味のずれた文章になってしまう。うんと考えて、適訳になるように工夫するのだが、中型の辞書には載っていない訳語になってしまう。ところが、依頼内容は「辞書に載っている語だけで訳す」というものだから、思いついた訳語が辞書に載っているということをいちいち確認しなければならない。『ランダムハウス大英和辞典』などの大型の辞書をならべて、頭に浮かんだ訳語が辞書にあるのを確認した。適訳だと考えた訳語は、むろん、辞書には載っていることは載っている。しかし、掲載されていることを確認する作業がわずらわしい。
 こうした作業をしているうちに、みょうなことに気がついた。
 適訳を考えると、いつもいつも、辞書には後ろのほうに載っているものが圧倒的に多い。9番目とか、13番目とか、そのあたりに載っている意味ばかりだ。確かに、そういう意味もあることにはあるけど、ふつうはそういう意味では使わないものが多い。
 そうしているうちに、あることに気づいた。
 微妙に意味がずれている使い方をしている語は、どれもこれも、フランス語と綴りが同じか、あるいはよく似ているものばかりだった。
 そこで、もしかすると、こいつは同じような綴りの英単語をフランス語の意味で使っているのではないかと考えて、部分的に仏和辞典を使って、その英文を訳してみた。
 そのとおりだった。仏和辞典を使うと、作業が捗(はかど)った。最初の3つのまでの訳語でことたりる。
 フランス語から英語に直訳したものという可能性を考えてみたが、そうではなく、「フランス語の得意なスウェーデン人のおっさんが、ほぼフランス語での意味で英文を書いていた」ということが判明した。

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和歌山県, Japan
早稲田大学第一文学部哲学科哲学専修卒業、「優」が8割以上で、全体の3分の2以上がA+という驚異的な成績でした。大叔父は競争率180倍の陸軍飛行学校第1期生で、主席合格・主席卒業にして、陸軍大臣賞を受賞している。いわゆる銀時計組であり、「キ61(三式戦闘機飛燕)の神様」と呼ばれた男である。苗字と家紋は紀州の殿様から授かったものである。

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